「ラジオ型授業」でゆるやかな対話と思考を楽しむ
今日のオンライン授業は「ラジオ型授業」という形式に挑戦してみました。
この授業は「他者のリーダーシップ開発」をテーマに、リーダーシップに関する理論や事例を学ぶ授業です。
12回目となる今回の授業は、事前に「受講生の質問」を考えてもらっておき、それをテーマにしながら、舘野とスチューデント・アシスタント(SA)が語る形式に挑戦してみました。受講生は、適宜チャットで対話に参加します。
今回募集したのは、舘野やSAに対する「リーダーシップ開発にまつわる質問」です。
・なんでリーダーシップを研究しようと思ったのか?
・自分のリーダーシップの強みと弱みはなんだと思うか?
・何かを教えるときに意識していることは何か?
など、約70個の事前質問を読み込み、大きくカテゴリにまとめて、それにゆるやかに回答していく方式としました。
なぜ「ラジオ型」にしたのか?
実は最初はラジオ形式ではなく「事前にもらった質問に対して、スライドで答えを用意しておき、ストーリーとして語る」のがいいのかなと思っていました。
そのため、すべての質問に対する仮回答をメモして、それを網羅できるようなスライドの下書きはすべて用意していました。
ただ、「これはなんか違うな」という感覚がモヤモヤとでてきたので、準備していた下書きを、ある意味捨てました。
そしてスライドを使って話すのではなく「即興的な対談と、受講生のチャットに反応する形式にしよう」と決断しました。一方的に話すよりも、参加型かつ即興のほうが授業としてよりよい学びの場になるという直感がありました。
「スライドを用意しない」のはちょっと怖かったのですが、結果的にはよかったかなと思いました。(もちろん、はじめてなので粗い部分もたくさんありましたが笑)
具体的に「ラジオ型」はどうやって進行するの?
ラジオ型は即興の要素も強いのですが、事前準備として、事前にもらった質問で多かったテーマを分類し、「大テーマ3つ」については必ず話すようにしました。
また、ずーっと話を聞いていてもつまらないと思うので、
・12分〜15分 1つのテーマについて舘野とSAがトーク
・10分 ブレイクアウトルームで参加者同士がトーク
・5分 チャットでブレイクアウトルームの話を共有
というのをひとつのまとまりとして、これを3回位まわしました。
我々のトークが、参加者同士の対話の素材になるというイメージです。
最後の10分は自由にチャットで質問をしてもらい、それに対して回答するという形式でおこないました。初めてやったわりにはよかったかなと思いました。
参加者同士のトークタイムをもう少しとってもいいですが、そうなると質問が全然さばけなかったので、今回はこんな形式でやってみました。
ゆるやかな対話と思考を促す
やってみた手応えとしては、オンライン授業のあらたな可能性を感じました。こうしたラジオ型は対面でやるより、オンラインの方が、とてもしっくりきます。チャットのインタラクティブ性や、途中でスムーズにブレイクアウトルームに入れるのが魅力です。
また、オンライン授業の問題である「余白の少なさ」や「遊びのなさ」を埋めるような形式なのかなと感じました。
ある意味でいえば「かっちりした授業」と「懇親会的なゆるやかな場」の中間くらいの場の設計になります。
受講生同士のグループワークも「将来や過去のこと」といった「深い話」を、リラックスして語れたように思いました。言う慣れば「まじめな雑談」をする雰囲気ができたかんじです。
これはまさに「サードプレイス的な対話」を感じるものでした。
オンラインの場はどうしても「目的的」「合理的」な要素が強すぎて、ゆるやかなサードプレイス的な対話を促せなくて苦労していたのですが、思わぬかたちでデザインのヒントを得たようなかんじがありました。
深い話を軽やかにできるのは場作りにおいて非常に重要なポイントです。
もちろん、この形式は「すべての授業回をこれでやる」というものではないように思います。
今回の授業も、これまでの授業11回で、理論のレクチャーや、事例の分析などをかなりこってりやった上でのこの形式だったことが、学生の思考や語りを促したように思います。
ゆるやかな設計をいかにオンラインで実現するか?
オンラインでの場づくりは、「かっちりと作り込んだプログラムをつくる」という点ではだいぶ自分なりに方法が確立されてきました。
しかし「ゆるやかな対話の場」や「コミュニティ形成の場」をつくるという点ではまだまだ改良の余地があります。
そんな中で今回試した「ラジオ型授業」は、新たなデザインの糸口が見えるような場になったような気がしました。
また新たな形式を模索しながら、学生の学びが深まる場を探究していきたいと思います。
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