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生きる力

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戻ってきた実家での田舎暮らし。里山の風景。染みるご近所付き合い。親類のありがたみ。母から学ぶ農作業。できなくてもいい。知っておきたい。
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2022年7月の記事一覧

ツバメたちの巣立ち

うちの巣箱で生まれたシジュウカラは、数日前、いつの間にか巣立っていた。 「なんだ、あいさつもしないで」 母が寂しそうにぼやく。 毎日シジュウカラのヒナを狙っていたスズメたちも、ぴたっと来なくなった。 車庫に巣を作って住み着いたツバメたちも、ついに巣立ちのときが来た。卵のカラを見つけた7月3日から、きっかり3週間後のこと。 朝、2階の部屋にいた私の耳に聞こえたのは、すごくたくさんの鳥の声と、母の叫び声。 これは何かあった。 ツバちゃんたちが天敵にでも襲われたか。 慌てて

久々のサワガニ

30℃にとどかない気温。 ほどよく風のある曇天。 チャンスとばかりにあちこちから草刈りする機械音や、草焼きの煙が上がる。 我が家も例に漏れず、この日は母と二人、一日がかりで大きな土手2ヶ所で草を焼いた。 数日前に刈って、すっかり乾燥した草。熊手で集めて火をつけ、それが燃えている間にまた草を集める。 そうやって何個目かの草山を作ろうと熊手を掻いていたとき。私の足元で、土色の生き物がカサカサと通過しようとしていた。 カエルかな? 大きさからそう思ったのだが、腰を屈めてよ

初ホタル

夕方の散歩を終え、愛犬がごはんを食べているのを眺めていたときのこと。愛犬の飲み水の水面で、小さな黒い虫がジタバタともがいているのが見えた。 「あらやだ。不殺生、不殺生」 ねじったティッシュですくってみると、その虫の姿には見覚えがあった。 「ホタルだ」 赤い頭、細身の黒い体。 お尻のあたりは白っぽい。 愛犬の手が届かない、庭の木の葉に乗せる。最近はめっきり数が減ってしまった。私が子供の頃には、夜になるとたくさん飛びまわっていたのに。 「頑張れよ」 オスかメスかわから

大切なことは生協時代の先輩に教わっていた

自然に還る、化学調味料不使用、安心安全などなど、「環境や体になんか良さそう」な言葉をいろいろ聞くけども。 今思うと私が初めて就職したところでは、これを当たり前に貫いていた。 勤め先は店舗を持たない宅配専門の生協で、私はカタログ制作の担当として配属された。しかし当時の私は「生協とはなんぞや」というレベル。教育係の先輩は、そんな私をイチから懇切丁寧に指導してくれた。 規模こそ大きくはないが、信念を貫いた商品を扱うその生協は、多分、他の生協と比べてもかなりニッチな部類だったので

ツバメのヒナが生まれたようです

今朝母が、白く小さなものを、テーブルにコロンと転がした。卵の殻である。 「お! 生まれたの?」 我々との激闘の果てに、車庫で巣を作り、何日も卵をあたためていたツバメ。ようやく生まれたか。 「ツバちゃんの巣の下に落ちてた」 卵がいくつあるのかはわからないが、まずは1つ。 さっき車庫に行ってみたが、ヒナの鳴き声は聞こえないような。生まれたばかりだからか? 元気に育ってほしいものだ。 これから巣立つまでが、天敵との戦いである。愛犬オオキイノ(ゴールデンレトリバー)には、引き続