見出し画像

【月次更新】デジタル証券(ST)市場のファクトデータ図解を公開します(24年1月)

こんにちは、プログラマブルな信頼を共創したい、Progmat(プログマ)の齊藤です。

2024年も10%弱(1M/12M)が過ぎてしまいましたが、皆さまの進捗はいかがでしょうか…(信じられない)

さて、第10回記事では「一足早く振り返る、デジタル証券市場の直感的グラフと”2024年へのインサイト”」と題して、2023年12月上旬時点でのデジタル証券(ST)市場概況について解説していました。

2024年は、年次の解説ではまとめきれないレベルでのST市場急成長が予想されるため、最新状況を月次でまとめて解説していきたいと思います。
noteでの解説に加え、一連のスライドについてもお手元で参照できるよう、全公開します。

ということで、通算16回目の本記事のテーマは「【月次更新】デジタル証券(ST)市場のファクトデータ図解を公開します(24年1月)」です。

※当然ながら、個別案件の投資勧誘等を行うものではありませんので、ご留意ください


サマリ

2024年1月に公開(ローンチ=有価証券届出書提出)されたST案件は、全部で3案件でした。

  • 【不動産ST】DREAM・リアルティ・トークン -Residence 1-(デジタル名義書換方式)

    • ダイヤモンド・リアルティ・マネジメント(三菱商事のAM子会社)の1号案件(=三菱商事グループのST市場参入

    • 三菱UFJ信託銀行 & 大和証券 & Progmat

  • 【不動産ST】不動産のデジタル証券~那須・アウトレットモール~(譲渡制限付)

    • AuM226億円(!)

    • 三井物産デジタル・アセットマネジメント(MDM) & 三井住友信託銀行 & 野村證券 & BOOSTRY

  • 【不動産ST】ケネディクス・リアルティ・トークン グランドニッコー東京ベイ 舞浜-2(デジタル名義書換方式)

    • 運用期間30年(!)

    • ケネディクス(KDX) & 三菱UFJ信託銀行 & 大和証券/SMBC日興証券 & Progmat

「ST銘柄一覧」情報はこちら☟(CoinDesk JAPANさん特設サイト)

ファクトデータ図解のスライド全量はこちらで公開していますので、リンクを置いておきます☟


ST市場全体

アクティブ案件(ローンチ後~償還前)の総額は、2,020億円を突破しました。

ST案件規模の推移

現状の成長ドライバーは「不動産ST」であることは変わらず、不動産STのみで今年度の新規ST案件は1,433億円、3月末までの発行見込額を含めて1,600億円を突破しそうです。

新規ST金額内訳


不動産ST市場

全体傾向

1月の新規案件のうち2件が100億円超であり、大型案件化の傾向を更に強めています。(大型物件でもST案件として組成できるようになると、個人投資家の方にとっての運用対象の幅が拡大します)

不動産ST|案件規模推移

10年超の案件がいくつか組成されていましたが、直近の1月の新規案件では遂に30年の案件が公開され、運用期間長期化の傾向を更に強めています。(長期の運用が可能だと、不動産マーケットサイクルのアップサイドを狙える蓋然性が高まり、AMにとっての運用の柔軟性や、発行体にとっての拠出対象不動産の幅が拡大し、結果として投資家にとってもプラスとなります)

不動産ST|運用期間推移

1投資家あたりの投資額は全体的に少額化しており、上述の「案件大型化」+「期間長期化」と相まって、「より広範な個人投資家が、小口で長期のST運用を開始している」傾向が見て取れます。

1投資家あたり投資額

発行体別分析

1月は、既存のKDX&MDMで1件ずつ件数が増えたほか、DREAM(三菱商事のAM子会社)の新規参入で1件プラスとなっています。

不動産ST|発行体別|新規件数

上述のとおり、既存のKDX&MDMでの組成額が増えたほか(特にMDMは226億円案件で一気に伸長)、DREAMも1号案件から相応に規模の大きい組成(70億円)となりました。

不動産ST|発行体別|新規組成額

KDXが案件大型化で先行している状況は12月までと不変ですが、1月の新規案件によりDREAMも70億円、MDMも年度平均59億円、と発行体を問わず全体的に大型化傾向といえます。

不動産ST|発行体別|平均案件規模

KDXが運用長期化で先行している状況は12月までと不変(10年超案件×2件あり)ですが、1月の30年案件により、その平均期間自体も一気に伸長しています。

不動産ST|発行体別|平均運用期間

1月は、KDXとDREAMでそれぞれ三菱UFJ信託銀行に1件ずつ、MDMで三井住友信託銀行に1件、新たな信託組成を委託しています。

不動産ST|発行体別|受託態勢

1月は、KDXが大和証券とSMBC日興証券の2社に1件、DREAMが大和証券に1件、MDMが野村證券に1件、新たなST案件販売を委託しています。

不動産ST|発行体別|販売態勢

受託者別分析

1月は、三菱UFJ信託銀行が2件、三井住友信託銀行が1件、新規受託しています。

不動産ST|受託者別|受託件数

1月は、三井住友信託銀行が+226億円、三菱UFJ信託銀行が+194億円(70億円+124億円)、新規受託しています。

不動産ST|受託者別|受託金額

仲介者別分析

1月は、大和証券が2件、SMBC日興証券が1件、野村證券が1件、新規で取扱しています。(うち1件は大和証券/SMBC日興証券の協業案件)

不動産ST|仲介者別|取扱件数

1月は、野村證券が単独で+226億円、大和証券が単独で+70億円、大和証券及びSMBC日興証券が2社合わせて+124億円、新規で取扱しています。

不動産ST|仲介者別|取扱金額


プラットフォーム

12月は、社債STがProgmatとBOOSTRYでそれぞれ1件取扱開始され、Securitizeを含む3つのプラットフォームに拡がったところでした。
1月は、Progmatで+2件、BOOSTRYで+1件、不動産STの取扱が増加しました。

プラットフォーム|アセットタイプ別取扱件数

12月は、社債STを契機に、みずほ証券と岡三証券でProgmatの利用を開始したところでした。1月は、大和証券で+2件、SMBC日興証券で+1件、Progmatの利用件数が伸長しました。

BOOSTRYは、1月に野村證券で+1件利用件数が伸長しました。

プラットフォーム|仲介者別利用件数


おわりに

淡々とファクトをまとめているので、スライド中心にサラッと読めたのではないかと思います。
翌月以降も動きがある限り継続しますので、毎月はじめに現状をクイックにおさえる一助になりましたら、幸いです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?