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春休み、建築学生にお薦めしたい本


4月から大学生活が始まる学生、新年度を迎える学生にぜひ読んで頂きたい書籍は↓こちらの3冊です。

内藤廣著
「構造デザイン講義」
「環境デザイン講義」
「形態デザイン講義」

建築家、内藤廣が東京大学で行った講義をまとめたものです。

学生にお薦めしたい理由は大きく2点あります。

1点目

書籍のタイトルからして分野毎に偏った内容かと思いきや、全くその逆です。

現在も進行中のプロジェクトが多々ある中で実践経験と豊富な知識による内藤廣氏の講義は、意匠、構造、環境という垣根を超えて、はたまた、時事的な話や歴史、経験談や著者個人の建物や建築家に対して感想を交えながらの講義は、それだけでも興味を惹くもので楽しいです

学生時代はなんとなく、自分は「意匠系だ。」、私は「構造が得意。」僕は「熱環境を極めるんだ。」など、自分の色を決めていく流れみたいなものがあるように思いますが、この書籍を読めば、狭い視野に入ってしまう前に、より良い建築を作り上げていくには全体の学問をトータルデザインできる人でなければならないと改めて気付かされます。


2点目

この講義中には、建築家や建物の名前、書籍、歴史的なデザインムーブメントや建築業界の時事ネタなど、ポイントとなる用語が興味を惹くような形で出てくるため、学生が覚えておくべき知識も身につけることができます。




私がこの書籍を読むきっかけになったのは、学生の頃、講義がない春休みにちょっと読んでみようかなと本屋で手に取ったのがきっかけです。

朝7時にカフェで「環境デザイン講義」を読み始め、面白くて一気に読み終えたのと、学問の新たな楽しさが開かれた気がしたのを鮮明に覚えています。

建築学科では一般的に、デザインが不得手で数学が得意だと構造設計に進む人が多いようですが、わたしはその反対の方が良いと思っています。イメージの豊かな人が構造を生業とし、数学が得意な人がデザイン系を受け持つ方が望ましい。 (中略) 構造、力、材料などに対して、エンジニアがいかに豊かなイメージを持てるかどうかです。
著:内藤廣「構造デザイン講義」P.19
物質や自然現象に対する恐れ、システムに対する危惧、人間が考えることの限界、そうした豊かな思考がなければどのようなことが起こるか、そうしたことに対するちょっとした油断がどのような事態を引き起こすか、それをまずは最初に見せたいと思います。
著:内藤廣「構造デザイン講義」P.20

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