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スタートアップが解く、アフリカのファンダメンタルな課題とその未来(追記あり)

はじめに

※ 末尾にナイジェリア訪問について追記をしました(2020/06/24)

前回のブログでは自国にマーケットがない国生存戦略についてのブログを書いた。そもそも、それぞれの国のマーケットが大きくない理由の1つとして人口が挙げられる。例えば、エストニアの人口は130万人だ。日本ではさいたま市(県ではない)と同じ程度の人口である。人口は力であり、経済成長を促す大事な要因であることは、今の中国やインド、インドネシアを見れば明らかであろう。

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日本から物理的な距離が近いことから、それらの国々の情報は比較的耳に入ってくることもあるが、人口が伸びていて、最後のアンタップドマーケットであるアフリカのことは、日本では正直良く知られていない
そこで、9月の中旬から約2週間かけてアフリカの地を訪れ、現地で活躍する方々とお話をさせてもらった。この投稿では自分が実際訪れて感じたアフリカの「今」から得た学びを共有したいと思う。

ルワンダ_

アフリカのスタートアップ

そもそも「アフリカ」という4文字を見たときのイメージはどのようなものだろうか?
写真はナイロビ公園の動物だが、おそらくこんなイメージだろう。

ケニア国立公園

僕も訪れる前はそんなイメージだったし、実際そのような自然に溢れた素晴らしい場所も存在する。
しかし、それ以上に個人的に魅力的だったのはスタートアップの人々だ。

ルワンダ_コンベンション_with起業家

発展途上国であるがゆえに、アフリカ各国内には課題しかない。そしてそれを国が未だ解決できていないために、日本では当たり前に提供されている公共サービスを受けることができない
そして、それらの課題に立ち向かっているのはスタートアップなのだ。ファンダメンタルな課題を解決し、社会に大きなインパクトを与えるスタートアップの姿は本当に魅力的だった。

実際に現地でお会いしたスタートアップをいくつかご紹介したい。

「救急車が命を救う」という当たり前を実現するFlare

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事故が起こった際に、救急車はどうやって呼べば良いか?
日本で119を押せば良い。そうすれば一番早く来てくれるであろう救急車を手配してくれるはずだ。
ケニアのナイロビでは、状況は全く違う
驚くべきことに救急車を呼ぶには自分で1つ1つ近くの病院に電話を掛ける必要がある。
緊急時に1つ1つかけてる暇はないし、そもそも近くの病院の番号がわからないかもしれない。怪我をしていればなおさら、複雑なことをしている余裕もない。
事故が起きてから、だいたい救急車到着までの平均時間は約3時間とのことだ。これだけ時間がかかると、もし重症であれば命は助からないかもしれない。

この問題を解決するのが「rescue.co」だ。2人の女性起業家によって設立されたFlareという会社が提供するサービスは救急車に対して、Uberのような最適配車を行う

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事故が起こった際にrescue.coを利用すれば、一番早く事故現場に到着できる最適な救急車を見つけ、手配し、命を救ってくれる

このサービスはNPOやNGOの活動ではなく、スタートアップが提供するプロダクトだ
具体的なビジネスモデルはサブスクリプションである。
ナイロビではUberやBoltなどの配車サービスが台頭しているのだが、交通事故の数は少なくない。
そんな中で、命を落とすことを防ぐためにこのサービスは利用されており、彼らに向けた福利厚生のサブスクリプションサービスとして、売上を伸ばしている。

日本では当たり前に享受されているサービスだが、アフリカにはまだまだ多くの課題が残されている。
課題の数や大きさはスタートアップにとってチャンスだ。ファンダメンタルな課題があり、多くのことが未整備な状況だからこそ生まれたスタートアップである。

