「西野さんはみんなでワイワイ行く。あなたは森の中を一人で行く」
数ヶ月の間、西野亮廣エンタメ研究所に入っていたことがある。言わずと知れた、国内最大のオンラインサロンである。私の中で西野さんと言えば、昔『はねるのトびら』に出ていて、その後絵本作家になってすばらしく緻密な絵を描いている、ということまでは知っていた(日本中から叩かれていたことは知らなかった)。
私はいつも姉から新しい世界を教えられるのだが、西野さんのずば抜けたビジネスセンスについてを私に教えたのもまた姉だった。そこからまんまとハマり、西野さんの著書を読み、Voicyを聴きまくり、そしてもっと新しい発見に出会いたくて、ついにオンラインサロン入会へ。コロナ禍を逆手に取った西野さんの戦略はまさに新世界。毎日が楽しかった。
が、前述したとおり私は数ヶ月で退会。つまらなくなったのではない。むしろスナックCandyでサロンメンバーさんと語りたかったし、もっと楽しみたかった。Voicyでも語られているが、毎年必ずと言っていいほど起こる災害への取り組みについても、国内最大のサロンならではと感心し、私も情報を共有していた。
ではなぜ辞めたか。
ひとえに私の、牡牛座的性格のためだと思う。つまり、楽園を広げすぎて疲れてしまった。
もともと交友関係は「狭く深く」だった私が、いきなり(当時)6万人と仲間意識を持ったわけだから、そりゃ疲弊もする。私がネット上で出会ったサロンメンバーさんに悪い人はいなかったが、サロンがFacebook上にあったため、メンバーさん以外の人からものべつ幕無しに友達申請が来たのである。しかもほとんど勧誘系。
最初は「ROM専」と明記していたから楽だった。そのうちに「サロンメンバーさんだけ」と微妙に緩めてしまったせいで、申請してきた一人一人をサロンメンバーさんか否か確認する作業に追われてしまい――
疲弊。
人に疲れた。
Facebookに疲れた。
あとFacebookの色が好みじゃなかった。……っていうあたり色にこだわる牡牛座さんっぽいわけで、私にとっては本当に士気に関わる大事な理由。Twitterブルーは好きだが、Facebookブルーは好みじゃない。
だが辞めるか続けるかの答えはまだ出なかった。私の楽園を広げるには、頑張ってサロンメンバーさんとの人脈を広げた方がいいのでは、と。少なくとも西野さんに賛同した人たちが集まってるわけだし、共通認識を持ちやすいわけだし。だけど……だけど……
このどうしたらいいかわからない気持ちを姉に相談したところ、一発で答えが返ってきた。
「西野さんは目的地へ行くのに、いろんな人と会って、いろんな人と遊んで、ワイワイガヤガヤしながらみんなで到着する。あなたは目的地へ行くのに、森の中を一人で歩いて、なるべく騒がしい団体に会わないように、でもトイレがちゃんと常設されてるようなそこそこの森を通って、たまにすれ違う人とあいさつしてホッコリして、あの人ともう少しお話したかったな、なんて思いながら到着する」
笑っちゃうほど的確。
姉のその言葉で私はサロンから身を引き、一度小さな楽園――自分だけの空間に戻ることに決めた。サロンを批判する気持ちはまったくない。ただ私には、にぎやかすぎただけだ。
私は一人で森を歩こう。そしてたまに出会った人とあいさつしたり、ホッコリしよう。きっとそれが、私のエネルギーが一番素直に発揮されて、楽園を創るのに役立つのだろうから。
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