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中間管理録トネガワから考える終身雇用

アニメで考える社会問題
本日は「中間管理録トネガワ」を通して終身雇用について考えていきましょう

「中間管理録トネガワ」は2018年に放送されました。
本作は「賭博黙示録カイジ」のスピンオフ作品で、カイジと本作の主人公の「利根川幸雄(とねがわゆきお)」が出会うよりも前の話です。

消費者金融を主体とする日本最大級のコンツェルン、「帝愛グループ」の兵藤会長の退屈を紛らわす余興を企画するため、最高幹部の利根川は部下の11人の黒服を集め「チーム利根川」を結成します。
会長の横やり、部下からの信用失墜の危機、病気、部下の失態、計算外のアクシデントに悩みながらも、プロジェクト遂行へ向け奮闘してゆく姿を描いています。
上からの圧力と、下からの期待を一身に背負い、日々中間管理職として責務を全うしている利根川にはかっこよさを感じます。
しかし、そんな利根川にも下積み時代があり、自身が部下だったころがあったわけです。
利根川の年齢は公表されていませんが、見た目から大体50代後半程かと思います。
そう考えると約30年間も帝愛グループに勤めていたことになります、
まさしく、終身雇用の典型だと言えます。

終身雇用とは日本で主流の雇用方式であり、文字通り企業が労働者を定年まで雇用し続けることです。
海外では定年まで働くという慣習はあまりなく、じぶんのキャリアアップのためや、よりよい労働条件を求めるために転職を繰り返す場合が多いです。
終身雇用が生まれた背景には高度経済成長期がありました。
1950年頃、当時の日本は高度経済成長期に入っており、戦後の日本経済の景気は右肩上がりでした。
企業は優秀な人材を獲得し、他企業との獲得競争に勝つため、大きな労働力を必要としていました。
そこで、年功序列や新卒一括制度と同時に終身雇用制度を導入するようになりました。
そうすることにより、安定した雇用を提供する対価として、企業は大きな労働力を手に入れることができました。
これは、経済が右肩上がりだったからこそ、こうした雇用を約束できていました。
また、個人的な考えとして日本人は「雇ってもらった」という恩義的な感情から、企業に「仕える」のではないかと感じております。
私自身も、就活でなかなか内定がもらえていなかった中で、内定をくれた今の企業には感謝的な感情を持っており、可能な限り成果という形で恩を返したいと思っております。

しかし、そんな終身雇用も崩壊を見せつつあります。
日本は、高度経済成長期に比べると経済の成長は緩やかになりました。
それが特に顕著だったのがバブルの崩壊です。
そのころから終身雇用に一抹の不安が生まれ始めました。
多くの企業が業績を伸ばした経済成長期には、従業員を長く雇用することでの人件費の負担よりも、人材を確保し続けられるメリットの方が大きかったのですが、経済成長が落ち着いたことで人件費の負担が重くなり、長期雇用が難しくなり始めました。
さらに、成果や実力を重視する成果主義を採用する企業が増えたこと、転職が珍しくなくなったこと、社員に求めるスキルの変化が激しくなったことも、終身雇用が崩壊した原因だとされています。
特に大きいのが転職の認識の変化だと私は考えます。
「自らのキャリアを考えるのであれば転職しよう」、「今の企業に不満があるから転職しよう」など、理由は様々ですが、情報化社会で声が大きくなる分自分と似たような境遇の人間を見つけ、自分もそうしようと決断する人が増えたのではないでしょうか?
また、以前であれば年功序列で、同じ企業で働けば働くほどいいポストにつける可能性もありましたが、前述した成果主義を導入した企業も多くなり、自分の実力次第で左右される環境になり始めました。
年功序列がまだ色濃く残っている企業に残って何十年と下積みをするのか、成果主義の企業に移って若いころから一発逆転を狙うなど、選択肢も多岐にわたっています。
今の若者はチャレンジ精神が豊富なように感じます。
だからこそ、成果主義の企業の方が人気があり、またさらに上のキャリアを求めて転職をするのではないでしょうか?
終身雇用のメリットが徐々になくなっている背景はそこにあると思います。

私自身、終身雇用に甘んじて今の企業に居続ける選択も悪くはないと感じております。
しかし、人生は一度きりです。
ゲームのようにセーブポイントからやり直すことができない以上、後悔しない選択をしたいと思っています。
利根川のように歳と実力を企業内で重ねて部下に頼られるような中間管理職になってみたいと思わなくもないですが、それはきっと今の時代では歳によって憧れられることはなく、純粋に実力があって信頼される人間が頼られる存在になるとも思えます。

勿論転職が必ずしも良いというわけではありません。
特に大企業に若くから就職できた場合、転職せずに企業内で頑張ることができればその分の恩恵はもちろんあります。
そのための大学であり就職活動であるというのが一般的な考え方です。
最終的には自分の将来や今の待遇など、様々なものを天秤にかけ決めればよいかと思います。
就職活動や終身雇用が完全に崩壊するまでがある種チャンスなのかもしれません。

今回はここまで。
次回もよろしくお願いします。

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