それでもなぜインタラクティブミュージックにこだわるのか
自分がなぜ、ここまでインタラクティブミュージックにこだわるのかを書いてみる。
前回、インタラクティブミュージックを実現するのは難しいことを書いてみた。以下の記事
ここまで、大変なのにわざわざやる理由は何か?
・インタラクティブに変化する音楽や音が好きだから
音楽の演奏会で、一緒に手拍子をしたり、歌ったり、演奏したり。
音楽は、音を楽しむと書いている。
演奏会やライブで、楽しい音楽をプログラム(演奏曲目)に並べて、数時間を過ごす。
これは、音楽を使って同じ時間を大人数で楽しむフォーマット。
どの曲が、どんなタイミングで演奏されるか、 ある程度は決まっているけれど、 事前に多くは知らされずに演奏が始まり、 次から次へと流れてくる。
とても楽しい時間を過ごすことができる。
普段からヘッドフォンなどで音楽を聴くことをしていたとしても、おそらくはサンプリングされた音の再生でしかない。
ただ、ライブ演奏の場合は、その場の空気を読みつつ、あるいは予想しつつ音楽を組み立て、その場でしか体験できないものを実現している。
自分は音楽のライブ演出も好きなのですが、それはまた別の話。
音楽を盛り上げるテクノロジーは、いろいろあって、
その演奏を支えるために、 ミキサーやスピーカー、 盛り上げるための特殊効果、VJ、照明、 快適にすごすための空間、飲食物、 音楽。
この体験が、音楽を楽しむフォーマットとして開発され、継承され続けている。
リクエストをしたら、演奏してくれるかもしれない。
自分たちのノリで、アンコールに答えてくれるかもしれない。
↑インタラクティブ
・コンピューターを使った音楽のあるべき姿
コンピュータの技術も進化している。
CGの世界では、本物と区別つかないような映像を高画質でリアルタイムで表現しているけれど、さまざまな技術開発が行われている。
音楽も様々な技術の積み重ねで再生されている。
古くは、ビープ音やブザーのような、電気信号のオンオフで振動数が変化するアナログ回路で音が再生されていた。
インベーダーゲームで、キャラクターを表示すると、数が多いと処理に時間がかかるため、音楽の再生トリガーも同期して、スローな周期になる。
メロディーが、「ど、し、しb、ら」と4つほどの音を繰り返すシンプルなもの。
これが、敵が減っていくにつれて、どんどんテンポが上がっていく。
敵の動きも早くなるためゲームのテンポもあがっていく。
処理落ちもあるだろうけど、そもそも大量のキャラクターの判定などはとても重い処理だったろうから、最初から高速に動かすデザインはできなかったはず。 音は別の回路で駆動しているわけだから、単純に回路の構成を増やせば高速化はできても、コストが上がってしまうだろうから、それは良い方法ではない。
ゲームは、今でも限られたスペックのなかで、いかに自然な表現をするかを追求し続けている。
CGがリアルになっていくのも、「リアルな絵」を皆が想像できているから。
音楽もリアルになっていくとするなら、「リアルな音楽」を皆が想像できないといけない。
・リアルな音楽=ライブ音楽
録音再生技術が発達していって、生演奏と同じように、録音した波形を再生することができるようになっている。
でも、これは音楽なのだろうか?
コンピュータを使った再生=スピーカーを振動させる=マイクの振動を記録しスピーカーを振動させ、空気を振動させる。
スピーカーの数や、再現度の良し悪しなど、いろいろあるけれど、
それらをひとまず置いておくとして、
記録された音を、再現する。 に関してはかなりできている。
これは、映画など 多くのエンターテイメントの実現のための技術
映画は、究極にユーザーの心を想像しつくして、時間表現をしている作品。
これも技術的にセンサーなどがないため、 ただひたすらに時間方向のユーザー反応予測を表現に入れ込む作り方、 このような形の表現になる。
常にベストなものが並ぶ。偶然性は一切ない。
ゲームの場合、この部分にユーザー操作というセンサーが付く。
ライブで、手拍子や、ダンスといった、会場の情報をセンスし、演奏に反映するような表現ができていく。
ゲームの音楽が 映画などの音楽表現に近づいたり、 開発環境が似てくる。
でも、ゲームにしかできない表現がその先にある。
それが、インタラクティブミュージックなのでは? と思う。
・音楽に心を動かされるとき
音楽を愛している人は、ライブの音楽を指していると思う。
素晴らしい演奏に感動した とか、 心に残る歌を聴いた など。
記録された音楽は、ある一面は再現しているけれど、そこにある空気感をもっと追及できるはず。
人生のあらゆる場面で、音楽は流れている。 音楽を聴くことで、その当時を思い出すこともできる。 これが、感情を揺さぶる部分につながる。
音楽=作曲された音の並び 楽譜という記号化された音の記録を再現する演奏もまた、再現音楽なのだけれど、 演奏家によるリアルタイムの音への変換が、 その場所にしかない、 エネルギーの高まった結果の音、 一期一会な音の時間になる。
ゲームの音楽であっても、それらが実現できたら、 ゲーム音楽から感情を動かすこともできる。
ゲーム音楽は、同時に参加できるライブの人数を圧倒的に超えて、多くの人に影響する。
非常に多くの人に影響をあたえる=歴史が作られる
テレビや映画のような多くの人への 一方向への伝達手段も、技術の積み重ねで作られている。
ゲームは、そこにさらに双方向の仕組みを作り出し、ライブを実現しようとしている。
ここで流れる音楽は、インタラクティブミュージックであるべき。
それは、ゲームの体験から、音楽に感動できる可能性がある。
もちろん、その実現は難しいけれど、追求せざるをえない。
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