一口法話 報恩講
報恩講
報恩講は親鸞聖人のご命日をご縁につとまる法要でございます。
私達のご宗旨、浄土真宗の中では、年中行事の中でも一番大切にされている法要であります。
親鸞聖人がお亡くなりになられてから、33回忌の折に、親鸞聖人のひ孫にあたります、覚如上人という方から始まっております。
覚如さんは浄土真宗教団の祖と言われているお方ですけれども、その御方が「報恩講私記」という御書物を書かれて、親鸞聖人の祥月命日の法事を報恩講と名付けられた。それ以来、親鸞聖人のご命日のご法事を今日まで大切にお勤めされてきたわけです。
ですから、皆さん。もし報恩講って何ですか?って聞かれたら、「親鸞聖人さまのご法事です」とお答えいただくと、テストだったら〇をもらえるという事であります。
ちなみに、筆者はお寺で生まれ育ちましたけれども、私は子供の頃、報恩講という言葉を知りませんでした。
「ホウオンコウ」という言葉に耳がなじんでいなかったんです。
どうしてか考えてみると、
当山正國寺の報恩講は毎年12月の1日2日なんですけれども、子供の頃の私にとって、その日は毎年朝早くからご門徒様がお寺に来てくださって、お斎の準備をしてくださる日だったんですね。
子どもの頃の私にとっては、この報恩講の日は私が起きる前から、皆さんがこられて、ちらしずしの仕込に来て下さる日という認識だったんです。
朝、ご門徒様がお斎用の食材を調理している所に、こどもの私が目を覚ましていくんですね。
そうすると、皆さんから朝ごはんとして、お斎の味見をさせてもらえるというのが一つ私の楽しみだったんですけれど、
その時に、ご門徒さん方が今年も「報恩講様やね」「ほおんこさんの季節やね」と話してくださるんですね。
ですので、私の耳には「ホウオンコウ」という言葉ではなくて、「ホオンコサン」「ホウオンコウサマ」という言葉が意味はわからずですが音としてはいってきたんです。
そうやって、この時期の大きな法要が「ホウオンコウサマ」「ホオンコサン」なのかと、覚えていったんです。
報恩講”様”
これは、よく考えるとものすごい事だなと思うんですね。
どうしてかというと、親鸞聖人の33回忌のご法事の折に、報恩講(ホウオンコウ)と名付けられた。それ以来700年以上お勤めされてきたわけです。
最初、覚如上人は「報恩講」とおっしゃったんです。
ですが私たちのご先祖様方、先輩方、私たちの元まで浄土真宗の御教えをつないで来られた方々は報恩講を呼び捨てにしなかったんですね。
「報恩講様だよ」、「ほおんこさんよ」と敬称を付けて呼ばれてきた。
という事はですよ。この報恩講というものを私たちのご先祖様方はそれだけ大事にしてこられたという事ですよ。
私達も、自分の親族、ご先祖のご法事を務める時に、1周忌、3回忌、7回忌とご法事をおつとめいたしますけれども、そう言ったご法事について、あまり、「様」とか「さん」とかをつけて呼ぶ習慣ってないんじゃないかと思うんです。
「一周忌さん」とか言われてもなんかしっくりこないですね。
三十三回忌にさんを付けたら、「サンジュウサンカイキサン」って「さん」ばっかりでなんかややこしくなってしまいます。
先達方の思い
冗談はおいておいても、行事ごとに「様」とか「さん」といった敬称をつけて呼ぶことって、基本まずないと思うんですよ。
だけれど、報恩講は、報恩講様、ほおんこさんと受け継がれてきた。
という事は、「大事にしていきなさいね」というご先祖様方、先輩方の思いのこもった、とてもありがたい伝統なんだろうなと思うんです。
自身とは直接血のつながりがあるわけではない親鸞聖人様です。
だけれど、その親鸞聖人のご法事を「報恩講様」と大切に受け継いできたところには、きっと大きな意味があるとおもうんです。
その思いを、今度は今お念仏をさせて頂いている私たちは、受け取っていかないといけないのかなと思うんですね。
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