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ヒアルロン酸による塞栓症について考える

こんにちは!

前回は2月半ばに報道のあった、脂肪吸引での死亡事故を受けて、
患者さんが治療後に何か異常を感じた場合
どうしたらいいのかについてお伝えしました。

前回のnoteをまだお読みでない方は
ぜひ、ご一読ください。

さて、美容医療のトラブルは外科的な施術ばかりでなく、
ヒアルロン酸注入などの非外科的な治療でも起こることがあります。

今回は、ヒアルロン酸注入で起こりがちな
塞栓症について解説します。


■塞栓症って何?

「塞栓症」とは簡単にいうと、血管が詰まること。
血管に針が刺さったまま血管内にヒアルロン酸を注入すると
血管塞栓による血流障害が起きて、皮膚壊死や視力低下、
本当に稀ですが、失明などの重篤な合併症になることがあります。

また、血管の近くで大量にヒアルロン酸を注入すると
血管が圧迫されるリスクがあります。

事故のレポートを見ると、
失明については、高い確率で注入中に起こるようです。

■ベテランドクターでも塞栓症は起こる

塞栓症はどんなにベテランのドクターでも、
リスクがゼロにはなるものではありません。
針を皮膚に刺して、ヒアルロン酸を皮下に注入する際、
血管は皮膚の下にあるので見えないし、
バリエーションがあるため、どうしてもトラブルが生じるリスクがあります。

ドクターは、ヒアルロン酸が逆流していないか確認しながら
細心の注意を払って注入したり、鈍針を使ったりしても、
塞栓症を起こす可能性はあるのです。

血流が悪くなると皮膚の色が紫や赤黒くなりますが
自分の症状が単なる内出血なのか、患者さんは判断が難しい。

内出血の場合は、時間の経過とともに色が薄くなりますが、
血流障害の場合はどんどん悪くなり、黒みを帯びていきます。
(血流障害は鼻唇溝、鼻、目の下、唇など顔の中心に起こることが多いです。)

また、内出血は針を刺したところを中心に広がりますが、
塞栓症は注入したその先(注射していないところ)が変化することが多いのが特徴です。

皮膚壊死の症状は、その場で分からないことが多く、
帰宅してから皮膚の色が変わってきたというケースがよくあります。
また、ヒアルロン酸の施術者がわかることですが、
注入時に一瞬、皮膚の色が白くなり、気づくこともあります。

いずれにせよ、気になったことがあれば、
すぐにクリニックに連絡することが大切です。

■ヒアルロン酸で失明する?

本当に稀ですが、ヒアルロン酸注入で失明することもあります。
アジア人は鼻にヒアルロン酸を入れることが多いのですが、
鼻は血管のネットワークが豊富な部位。
鼻の血管から、顔面動脈~眼角動脈に流れ込んだヒアルロン酸が
眼動脈へと移動して、失明することがあるのです。

レポートによると、失明の場合、
ヒアルロン酸の注入中に目が痛い、
見え方がおかしいなどで、気づくことが多いそうです。

ですから、患者さん自身が、おかしいと感じたら
すぐにドクターに知らせることが大切になります。
ヒアルロン酸は使用頻度が最も高いので、合併症の事例が多くなりますが、
ハイドロキシアパタイトや脂肪注入でも
血流障害や塞栓症を起こす可能性はあるので注意が必要です。

■聖心美容クリニックのプレミアムPRP

聖心美容クリニックの場合、ほうれい線や目の下のくぼみなどは、
プレミアムPRPの再生療法を行っています。
プレミアムPRPは塞栓症のリスクが極めて低いので、
安全管理のひとつと考えています。

(鼻筋を通す施術は、PRPでは対応できないため、ヒアルロン酸かGメッシュというスレッドに頼ることになります。)

また、患者さんには、インフォームドコンセントをしっかりして、
説明書をお渡ししていますし、
何かあったら連絡してくださいと伝えています。

当たり前のことのようですが、
こうした注意喚起を怠るクリニックがあるのです。

ドクターのカウンセリングのときに塞栓症の説明がない、
同意書にリスクの説明がない、
「塞栓症のリスクは?」と聞いても、「そんなものないよ!」と言われたら
怪しいので注意してください。


美容医療は適切に提供されれば、
患者さんに自信を与え、
人生をより豊かにする素晴らしい手段になります。

美容医療は、美への要求が高まっている時代に
なくてはならない医療分野のひとつです。

美容医療クリニックの役目として、
患者さんが安心して美容医療を受けていただける基盤づくりが
求められると思っています。

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