海、恋焦がれる南の島々(2) | 奄美大島
前回の記事から1か月も経ってしまった。
2020年の8月はコロナ禍で
いろんな制限がある中でも僕は、目一杯の夏休みを過ごそうと右往左往していた。
なかなか更新できなかった理由は、ただそれだけのことである。
とは言え、少しタイミングに迷いがある。
現在(2020年9月6日現在)、非常に強い台風10号「ハイシェン」が奄美・沖縄を含む九州地方を直撃している。
記事冒頭ではあるが、奄美、加計呂麻、またその他九州・沖縄地方など。
台風による被害が最低限で済むことを願ってやまない。
さて前回の記事は、
いわゆるプライベートな視点でローカルな旅を書いていただけだったが、周囲からは絶妙な反応を頂き、続編を早く書きたいとは考えていた。これだけは先に伝えておきたい。
夕方に着陸した飛行機から降り立って、一路南を目指し、最終目的地加計呂麻島への渡し町、古仁屋に入る頃には周囲は暗くなっていた。
古仁屋で1泊をして、翌朝一番のフェリーで加計呂麻に渡ろうと考えていた僕は、いわゆる泊まるだけのゲストハウスを探していた。
そこで見つけたのが、「堺ゲストハウス奄美」。
見つけたというより、辿り着いた、が正しい表現である。
というのも、「行けるものなら、奄美初日のうちに海を渡り加計呂麻に辿り着きたい」という下心のせいで、当日ギリギリまで優柔不断に宿の手配が出来ずにいたからである。
そんな下心には、
古仁屋に着いた時間や「どうせなら古仁屋の町を見て回ってみようか」という考えもあり、道中後半で諦めをつけた。
地図にあった場所につくと、暗がりの中にも明かりの灯った玄関が。
奄美本島を縦断したくろうさぎレンタカー(※前回の記事を参照)を宿の裏の駐車場に停め、辿り着いた玄関でインターホンを押す。
ピンポーン。
明かりが点いていることから、人っ気はあるようだ。
立ち寄った豆腐屋さんやレンタカーのおねえさんなどを除くと、
初めて密に交流する島民の方となりそうだ。
ピンポーン。
人が出てくる様子が無く、もう一度鳴らす。
同行していた妻が、怪訝そうな顔つきになる。
もう一度。
ピンポーン。
すると、建物の裏口とでも言おうか、正面玄関とは別の扉がガチャっと開き、慌てた様子の女性が顔を覗かせる。
『チェックインのお客さん?』
そうです、と答えると
『あぁ、ちょっと待ってくださいね、オーナー呼んでくるんで!』
どうやら、誰も応対しないベルが心配になって出てきた、泊っているお客さんだったようだ、、、。
しばらく待つと、なんだか風呂上がりのような様相の男性が、ガチャっと、その扉から出てきた。
『すみません、タイミング悪く、風呂入っちゃってて。。。どうぞ中へ。』
話を聞き、経緯を察するに、どうやら
夜遅かったこともあり、僕たちの到着のタイミングを計りながらも風呂に入ったところ、僕たちがなんともジャストなタイミングで到着してしまったらしい。
手作りのベッドが並び、シンプルかつ移動の疲れを癒すに十分なお部屋。長期滞在の方も多いようだ。※写真は堺ゲストハウス奄美HPより
僕と歳が変わらなさそうな青年オーナーは、聞くに偶然にも大阪・堺から移住してきて、堺でも元々はゲストハウスを運営していたそう。それが宿の名前の由来だそうだ。
ちなみに最初に出てきた女性の方は、僕たちよりも前から泊ってるお客さんで、大阪で宿をやってた頃からだろうか、オーナーさんの友人らしい。
とはいえ、同じ大阪でホテル業やゲストハウス業に従事していた僕は、内心どこかドキドキしながら、そんな話をふんふんと聞いていた。
焼酎好きのオーナーが揃えた焼酎たちが、壁にずらりと並ぶ。なかなか飲む人がおらず、オーナーがちびちびと飲みながら減らしていっているそうだ。
