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人が集う場をつくること


感染症対策の緊急事態宣言発令

2021年1月14日〜 僕の住む兵庫県を含め
新型コロナウィルス感染防止のため
11都道府県で発令されました
https://corona.go.jp/emergency/

感染された方には心からお見舞い申し上げます
また、日々感染対策を徹底しながらお仕事をされている
医療従事者の方々、本当にありがとうございます

新型コロナウイルス感染症により
数年前から変化の兆しが見えていた世の中にとって
誰の目にも時代の節目だと感じる状況だと思います


目まぐるしく変化する世の中

技術の進歩による、仕事やライフスタイルの変化

消費による資本主義経済の陰り

富裕層と貧困層の格差による分断

生活する上で、社会を考える上で
ひとむかし前の当たり前や、やり方が
確実に時代遅れになっていく感覚

何が正しいのかは、誰も示してくれません
自分自身で考え、更新し続けるしかない気がしています

変化する状況の中で僕が大事にしたい4つのこと

・楽しむこと
・愛着をもつこと
・経験をすること
・様々な人の考えを知ること

この4つを特に大事にしています


楽しむこと

何が正しいかわからない状況での判断基準は
自分自身が「楽しい」か「楽しくない」かだと思います
仕事や趣味、何事においても、なにかを成すには
続けること、やめないことが必須です
そのために「楽しむ」を大切にしています


愛着を持つこと

建築を含め、モノが溢れている中で
一つ一つに対してストーリーをしっかりと感じ取り
ときには自分自身で手をかけ
愛しいと感じるものが身の回りにあるということは
とても安心します

愛着は、相対的に評価されるものではなく「想い」です
分断が進む中でも普遍的なもの
お金に換金しきれない、絶対的な価値が「愛着」にはあります


経験をすること

目まぐるしく変化する中で
状況に合わせて一人ひとりの「思考」を深めるためには
生きた情報を取り入れる必要があります

インターネットに情報が溢れているので
それを取捨選択することも手段の一つかもしれません

でも、いろんな場所に赴き、様々な事象や人に触れることによって
「経験する」「他者を知る」ことに勝るものはありません

インターネットや、本や、口コミは、
誰かのフィルターを通して取捨選択された2次的な情報です
それを触れることによって知ったような感覚になりますが
主体的に感じることはできません

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社会福祉活動家のヘレン・ケラーは
幼少期から視覚と聴覚の重複障害者(盲ろう者)でありながら
アン・サリヴァン先生のおかげで、言葉を知り自ら考えを深め
教育・福祉の発展の啓蒙活動を行いました

生まれて間もなく、目も見えず耳も聞こえなくなった少女に対して
「経験をしたことであれば教えることはできる」とあらゆることを経験させ
その度に指文字で世の中のことを伝えました

そのことがヘレン・ケラーの生涯を通して、「思考」を深めることに結びついています


様々な人の考えを知ること

自分と違う、他者の考え方を知ることも
「思考」を深めるために大切だと思います

僕は文化人類学をルーツに「居場所を育てる」建築家として建築設計の仕事をしています

文化人類学の本質は「他者理解からの自己理解」です

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大航海時代の西洋人は、
アフリカの人や、ネイティブアメリカ、東南アジアの人々を、
文明が遅れた野蛮な民族だと虐げてきました

植民地としてヒエラルキーを作って制御しようとしてきましたがしばらくすると必ず軋轢が生まれる
そのときに、相手を理解し軋轢を解消しようと文化人類学が生まれました

文化人類学の調査方法で一番重要なのが、
フィールドワークによる参与観察です
それは実際に知りたい人々のコミュニティに入り、一緒に生活をすること
共にご飯を囲み、暮らし・状況を共有することによって
はじめて他者の本質的な考え方を理解することができます

研究が進むと、野蛮だと虐げてた人々の考え方が実はとても哲学的で、科学とは別の文脈でロジカルだということが理解されはじめました

今では、様々なクリエイターや研究者、アーティスト、ビジネスにおいても文化人類学の考え方や研究成果を参照しています
自分と違う価値観を理解することで、結果的に自分自身を見直すとこができ、「思考」を深めることに繋がるからです

これは身近な状況でも十分に応用すべきだと考えています

同じ言語が喋れて、会話ができている他者でも
・ライフスタイル
・仕事の内容
・社会的に関わっている人の性質
・生い立ち
・経済状況
・どんな経験を重ねたか
によって、見えている景色が少しずつ異なります

生活している状況がことなり、違う景色を見ている人とは「話が微妙に噛み合わないな」と思うことはありませんか?

相手を本質的に理解するためには
場を共にして、いろんなことを聞き、感じる取ることが必須です
僕はそれを大事にしていたいと考えています

人が集う場をつくること

僕自身は以上の大事にしたい4つのことを踏まえた上で
ライフスタイルを定め、想いを持って仕事をしています

建築家として建築という人のための場をつくるとき
人が集う心地の良い居場所を
「育てる」(僕や工務店さんだけでつくるのではなく、お施主さんを含めみんなで場を整え続ける)
ということを意識しています

場所は一人の力で育てることはできません
いいところ、気持ちいいところ、楽しい思い出をたくさん作って
想いと愛着を込めるしかないです

その為には、人が集まり交流し関わる人、まちの人、
あらゆる人とちゃんとコミュニケーションを取りながら
構想、設計、施工、竣工後にも関わり続ける必要があります

その行為は、紛れもない僕のアイデンティティです

今こそリアルでの
人と人とのコミュニケーションが大切だと
確信を持っています

今のご時世、集まるなんて不謹慎
そんな気持ちや不安の意見があるのは承知しています
マスクをせずに不特定多数と接するのはNGだと思います

緊急事態宣言を無視して、集うことを推進するつもりもありませんが
これからもこのポリシーをもとに、仕事をし生きて生きたいです


新型コロナウィルス感染症が早く収束することを祈っています


※トップの写真は、2020年2月 コロナウイルス流行前 awai KIYOSHIKOJINオープニングパーティの写真です

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