空震祭

「クウシンサイ、って何？」
「なんだと思う？」
「祭り？」
「祭り？どんな？」
「うーん…空が震える祭り？」
「いいねぇ。で？どうやって空を震わせるんだ？」
「そこは大砲でしょ。空砲をドンドン撃ち鳴らす」
「うんうん。いいねぇ。ドンドン撃っちゃえ」
「あのさぁ、お前、俺を馬鹿にしてる？」
「してない。でもさ、祭りっていうからには、何を祀っているの？」
「そりゃ、雨乞いさ」
「ふんふん。あるよね。大砲撃っての雨乞い」
「だろう？」
「どこの祭り？」
「どこ？」
「どこの祭り？」
「うーん。イギリス」
「イギリス？」
「あ、いや、イギリスは違うな。台湾だ。台湾」
「台湾？」
「うん。台湾。雨が降るまで大砲を撃つ。雨が降るまでの時間でその年の農作物の豊作凶作を占うんだ」
「ふうん…」
「いや、あのさ」
「ん？」
「クウシンサイってホントは何？」
「ん？」
「クウシンサイ」
「野菜」
「え？」
「今度食べさせてあげるよ。ニンニクで炒めると美味しいから」
「マジ？」
「マジ」
「・・・そう」
「うん」