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<まえがき>飲食店で最近、よく見かけるようになった先払いチケット。大手では以前から、肉マイレージとか、ドトールのカードなど似たようなものありました。コロナを機に小型店でもキャッシュレス化は進むのでしょうか。今回はそういった電子マネーに深く関わる、IT×金融の営業さんにお話をお聞きしました。(舘澤史岳)

―どんなお仕事をされていますか。
自社で独自開発したオリジナル電子マネーの営業。
ベンチャー企業で電子マネーの営業に取り組んでいます。電子マネーは「ポイントやマイルが貯まる」「荷物が減る」「会計がすぐ済む」など使う側にとってメリットも多いですが、実はそれ以上にお店にとってもメリットがたくさんあります。たとえば、「顧客管理が容易になる」「小銭管理の手間が省ける」など。余り知られていないことですが、例えば食品スーパーマーケットなどでは1台の自動釣り銭機付きレジに1日20万円の現金を用意しなければなりませんでした。しかし、電子マネーを導入すれば、これをゼロにすることができます。その他にもチャージ式の前金にすれば、商品を提供する前に預かった分の金額が浮くわけですから「キャッシュフローの良化」も見込めます。営業をかける際には、店舗ごとの課題に沿って、こういったメリットを伝えるようにしています。

―コロナ以前と比べて、どんな変化がありましたか。
オフラインからオンラインへ。完全リモートワーク。
緊急事態宣言の少し前、3月末からリモートワークに切り替わりました。今は9時になったら、自宅の小部屋に籠って仕事をしています。外に出ることはほとんどありません。新規のアポ取り、商談・打ち合わせ、エンジニアへの指示出し、フォローアップ、すべてをリモートワークで行っています。最初は「本当にできるかな」と戸惑いも多かったですが、徐々にコツをつかんで、最終的には4月だけで先月の倍近いアポを獲得できました。契約にもつながっています。5月はそれを上回る勢いで成果が上がっています。心がけているのはしっかり事前準備をすることです。以前は出たとこ勝負で通用しましたが、オンラインの場合、一度乗り遅れるとキャッチアップするのが難しくなります。そのため共有されている情報には必ず目を通し、その場でも気を抜かないようにしています。また、以前は紙とペンを利用して説明していましたが、オンラインでは見づらいのでやめました。説明すべきことはきちんと資料に起こして、それを共有ながら説明するようにしています。

アポは1日3件ではなく、3時間で3件も可能です。
商談では、まず自社のサービスの説明をして、それが終わったら「御社の事業と課題について」「他に検討しているところはあるか」「導入に向けてどのフェーズにあるか」この3つの質問に答えてもらいます。以前は雰囲気を良くしたり、場を盛り上げたりするために、要件以外の雑談をすることもありましたが、今はほぼありません。効率を上げることにこだわっているため、長くても大体は1時間以内に終わります。以前なら、移動時間込みでせいぜい1日3件のアポだったのが、今は詰め込めば3時間で3件こなすことができます。お客様側にとっても同様なのか、昨日の今日でアポが取れることも珍しくありません。決裁スピードも速まっています。会えば売れるというなら、いくらでも足を運びますが、実際はそんなことはありません。今後、コロナが一段落したとしても、効率よく多くの商談がこなせるリモートワークがいいかなと思います。

―これから業界(世界)は、どう変わっていくと思いますか。
あらゆる領域で、変化のスピードが速まると思います。
リーマンショックの時もそうでしたが、いい意味でも悪い意味でも、ものすごい勢いで様々なものが変化していくと思います。たとえば、私が手がけるフィンテックについて言えば、今後、深刻な不景気になるのに伴い、業界問わず電子マネー化に拍車がかかるでしょう。不景気になるとキャッシュを用意するのが難しくなるので、電子マネーのニーズも必然的に高まってくるのです。現在、コロナの影響で経営が厳しくなっている飲食店を支えるため先払いチケットの販売などが行われていますが、この先払い機能を付けた電子マネーも多くの注目が集まっています。業界として大きな波が来ているところなので、今後はそれに乗り遅れることなく、上手く対応していきたいです。

景況感や営業手法に囚われず「今、何ができるか」にこだわりたい。
営業の中には、未だにリアルな場にこだわっている人もいると思います。「会えば分かる」「話せば分かる」という感じで。その場合、「今は大変だけど、コロナさえ収まれば…」という風に考えがちです。でも、残念ながら、コロナはそう簡単に終息することはありません。収まったとしても元通りにはいかないはずです。だとすれば大切なのは「今の状況で何ができるか、何をするか」ではないでしょうか。新しいことをしようとすると「ロジックが」と必ず反対する人がいますが、今の状況は誰も経験したことのないことです。「こうすれば絶対大丈夫」と言えることなどありません。間違えたらすみませんと謝ればいい、それぐらいの気持ちで、今できることを迅速に取り組んだ方がいいと思います。(K/フィンテック営業)

マスクの向こう側では取材対象者を募集しています。
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