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あいしてる、なんて

言えるわけがない。
これは私の強がりで、あなたは求めている言葉だということも理解している。

「好き」
「うん、知ってる」
「愛してる」
「知ってるよ」

素直になれない、プライドが邪魔をする。

ごめんね、と言いかける私の言葉をキスで封じられた。
わかってるからと笑うあなたの長い髪を乾かす。
甘いシャンプーの香りがゆらゆら、心地いい。

あいしてる、もっとあいしてくれ
いつもありがとう、私だけの愛しいひと

「なに考えてるの?」
「なんだと思う?」

絡む指先の体温が上がる。
ここにいる、どこにも行かない、あなただけ。

「あいしてる」の代わりに彼女の髪に口づけを。

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