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SFの哲学原理

SFの哲学原理――先なる想像のために 文=K.N.=TaT 2017年の秋、とあるSF風インスタレーションの製作を進めていた頃の私は一つの困難を抱えていた。それは、「未来記述の不可能性」というあまりにも自明に見える問題の奥の謎、SFという主題が本質的に孕む足枷のことだ。未来の世界を思い描き、それを記述する行為とは一体何なのか、という問いは、ことあるごとに脳内反復されてほとんどひとつのコンプレックスを形成するに至ったのであった。この玉虫色の小石たちは、数多のSF作家が難な

    • 翻訳者は、翻訳をしてはならない?:ベケットの『反古草紙』から考えること

      【原語と作者の関係】  ベケットの小説『反古草紙』(英題:Texts for Nothing)のタイトルを例に、翻訳について考えてみる。  なお、仏題(textes pour rien)まで議論すると複雑になるため、英題に限定する。  英語という言語の中では、"Texts for Nothing"は字面通りには「無のための文章」という意味だが、慣用的な用法がそれに従い、「無駄な文章」という意味が発生する。さらに噛み砕けば「無駄になった(反古)」と解釈されるだろう。  そ

      • ミッドナイトゴスペルの感想と考察【ネタバレ含む】

         ネットフリックスで先月全8話が完結したアニメ作品「ミッドナイトゴスペル」についての一考察を書こうと思う。この作品は全話を通して繰り返し見ない限りはなかなかそれぞれのパートの意図がわかりづらい構成になっているので、特に第1話は初見では、「なんだこれ…」と当惑し、見る気力が失せてしまう人も多いだろう。しかし、この考察を見る前にまずは全て見てみて、自分で考えることが有益だということは間違いない。なので、1周は終えて2周目に入る前の人向けに、個人的考察をネタバレを含めて書いてみよう

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