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いざ、富士登山へ。

富士山登頂を目的とした私たちの一夏の冒険は、開始2時間で飛行機の遅延という小さなアクシデントにより一瞬にして瓦解した。

普段の悪い癖か、何とかなるだろうとバスの予約を事前に怠っていた結果、富士山行きの最終便に乗り遅れ、私たちは新宿に取り残された。


1日目の夜、ホテルでの作戦会議の末、台風の接近による先通りの見えなさから富士山登山を諦めることにした。苦渋の選択である。(しかし、実際には台風の影響は少なかったようだ。悔しい。)




そして、その後なんやかんやあり2日目はディズニーシーに行くことになった。富士山用の服装しかアイテムを持ち合わせていなかった私たちは、運動部の部活後の様な格好で現地へ向かった。


さすが、天下のディズニーシー。こんな場違いな服装を着ている私たちも笑顔で迎え入れてくれた。


アクアトピアの男性キャストが安全バーを下ろす際、前のオシャレな女性客には優しく私たちの番には素っ気なかったことを除いては、キャストの方々の振る舞いは完璧だった。

次にタートルトークという亀が人生相談に乗ってくれるようなアトラクションへ行った。場を巻き込んでトークを展開する亀を見て、私たちは観客であり、その場の雰囲気を共に作り出す作り手でもあるのだと気づかされた。


でも私は正直トークに対し、客側の亀に対する忖度感を感じ、その場をあまり楽しめていなかった。亀が発するノレてないやつはダサいみたいな押しつけにも少しイラついていた。


しかし少し頭を冷やして考えると、この亀が自分の好きなアーティストとかになると恐らくそんな感情は抱かないだろうし。ライブは楽しいのだから、好きじゃないからといって亀を楽しまなかったのはもったいないことをしたと、今になって少し反省している。


その後は、ソアリン、海底二万マイル、トイ・ストーリーなどメイン目のアトラクションを巡りに巡った。


クタクタになった私たちは心地よい風に吹かれながらディズニーシーを周回する船に揺られていた。


人の流れに付いていくのが精一杯で忙しく歩いていた時には見えなかった景色が、船でゆったりと移動すると見えるような気がした。


また、園内にいる人の中で、船のこちらへ向けて手を振ってくれる人が一部いた。こちらから手を振ると振り返してくれたりもした。その一瞬のコミュニケーションの中に、それこそ各々がディズニー映画に出てくる登場人物になっているような世界観をお互いに作りあっている感じはエモかった。





3日目、私たちは渋谷にいた。


渋谷の町は新宿よりも好印象に感じた。人も新宿に比べたら少なく感じ若者が多い印象だった。


新宿の町を歩いている際には、「バパ活をしていると見られる女性」を見かけた。また、渋谷では「ホストらしき人を連れ歩く女性」見かけた。主従関係が反転してしているこの2者の違いは興味深かった。


そんなことはさておき、私たちはポケモンセンターへと向かった。向かう途中、ニューバランスの店の前にランニングをしている人が複数写った大きな看板があった。


陸上部としての血が騒いだのか友人が看板の前で写真を撮ると言い出した。人通りが多い交差点の近くにも関わらず、躍動感あるポージングをバッチリ決め、私は写真を撮った。


次に私がポージングをする番になった。が、信号が青になり交差点を渡ってきた人達に見られる恥じらいに勝てず、私の写真はだいぶ縮こまるという結果になった。


次にタワーレコード渋谷店に向かった。6階のアイドル・アニメのコーナーへ到着した私の目に、Snow Manの特大ポスターに群がる女性ファンが飛び込んできた。


どうやら、彼女らはスマホを手に写真を撮っているようだ。ホストらしき人を連れ回す女性と彼女等が重なった。






帰りの飛行機、座ると隣の窓際の席が空いていた。ラッキーと思ったのもつかの間、席に向かう列の中に小汚い男性が私たちの周辺で止まりキャビンアテンダントと何やらぶつくさ会話を始めた。


あまりにもその感じの悪さに気分も害しつつも座っていると、彼は私の隣へ向かってきた。最悪である。足を組み態度は不遜、スマホをいじり貧乏ゆすり、おまけにマスクも着けず咳をしているときた。


自分がこんなにも神経質だったことに少々失望つつ、帰りのフライト中はなるべく無心でいることを心がけた。


着陸までの10分間は、格安航空のデメリット性について思いつく限りの悪口を思っていた。客の質が悪いんじゃないかとか機内が狭いからストレスを感じやすいかもとか、それはもうネガティブの感情が巻き起こり着陸した時も気分は最悪だった。

飛行機を出る際、通路側に座っていた友人が私のカバンを取って私が出やすいように配慮してくれた。その優しさでそれまでの嫌な気持ちが少し和らいだ。


また、中々通路に出れない私たちに先に行くようにアイコンタクトを送ってくれたおばちゃんがいた。おばちゃん、あなたのことはしばらく忘れないと思います。ありがとう。


そんなこんなで、最終的には人の優しさに触れることができ、ハッピーな気持ちで私の夏の冒険は幕を閉じた。




空港を出ると外は大雨。
迎えの車に乗る私はずぶ濡れだった。

おわり。


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