issuesの経営にあたって大切にしている7つのこと
くらしの悩みをみんなで解決する「issues」を提供する政策×テクノロジー領域のスタートアップ・株式会社issues代表取締役の廣田です。
この記事では、僕がissuesの経営にあたって大切にしていること7つをまとめました。issuesへの入社・投資・提携・利用などを検討されている方々に参考にして頂く目的です。
なおチームの共通見解(いわゆるバリュー)ではなく、あくまで私個人が大切にしていることです。またなるべく不変のものを選んだつもりですが、会社として、または経営者としてのフェーズが変わるにつれて変化していく可能性もあると思います。
①正義のために力にこだわる
古今東西、様々なところで提唱されてきた普遍の心理だと思います。
「正義」はビジョン・ミッション・理念などに、「力」はキャッシュ・利益・戦略・事業成長などに置き換え可能。
1つこだわっている点としては「正義」が目的で「力」が手段であるということ。局面によってどちらを優先するかは変わってきますが、目的は見失わないようにしたいです。
ちなみに、issuesがどんな「正義」を掲げているの?という点に関しては、実は今はまだ意図的にふわっとさせています。
PMF(Product Market Fit)前のいまの段階で会社のビジョン・ミッションを固めてしまうと、それがマーケットニーズと合っていなかった時にしんどいことになってしまうからです。
廣田個人としては「世の中をこういう風に変えて行きたい!」という想いをいくつか持っていて、それらを元にissuesを始めました(以下参考記事)。
PMFしていくにつれて、市場や社会のニーズと僕(及び最初の10人くらい)の想いが重なる所を会社の「正義」として定めていきたいなと思っています。
②小さく素早く何度も失敗して学ぶ
新しい物事を始める時、机の上で立てた企画や設計は基本的に外れるものです。少なくとも、僕はだいたい外れます。
だから常に、小さく、素早く、何度も失敗して学び、少しずつスイートスポットに近付けていくようにしています。
例えばissuesの企画段階では、4つの自治体で対面での政策提言をサポートしてみたり、2週間ほど毎日2〜3時間にわたって選挙ボランティアをしてみたり、いち市民として地元の議員さんにメールを送って会いに行ってみたり。
また実装にあたっては、手書きで1人20個くらいプロトタイプを作り⇨相互フィードバックを経て数個に絞り込み⇨figmaでモックアップを作り⇨ユーザーからフィードバックをもらい⇨GoogleFormで実装して⇨良い数字が出たらレポートにまとめて⇨コアな部分を実装し...のように進めていたりします。
このように、可能な限り実装せずに仮説検証をすること。小さく素早く何度も失敗を重ね、打ち手の精度×回転数を最大化することにこだわっています(以下参考記事)。
スタートアップ的な事業は、大きくなる過程で何度も何度も何度もPMFを繰り返していくものだと思っています。なのでこのスタンスは今後もずっと大事にしていくつもりです。
③価値観や目標の同一性、キャラクターや能力の多様性
目標と価値観が同じであれば、同じファクトや数字から同じ結論にたどり着けます。つまりチームで同じ価値観や目標を共有すると、意思決定の速度や納得感があがったり、権限移譲しても組織としての意思統一がしやすくなります。
価値観に関しては、根っこの所(お金の使い方、人生における仕事の優先順位、誠実さ、正直さなど)についてはそう簡単に変わらないので、最初の段階でスクリーニングをするのが大切です。
一方で実務的な内容については後からすり合わせ可能です。例えばissuesチームでは週に1回、各自が他のメンバーに意識してほしい内容がまとまっているネット上の記事などを持ってきて「ペア読書」を3人でやっています。
これを始めてから、3人のサービス開発に対する価値観が擦り合わされてきて、意思決定の速読や納得感、また精度に関しても上がってきたと感じます。
目標に関しては、基本的にはチームに入った後からすり合わせてます。現時点で政治や政策に興味がなくても問題なし。なんせ僕だって元はベビーシッター事業をやろうとしてたくらいです。issuesを知ってもらう過程で、我々の目指しているものに魅力を感じてもらえるようにする。それは僕の仕事です。
