「大粛清」という米国の民主主義の危機がイスラエルにも及ぶ
キャロライン・グリックが今週末にイスラエル・ハヨームに投稿した論説は、米国の民主主義が直面する危機を「大粛清」という言葉で表している。[1]
日本のメディアや専門家にだまされてはいけない。バイデン民主党政権が実行していることは、まさに大粛清と呼ばれるような事柄なのだ。
米国の民主主義が直面する重大な危機は、民主党と米国の実業界との融合から発出している。哲学者のアンジェロ・コデヴィラ(Angelo Codevilla)はこのような権力の融合を、「寡頭制」(oligarchy) 支配と呼ぶ。この寡頭制が、米国の共和政に置き換わろうとしている。ボストン大学の教授であるコデヴィラは、昨年11月20日に投稿した記事の冒頭で、次のように述べていた。
「支配階級は、2020年の選挙における選挙運動と不正行為によって、立憲共和政の一員であるかのように振舞うことをやめたのである。支配階級のメンバーたちは、同胞であるアメリカ人を劣った人々として扱う言行によって、公民権を我々と共有することを放棄したのである。説得を避けることで、彼らは公然と操作された選挙への服従を強制することに着手し始めたのである。」[2]
この寡頭制の出現は、今や「大粛清」という形で実行されている。この大粛清の目的は、トランプの忠臣たちの代わりにバイデンの忠臣たちを政府の権力の座に置くことではない。大粛清の目的は、正当な政治的な勢力である共和党とその投票者たちを「消去」することであり、その結果として、米国を一党制へと転換することである。この目標を達成するために、政府内の民主党員と、米国の企業体とビッグテック・メディアの中の民主党のパートナーたちは、彼らの権力を利用して、トランプや共和党を支持するという「犯罪」の故に、何千万の個々の一般市民を、抑圧し、沈黙させ、破滅させ、有罪とするのだ。
ビッグテックの巨大企業が互いに協調しながら、トランプ大統領のすべてのソーシャルメディア・アカウントをほとんど同時に消去したことは、いわば序盤の布石だったのだ。トランプ大統領に対する議会の迅速な弾劾がそれに続いた。支配階級は今後何年もトランプを破滅させるために権力を濫用し続けることになるだろう。なぜなら、トランプが持ちこたえた時には、支配階級のメンバーたちが破滅することになるからである。
支配階級による大粛正は、弁護士たちにも及んでいる。クレタ・ミッチェル弁護士は、ワシントンの法曹界には欠かせない人物だった。ミッチェル弁護士は、ジョージア州における選挙上の課題に取り組むトランプ弁護団の一員だった。彼女がトランプを弁護すると表明した時、リンカーン・プロジェクトのメンバーである民主党の工作員たちが、彼女の弁護士事務所からクライエントを立ち去らせることで、彼女の弁護士事務所を脅迫した。
リンカーン・プロジェクトが彼女の弁護士事務所を脅迫した次の日、ミッチェル弁護士は辞任を表明した。彼女の辞任表明から1時間以内に、彼女に関するすべての言及が、その弁護士事務所のウエブサイトから消去された。
1月6日以降、係争中の複数の州の選挙人投票に対して合法的に異議を唱えたクルーズ上院議員とホーリー上院議員の弁護士資格の剥奪を求める嘆願書は、何千人もの署名を集めている。ハーバードの学生たちは、トランプ政権の補佐官たちや政治的盟友の学位を取り消すことを求めている。
連邦議会議事堂の内と外で抵抗運動に参加した普通のアメリカ人もまた、粛清の対象とされている。医師、弁護士、州議会議員、警察官、その他の人々は、ただ抵抗運動に参加したという「犯罪」が明らかになっただけで、「追放され」た後で、職を失っている。
ジェームズ・コミー元FBI 長官は、この粛清の目標を明確に示した。「共和党は焼き尽くされるか、変革される必要がある」と彼はガーディアンに語った。彼は人々が喜んでそのことに賛成すると考えているのだ。
不幸にも、この問題は米国だけに留まらず、イスラエルにも及んでいる。イスラエルの新希望党のギドン・サール党首は、この粛清の扇動者たちを輸入し始めている。3月の選挙を目前にしたサール党首は、リクード党のネタニヤフ首相に反対する選挙運動を運営させるために、4人のリンカーン・プロジェクトの設立メンバーを雇用したと伝えられている。
リンカーン・プロジェクトは元共和党員たちによって運営されている。彼らはトランプと共和党員と共和党支持者たちを悪魔化することによって、民主党を支援してきた。2020年の選挙における彼らの努力の成果は、取るに足りないものだった。トランプは2016年よりも11万票も多くの票を獲得した。
トランプが敗北したのは、共和党員がトランプを支持するのをやめたからではない。彼が敗北したのは、民主党員が大規模に投票者の基盤を増大させたからである。リンカーン・プロジェクトの仕事の成果があまりにも惨めだったので、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員は、リンカーン・プロジェクトに対し、民主党の寄付者たちによって調達された未納の資金を、選挙で実際に勝利した民主党の組織に与えることを要求した。
しかしリンカーン・プロジェクトは、選挙の失敗の後で、本領を発揮した。オカシオ=コルテスが民主党員に対し、ブラックリストを用意するために、トランプ政権の当局者たちのデータベースを作成するよう命令した時、彼女は全体主義者と呼ばれてさらし者になった。しかし、リンカーン・プロジェクトの「元共和党員たち」が、そのようなリストを作成していると言った時には、抵抗なく通ってしまったのである。それ以来、リンカーン・プロジェクトは、トランプの弁護士からホテルに至るまで、すべての関係者をブラックリスト化し、消去する道を指導してきたのであり、1月6日にワシントンに来ていたトランプ支持者たちが利用したウエブサイトを閉鎖したのである。リンカーン・プロジェクトは今や、ジョージア州の郡選挙管理委員会の女性議長からケビン・マッカーシー下院少数党院内総務に至るまで、あらゆる人を解雇することを求めている。
この4年間、メディアや法曹界と手を結んだイスラエルの左翼は、米国の民主党員たちがドナルド・トランプを破滅させようと取り組んできたのと同様の仕方で、ネタニヤフ首相を破滅させようと取り組み続けてきた。米国の大粛清は、地上で最も強力な民主主義の国の民主的な秩序を、すでに危機に追い込んでいる。この大粛清の扇動者たちをイスラエルの政界に統合したサール党首の決断は、将来のイスラエルにとって極めて不吉な前兆となっているのである。
[1]https://www.israelhayom.com/2021/01/22/americas-great-purge-and-israel/
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