医療に「アクセス」できるコミュニティをつくるAccess Afya

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次にご紹介するのはスラムでクリニックを運営するスタートアップ「Access Afya」だ。
アフリカの医療は非常に多くの課題を抱えている。実は、医者や薬の数が不足しているだけではなく、スラムでは正しい診療を受けられず、間違った処置・診断によりかえって症状が悪化したり死亡してしまうような状況も存在している。
この課題を解決するのAccess Afyaである。
Access Afyaは既存のクリニックに比べて安価でかつ正しい診療を提供している。そして患者の診療記録を全てIT化して、今まで実態が見えていなかったスラムの患者の実態を表すデータを保持している。さらに、そこに対して魅力を感じた製薬企業や医療機器メーカーと共同でプロジェクトを展開し始めている。
加えてAccess Afyaのユニークな点は、スラムでありながら患者をケアするコミュニティを作り運営していることだ。
具体的には、ローカルのコミュニティマネージャーを雇い、彼らが定期的に健康に関して気をかけたり、SMSなどを活用して診断後の症状を追いかけている。
実際現地に行ったが、スラムの中に突然現れるクリニックを目にしたときは驚いた。

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そしてこのクリニックの近くの家の壁にはAccess Afyaのロゴが描かれていた。クリニックというだけではなく、ここは地元の人に慕われる、医療にアクセスできるコミュニティなのだ。

スタートアップと共に課題解決を目指すルワンダ

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前述の2つのスタートアップはケニアを中心にサービスの展開している。
アフリカといっても非常に広く、54ヶ国の国々と様々な文化を持った民族が存在している。
その中でも極めてユニークな取り組みをしているのがルワンダという国だ。
この国は内資外資問わず、新しい取り組みに対して非常にオープンであり、ITに対してとても力を入れている。

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ルワンダ初日に訪問した企業と同じビルでハッカソンがやってたり、コンベンションセンターでIT系の企業が集まるカンファレンスが開かれていたりと、 この国がITに力を入れてることを肌で感じることができた。正直に言って、最初はアフリカでこのような光景を見るとは想像してなかった。

このような政府のITに対する姿勢を活用してユニコーン企業となったのがZiplineである。Ziplineは$1B超えの評価額で2019年5月に$190Mを調達した。ルワンダのようにインフラが未整備な国では輸血用血液製剤を短時間に運ぶことは難しい。そこでZiplineは輸血用血液製剤をドローンで病院に配達する事業をルワンダで展開しており、この問題の解決に取り組んでいる。以前はバイクで4時間を要した配達が、Ziplineのドローンにより数十分にまで短縮されたという事例も存在する。

USなどの先進国では規制の面でドローンを活用した輸血用血液製剤の運搬を行うことができなかった。しかし、ルワンダは国として規制に対して柔軟で、スタートアップとともに一緒に制度を創り、そしてそのテクノロジーを活用してより良い国づくりをしようとする動きを見せている

ルワンダの夜景

Ziplineは2019年4月からガーナにも事業を展開し始めている先進的な取り組みをルワンダ国内で行い、その結果を持って別の国へ展開したスタートアップの良い事例であろう。

スタートアップが解く、アフリカのファンダメンタルな課題

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このように「それ、国がなんとする話じゃないの?」と思ってしまうようなファンダメンタルな課題に対して、アフリカでは多くのスタートアップがそれらの課題を解いている。

冒頭に記載した通り、これらのスタートアップは本当に魅力的だった。
スタートアップがつくる事業は人の生活を変え、大きな社会的インパクトをもたらしている。そしてその大きな社会的インパクトは起業家に強いやりがいを感じさせ、国内のみならず海外からも多くの起業家を惹きつけている。

マーケットとしてのアフリカにチャンスはあるのか?

一言で言うと「今はまだ小さい。しかしポテンシャルは大きい」というのが結論だ。例えばケニアのGDPは福島県と同じくらいで、約$750億(2017年の統計)のである。これだけ聞くとあまり魅力的に思えないかもしれないが、ケニアの2018年のGDP成長率は6.3%人口は右肩上がりだ。

ケニア_人口

(人口に関してはこちらで詳細なデータを見ることができる)

冒頭に申し上げたように人口は力であり、経済成長を促す大事な要因である。このような傾向は図から読みとれる通り、タンザニアやウガンダなど、アフリカ全土で似た傾向が見られる。国際連合による「世界人口予測 ・2019年版」によるとサブサハラ・アフリカの人口は2050年までに倍増(99%)するという予測がでている

そして今回は訪れることができなかったのだが、ナイジェリアの人口は既に2億人だ。モバイル・インターネット人口では国別で7位つける。そしてPwCの調査による2050年の将来のGDP予測では世界8位と非常に大きな伸びが期待できる。ナイジェリア出身スタートアップでY Combinatorからの卒業生も出ており、Fintech企業であるFlutterwaveはアリババと提携するなど、グローバルでの存在感を強めている。

