起承転結だけではない、物語の構成について
皆さんこんばんは、福田達也です。
何か物語を作る時には起承転結を意識するといいよという風に聞くことがよくあります。4コママンガをイメージするとわかりやすいですね。3コマ目にびっくりするような展開があってから落ちがあるというものです。
一方で、昔の朧げな記憶では、物語の構成はもっと沢山種類があったような記憶があります。特に長編のもの向けの10個以上の内容に分かれているのもあったような気がするなと。
気になったのでこの機会に調べてみました。
起承転結とは
起承転結のはじまりは4行から成る漢詩(近体詩)の「絶句」であると言われているそうです。絶句は、少ない文字数で効果的に内容を伝えるために、起句、承句、転句、結句で構成されています。
起句は、物語の前提や背景、設定を伝える句です。物語が置かれている状況や何の話が始まるのかを理解してもらうためにあります。
承句は、本題に繋がる導入部分です。これから起こる展開を予感させたり、起句の内容を深掘りしたりすることで、メインとなる出来事が起こる前に何があったかを話します。
転句は、物語のメインの部分です。物語が大きく発展したり、ハプニングが発生するなど、伝えたい内容を盛り込みながら結句に繋げます。
結句は、物語の結末に当たる部分です。転句の後に何が起こったのか、結果を伝えることで全体の展開を締めくくります。物語の謎や伏線もここで回収します。
このように、古くは漢詩において、短く話の内容を伝えるためのものが、四字熟語として定着し、長く愛されるようになったものが「起承転結」です。
起承転結だけじゃない!物語の構成方法
起承転結は典型的な物語の構成の1つですが、文章や物語の構成方法はこれに限りません。ビジネス文書であれば、以前に紹介したようなSDS法やPREP法で結論から書く方が適しているでしょう。
物語の構成という分野に絞っても、起承転結以外の構成方法はいくつかあることが知られています。
序破急
日本古来の構成方法という観点では、起承転結よりは、寧ろこちらの「序破急(じょはきゅう)」の方が馴染みがあると言えるでしょう。最近ではエヴァンゲリオンの映画のタイトルにも使われていたので、聞き覚えのある方も多いと思います。
序破急は日本の雅楽から出た概念であり、能楽や連歌にかぎらず、剣術や茶道など、芸道論一般で使われている言葉でもあります。
序は、雅楽では無拍子でゆっくりとスタートする部分です。物語においては導入部分となり、物語の前提や状況説明などにあたります。起承転結でいう「起」や「承」の部分ですね。
破は、静けさを破り拍子が加わる部分です。物語においては、挫折や葛藤など、大きな展開や転換を迎えるメインの部分です。起承転結で言えば「転」の部分に相当するでしょう。
急は、クライマックスに向けて、さらに速度が早くなり、雅楽を締めくくります。物語の結末に当たる部分で、破で発生した障害や問題を収束させます。起承転結で言えば「結」の部分にあたります。
4部構成の起承転結に比べて、3部構成の序破急は、より短くスッキリとした印象がありますね。
起承鋪叙結/起承鋪叙過結
起承鋪叙結(きしょうほじょけつ)/起承鋪叙過結(きしょうほじょかけつ)と読みます。起承鋪叙結は5部構成、起承鋪叙過結は6部構成です。4部構成の起承転結を更に拡張したものになります。
ただ、起承鋪叙結/起承鋪叙過結のいずれも、調べてみてもあまりきちんとした情報ソースが見つかりませんでした。ですので、今回は個人ブログの紹介とさせていただきます。
起承転結の「承」の部分を詳細にしたり、「転」の部分を2段にしたりといった形で展開するようです。5部構成は、「起・承・転・大転・結」だ!と言っている方もいました。
終わりに
本日は起承転結に限らない、物語の構成方法を調べてみました。一言で物語の構成と言っても、いくつかパターンが有りますね。
ところで、調べてみて疑問の思ったのは、「起承転結」が日本に浸透したのはいつの頃なのだろうかということです。歴史的な経緯を考えると、「序破急」の方が浸透していてもおかしくないと思うのですが…。理由がわかれば、また記事にしたいと思います。なお、海外では「起承転結」の構成は一般的ではないそうです。
また、序文に書いた「沢山の章に分かれている」というのはジョルジュ・ポルティの36の劇的局面というものでした。今回紹介しきれなかった構成(三幕八場やIMRAD)もあるので、また別の記事で調べたいと思います。
本日も読んでいただき、ありがとうございました。
また次の記事でお会いできることを楽しみにしています。
参考文献
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