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tomekantyou1
涙のバトン
涙を流すんだ
流れ落ちたその涙は
オイルのように
錆びれた心を動かすだろう
忘れていたにおいも
夕焼け空も
戻ってくるかもしれない
枯れた後の感傷のような
虚しい夜がいくつも過ぎて
流れるほどの
涙の源泉は見当たらない
失われてしまったのか
そもそも
初めからなかったのか
機械仕掛けの心の間を
落ちていくのは何?
新しい環境だけが
いくつも移り変わっていくけど
心は止まったまま
正体不明の影が
私のフリをして
街を歩いている
涙さえ流せば
影は地面に吸収されて
私をここへ
連れ戻すはずなのに
なかったものの中に
人の入るすき間はなかった
母さんだって
知ってたけど
ほとんどの人と同じ
源泉の枯れた人だった
家って何?
育つところって何?
涙のバトンは
どこかで途切れたまま
憧れだけが
思い出をリセットする
そこにいたのかどうかと関係なく
無数のメディアが彩る
万華鏡のような街の中
セトモノのような
機械仕掛けの人形たちが
いつ止まるか分からないまま
走っている
回っている
それを見て
私の酔いは回る
源泉は枯れる
そこまで遠くにする
必要もない人と
遠くにしなきゃ
生きていけない人と
伸ばした手が
届くか届かないかの
ギリギリの範囲で
世界はまだ
かろうじて回っている
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