また、キャラクターや能力が違う人たちでチームを組むのも大切にしています。ルフィが10人いる海賊団ではグランドラインには行けないからです。
キャラクターは根っこの部分の価値観と近くて、大人になると中々変わらないので、チームを組む段階でバランスをとるようにしています。DiSC理論というのが使い勝手が良いのでよく使うんですが、僕はDominance x Influence(コントローラー×プロモーター)、CTOはConscientiousness(アナライザー)、CDOはバランスが良いタイプです。4人目にはSteadiness(サポーター)的な要素が強い人にジョインしてもらえると良いなと思ってます。あと実は一番大切なのは「素直でいいやつ」であることです。
また能力については、現時点でのテクニカルスキルよりも、成長のベクトルを大切にしています。創業期はジェネラリストが必要ですし、目指す所にたどり着くには僕自身も含めて大きく成長しなければならないからです。なので地頭の良さ×学習意欲×素直さ×修羅場経験の豊富さと、技術・デザイン・ビジネスの枠内で今いるメンバーよりも優れた点が1つでもあるかどうかを大事にしています。
④勝負所で倍プッシュ
物事には勝負所があると思っています。絶対に勝ちきらねばならない局面、行く末を左右するタイミング。そこでは全てを投げ打ち、狂気的な賭けをしなければ偉大なことは成せません。
僕が過去に取締役として共同創業したマナボというスタートアップの創業社長(issuesの初期の投資家でもあります)は、狂気を感じるほど常にアクセルをベタ踏みしていく人でした。マナボが一定の評価額で売却Exitに辿り着けたのは、彼の才覚による所が大きいです。しかし当時の僕には、勝負所でない場面でも無駄にアクセルを踏もうとしているように見えて、何度もぶつかったりしました。
しかし一方で、世の中には然るべきタイミングで勝負を仕掛けられず、事業を伸ばせなくて悔しい想いをしている経営者もたくさんいます。シェアリングエコノミーの波が立ち上がるタイミングに良い事業を仕込んでいたのに、勝負をかけきれず競合に負けてしまった、という話をこれまで何人もの経営者から聞いてきました。
勝負所を見極める目と、そこに狂気を持ってベット出来る胆力。これらを合わせ持つ経営者でありたいです。
⑤純度の高い循環を作る
基本的に、スタートアップは局地戦の一点突破を仕掛けなければ勝てません。なので基本的に、可能な限り不純物は取り除く。プロダクトも、組織としてのリソース配分も同じです。そのために99%の物事にNOを言うのは僕の仕事だと思います。
一方でそれを突き詰めていくとどこかで「AかBをどっちかに絞る」よりも「AとBを両方やることで相乗効果でパワーアップ」みたいな場面に出くわします。
例えばワークライフバランス。僕はこの2つはうまく循環させるものだと思っています。
例えばマナボ時代、学生上がりのちんちくりんだったこともあり、僕は最初の半年は週に100時間働いて、ひたすら目の前のタスクをこなしてました。当時の僕には必要な時間だったと思いますが、一方で短期的なアウトプットのための仕事ばかりやっていると段々とパフォーマンスが落ちてくるということを身をもって学びました。
そこで今は、普段の足元で成果を出すための仕事は1日8時間で終わらせることを目標にしています。いまのフェーズ、かつ僕の家族構成(共働き子供なし)だと平日はなんだかんだ夜中までやってることのほうが多いですが、土日祝は死守。
そうして作り出した時間を使い、ベンチマークする企業の分析をしたり、業務で必要な知識を本で仕入れて自分の戦闘力を上げていく。睡眠・運動・瞑想などでコンディションを整える。家族と過ごす時間を大切にして信頼貯金を貯めておく。ブログ記事を書いて自分の考えをまとめ、資産となるコンテンツをWeb上に増やしていく。いつか一緒に仕事したい友人と飲みに行く。プライベートで事業領域と関連したサイドプロジェクトをやり、学びを得る。
