レインボーをこっそり持つ理由
アウェアネスリボンでレインボーといえば、LGBTQ等への理解・賛同のシンボル。本当はこんなものが必要ないくらい、誰もが安心して生きていける世界になればいい。だけど今は過渡期だろうから、理解・賛同を示すという行為も必要なのだろう。
私はレインボー柄のキーホルダーを「こっそり」持ち歩いている。
キーホルダーは小物入れに着けている。その小物入れは、バッグのポケットへ入れている。
だから小物入れを出さない限り、もしくはバッグのポケットからキーホルダーを垂らさない限り、レインボーは誰の目にも触れない。
なぜ「こっそり」持ち歩いているのか。
それは「わかってるよ、理解してるよ」なんて堂々と振りかざして歩くのは、なんていうか、おこがましいし、違う気がする。
本当にわかってるかどうかなんてわからないし、多分、わかってないと思うから。少なくとも私は。
だけどいざというとき、必要としている人の目に触れられるように――という目的があって、いつでも出せるようにはしている。
例えば大勢で飲食するとか、何かの交流会に参加していて、センシティブな内容を露骨にガサツに話す人がいたとして。
そこに居心地悪そうに、苦しそうにしている人がいて、私が気づくことができたなら。
そのときにそっと、その人だけにレインボーを見せたい。
「理解してるよ」なんてことは言わないし、言えない。だけど「少なくとも私はあなたを攻撃するつもりなんかないよ」ということは伝えたい。だからもしつらかったら、今この時間は、私と一緒にいようよ、と。
ただ、それってとても特殊な状況だし、私がそもそもあまり人の様子に気づけるタイプではないので、レインボーの持ち腐れになる可能性がとても大きい気がする。
そうやってモタモタしているうちに、世の中が私を置いていい方へ進んでくれれば、それに越したことはない。
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