アフリカは今、本当にインフラが未整備な状態からテクノロジーの流入が起きている。スタートアップがファンダメンタルな課題を解き、スタートアップ自体が生活のインフラとなるような動きは今後より一層加速するだろう。

終わりに

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正直に申し上げて、訪れる前の予想以上にアフリカは刺激的だった。
今回も現地で既に活躍されている方からのご縁があり、充実した訪問をすることができた。関わってくださった皆様に改めて感謝申し上げます

今は南米のコロンビアに滞在している。ソフトバンクがブラジルやアルゼンチンなどの南米やメキシコの企業に投資する50億ドル規模「ソフトバンク・イノベーションファンド」を設立し、アツい視線を注ぐ中南米には独特のマーケット・文化・スタートアップが存在しており、アフリカとは違った魅力を感じている。

もう少し中南米を周ったあと、このあとは北米に向かう予定である。ベイエリアとは少し雰囲気が違ったスタートアップが存在するニューヨーク、MSやアマゾンが本社を構えるシアトル、AI研究が盛んなカナダのトロントなどを訪れる。最新のテクノロジーに触れるのが今から楽しみだ!

ちなみに出会った方々から「お前次どこ行くんだよ?アップデート教えろよな!」と言われたので、英語アカウントをつくってたまに呟いてます。どちらでも良いので、要望や感想などがあれば、適当にTwitterで絡んでもらえると次も書くモチベーションにつながるので嬉しいです。

というわけで、次の国でも引き続き学びを得てきます!!💪

[追記] ナイジェリア訪問

実は世界一周を終えたあとで、アフリカで最も大きい市場を持つナイジェリアを自分の目で確かめたかったために、再び日本から飛行機を乗り継ぎナイジェリアを訪れた。結論から言うと、訪れることができて本当に良かったと思っている。(徐々に慣れたけどホントにカオスだった・・・)

直接足を運ぶことで、ナイジェリアにおけるスタートアップのアグレッシブさや力強さ、そしてテクノロジーが産業を変えようとしていることを、直接起業家と会うことで感じることができたからだ。その1つであるMVXchangeというスタートアップをご紹介しよう。

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ナイジェリアでは、外国為替市場が石油セクターに依存しており、輸出額の95%、国の歳入の80%を占めている。
毎日多くの船が海洋油田から輸出元となる採油された石油を運んでいるが、ここに目をつけたのがMVXchangeだ。

今まで傭船や海上貨物の予約プロセスは、非効率的であった。具体的には電話や対面での交渉が行われたり、中間業者の存在によって不要な費用がかかっていた。
そこでMVXchangeは、この業界へB2Bクラウドベースのプラットフォームを提供している。船舶の供給と、海上貿易や石油・ガス産業における物流・輸送サービスの需要を直接マッチングさせ、プロセスの集約と最適化を行うことで、この業界にディスラプションを引き起こしている。
ビジネスモデルはプラットフォーム上でのマッチングに対するフィーをもらうモデルだ。ユーザーにとってはベストな船を見つける時間の短縮や中間業者を省くことによるコストの節約が見込めるために、既に多くのユーザーに受け入れられている。

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加えて、CEOのTonye(写真一番左)は素晴らしく野心的だ。これまでの船での物資輸送の最適マッチングプラットフォームから陸へと進出し、物流として一気通貫でサービスを提供しようとしている。
(ちなみに下記ツイートの停電はこのカフェで頻発してました。カフェだけじゃなくてホテルでもどこでも停電するんだけど)

現地ではTonye以外にも多くの素敵な方々とお会いすることができた。改めて、テクノロジーが産業を変え始めているナイジェリアやアフリカには大きなポテンシャルがあると感じた。

このような素晴らしい起業家やスタートアップコミュニティの方々とお会いできたのは、今回の訪問も関わってくださった皆様のおかげです。本当にありがとうございました!

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コネヒト(@ママリ)共同創業者 Ex-CTO / 名刺アプリ「Eight」の立ち上げをしたり、起業して「ママリ」を開発してきました。 /「Pythonによるはじめての機械学習プログラミング」共著者 / 博士(工学)

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