一通り館内を案内されたところで、オーナーさんとは別れ、
妻と荷物を整理しながら、ふと晩御飯をまだ食べていないことに気付いた。
夜も9時を回っていて、見ず知らずの土地で、空いている店があるかどうかも正直怪しかったが、せっかくの旅先の食事ということで、ローカルなお店を片っ端から当たっていくことにした。
堺ゲストハウス奄美は、あとで辿ってみると2019年9月にオープンしたばかりだったらしい。オーナーひとりで準備から何から、大変だったろうなぁ。
古仁屋の町は、海辺の町らしく港を中心にコンパクトにまとまっており、歩いてでも便利に回れるスケール感だ。
1月とは言え、奄美は軽いシャツを羽織れば足元はビーサンでも大丈夫なくらいの涼しさだ。
いつの間に降ったのか、雨上がりの道を歩いていると、なぜだか猫が多いのにふと気付く。
さぁ、漁港だからこんなものか。
そんなことを考えていると、やはり海鮮を口にしたくなってくる。
うむ。奄美と言えば、豊かな海。
ぜひ食べていこう、海鮮。
とはいえ、やはり夜も遅かったので、営業中の店は少ない。その中でも開いていたリッキーさんの暖簾をくぐる。
歩き回りながら見つけた海鮮のお店『リッキ』さんに入ると、ちょうど入れ違いで家族連れが帰っていき、ガランとした店内を若い女将さんが片付けながらこちらに気付く。
『いらっしゃい!』
夜遅いのに笑顔で席に案内してもらい、なんだかほっこりとしながら
おまかせで刺身とレモンチューハイを頼む。
乾杯後、若女将さんと、神戸から来たことや空港のトラブルで1日遅れなことなど話していると、玄関先で家族連れを見送っていたオーナーと思しき大将が戻ってきた。
30代半ばぐらいだろうか、気持ち良いぐらいに日に焼けた、笑顔で快活な男性だった。
話を聞くと大将は、現役の漁師だそうだ。
そりゃあいい、美味しい海鮮を肴に、地元ならではの話が聞けそうだ。
ちょうど良いタイミングで、女将さんが刺身を持ってくる。
漁師町の居酒屋さん、出てくる刺身も鮮度がすごい。角が立ってる。生唾ゴクリとはこのことか。
漁師さんがやってる居酒屋、というだけでも、ここではやっぱりイッパシの観光客の僕たちからすると嬉しいのに、そこから話がどんどん弾むうちに、もう一泡吹かせられてしまった。
というのも、大将、漁師と居酒屋の店主の二足のわらじだけでなく、**「ウミガメ隊」という奄美の海のダイビングツアーもやってるらしい。 **
ウミガメ隊、、、。
なんて、わくわくするネーミングなのだろう。
そんなことを考えていると、女将さんが僕たちの席の横にあるテレビの画面をつけてくれた。
流れてきたのは、ウミガメ隊のプロモーションムービーとでも言おうか、
奄美の大自然を、これでもかと凝縮された、素晴らしい動画だった。
ドローンの迫力もあるが、こんな青々として美しい海で泳ぐなんて、なんて贅沢なんだ。
動画に出てくるお客さんも皆大満足の笑顔。奄美の海のポテンシャルと、大将のエンターテイナーっぷりがうかがえる。
こんな尋常じゃなく綺麗な海を見ていると
刺身がめちゃくちゃ旨い。
箸に合わせて、酒も進む。
これが南国マジックか、、、。
僕はほろ酔いになりながら、ウミガメ隊に参加したい、ウミガメ隊の一員になって青い海をボートで走り抜けたい思いに、強く駆られていたのだった。
ーーーーーー続く。
スローペースですが、、、次回は2日目に突入。果たしてウミガメ隊の一員となって奄美の海を駆け巡るのか!?当初の予定通り、加計呂麻島に渡るのか。乞うご期待。
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