そうこうしているうちに、数カ月に一度くらいは勝負所となる(あるいはピンチの)場面がやって来ます。そういう時には全てをつぎ込んで(極端に言えば24h/7d体制で)戦う。有事にそれが出来るようにするためにも、平時には短期のアウトプットに充てるリソースを意識的に制限する前提で計画を立てています。
将来的にジョインする仲間に対しても、スタートアップだからといって長時間労働は求めません(フルリモートなこともありうちのチームは成果でしか測りません)。その代わり、チームとしての総体的なスループットを最大化することにコミットしてほしい。別の言い方をすれば「週100時間はたらく」のではなく「24h/7dを事業の成功のために最適化する」ことにこだわって欲しいと思っています。
例えばバリキャリカップルで未就学のお子さんがいれば、週の半分は朝に保育園に子供を送り、夕方に保育園のお迎えに行って寝かしつけまで育児・家事にコミットしてほしい。病児保育が捕まらなければ熱を出したお子さんを迎えに行ってほしいし、土日はご家族で過ごしてほしい。これを全て配偶者に押し付けて仕事ばかりやっていると、家族の信頼貯金を失い精神的に辛い状況に追い込まれ、長期的に高いパフォーマンスを上げることはできないからです。
その代わり、育児をしていて困った事があったらissuesのトピックにして政策で解決できないか考えてほしい。保育園の父母会に出て仲良くなった人は採用候補者として口説いてほしい。実家が近くにあれば良好な関係を築き、複数の信頼できるベビーシッターさんに普段から定期的に依頼しておいて、有事に備えてほしい。
また業務においては、仕事内容を可視化して何かあったときに他のメンバーがサポートに入りやすいようにしてほしい。必要な時に同僚からの協力を得られるよう社内の信頼貯金を貯めることにこだわってほしい。働き方に制約のあるシニアな社員の採用・定着ができるような文化や仕組み作りにコミットしてほしい。
…そんなふうに思っています。この10年の採用市場の環境変化もあり、こういう組織作りをしないと優秀な人を惹きつけ定着させることができないと本気で思ってるんですよね。そのあたりは↓↓の記事をご参照ください。
⑥常に最悪の事態を想定し、何か起きたら素早く誠実に対応する。
スタートアップをやっていると、必ずピンチがやってきます。どこまでヘッジするかは悩ましい所ですが、常に最悪の事態を想定しておかなければ一発ゲームオーバーになりかねません。
マナボ時代、外部環境の変化からファイナンスが出来なくなってチームを20人から6人に絞ったり、エンジェルからのつなぎ融資でなんとか食い繋いだ時は本当にしんどかった。僕らはいくつもの幸運が積み重なって良い着地を迎えたけれど、運に恵まれなければきっと潰れていました。常に最悪の事態を想定し、次の一手を用意していなければならないと思います。
そして人間のやることなので必ずミスをするし、新しいチャレンジをしてるので必ず事故も起きます。そういう場面では、とにかく素早く、そして誠実に。つい誤魔化したり逃げたくなる自分がいるけれど、正面から向き合う強い心を持ちたいです。
⑦人事を尽くしきって天命を待つ
本当に偉大な事業を作れるかは、運による所も大きいんじゃないかなと思います。こればかりはどうにもなりません。
ですが過去の経験上、ひたすら人事を尽くしきると、運は結構味方してくれるなと思います。
できる事を最後までやりきると、色んな方面から思わぬ助けが降ってくる。でもやりきらないとなかなか来てくれないんですよね。不思議です。
最後に
issuesでは4人目の仲間(ソフトウェア開発者)を募集中です!
最初は飲みに行ったり、CTOが好きな山登りを一緒にやったり、事業や組織についてのディスカッションをやってみたり。お互いピンとくるようであれば、業務委託からスタートさせて頂くイメージです。
フルコミット開始時には、収入面がボトルネックとなって業務効率が落ちるということがない程度の給与、そしてオーナーシップを持ってもらえるよう一定割合の生株ないしストックオプションを持って頂くことを想定しています。
関心を持って頂けた方、よかったら一度お話しましょう!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?