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父のこと/命のこと

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2021年、コロナ禍に脳梗塞で逝った父のこと。いくつもの重い決断を迫られた、私たち家族のこと。その後の、日々の暮らしのこと。/父に限らず、命のことをテーマにした内容です
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#牡牛座

受け入れ難い現実に直面したとき、後悔しないためにしたこと

いつも読んでくださっている皆様へ。 急にこんな高値をつけてごめんなさい。むしろいつも読んでくださってる皆様へは、いつもどおりに読んでいただきたい気持ちもあるのだけど。 でも今回の日記は、大勢の目に触れるところへ晒しっぱなしにはしたくない、私にとってはとても大切な話だと思ったから、こういう設定にしました。 内容は、とてもとても個人的なことです。 父がまだ入院していたときのこと。その間に考えておかなければならない、今後の生活のことについて。意識が戻らない父の介護をどういう形

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鋭いくせに、答えにたどり着かない残念な嗅覚

「感覚の牡牛座」とも呼ばれる牡牛座は五感に優れ、私も例に漏れず、仲間内では感覚が敏感な方に分類される。視力がショボショボなので五感ではなく四感ではあるが、嗅覚に関しては自分でも時々竈門炭治郎かと思う。 子供の頃、家へと続く道の途中で作りかけの夕飯の匂いを察知した、なんてのはまだ序の口で。忘れっぽい元姑と同居していた頃は、二間向こうの台所の火つけっぱなしのにおい、お湯出しっぱなしのにおいがわかるほど進化していた。 私の嗅覚は職場でも役立った。二十代の頃勤めていた生協は、無農

楽園は小さくなり、そして広がる

父が救急搬送された翌日。付き添っていた母が疲れきった顔で帰ってきたのは、朝の6時すぎだった。父が病棟に入ったときにはすでに夜中の1時半で、コロナ禍のためタクシーは営業終了。母は守衛さんに相談して病院の待合室で仮眠し、タクシーが動き出す朝6時にようやく帰路に着いたのだった。 自宅に到着した母が畑の農業用ハウスに向かうと、すでに先客――畑と田んぼを越えた先に住む、ご近所さんがいた。 「ハウス開いてなかったから、まだ病院にいたんだと思って。今日暑いし、ハウス開けないと苗っこ焼ける

変化を嫌う牡牛座だから、いつもの歌を

家族の入院でパニック状態のときに、運転をしなければならない事態になった。何かやらかしそうで怖い。だけどこんなときこそ「牡牛座として生きる」だ。そう思ったら自然と、オマジナイを唱え始めていた。 「牡牛座さんは、変化が嫌い。だからいつものことを、いつもどおりに」 こんなことをブツブツ何度も繰り返しながら、出かける準備。牡牛座は変化が苦手らしいから、これはいつものことだよ〜、いつもどおりだよ〜、と自分に言い聞かせ、なるべくいつもやっている所作を踏襲する。 車に乗ってからも、オ

心底迷ったとき、牡牛座であることを思い出して適切な判断を下す

家族が救急搬送された。私はこれまで入退院が多かったから慣れているつもりではいたが、家族が、となると別らしく。いつもの家事をしながらも 「いつもどおり……いつもどおりに……」 と終始自分に言い聞かせていたあたりは、やはり私もパニックに陥っていたと思う。 その日は疲労と不安で頭痛がひどく、食欲もなかった。noteへの投稿は朝に済ませていたから、その点だけはホッとした。 この時点で、完成している下書きのストックは、あと1つ。明日はもっと忙しくなるかもしれない。そしたら書けない。