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ファレリ・アウレリアさん(56回優勝) インタビュー Vol.2-1

観客審査によって優勝者が決まるコンペティション形式のミュージカルオーディションショー、スマッシュキャバレー。

2022年6月27日(金)に開催された第56回大会の選曲テーマは「人間以外」。今回は、人間ならざるものたちが織りなす、個性と歌唱力が炸裂するステージで、見事優勝に輝いたファレリ・アウレリアさんにお話を伺った。
今回はその前編をお届けする(後編はこちら)。

ファレリ・アウレリア Valerie Aurelia

インドネシアのジャカルタ出身。小さい頃からディズニー作品が大好きで、高校生の時にミュージカルに出会った。2019年に国費留学生制度で来日し、日本語学校を卒業後、専門学校でイラストを学ぶ。現在は桜美林大学でデザインを専攻しながら、音楽の勉強もしている。母国にはミュージカルの舞台があまりなかったため、日本に来て初めてミュージカルを生で観劇し、さらに本格的な音楽学習を始めた。


1 優勝が決まった瞬間

―優勝おめでとうございます。

「ありがとうございます!」

― 優勝者が決まった瞬間のお気持ちはいかがでしたか?

「本当に私、『やった!』しか言えなくて。もう、『やったー!!』と思って。」

― お客様の反応はどのように感じましたか?

「笑い声を聞いたら、『あ、反応してくださってるなー』と思って、自分の自信も上がって、もっとエモーションも出せるようになったので、楽しかったです。」

 インタビュー冒頭から、弾ける笑顔で、素直に喜びを表現してくださったファレリさん。準決勝では、持ち前のチャーミングさでコミカルにプリンセスを演じ、決勝では、野獣役の心情を等身大の自らに置き換えて熱く歌い上げた。その構えのない自然な佇まいは、人間としてだけでなく、パフォーマーとしての彼女の魅力でもあるように思う。


2 会場のボルテージが最高潮に達した瞬間

 圧巻だったのは、決勝のラストである。切ない感情がメロディーを超えてフェイクになった瞬間、彼女の思いと観客の心が一体となり、会場のボルテージが最高潮に達したように感じた。

 決勝を歌い終えた時、「優勝に手が届くかも」という感覚はありましたか?

「個人的な評価からというと、ちょっとそういう気持ちはあったかな。
今回で(出演は)三回目ですけど、前の二回も決勝には行けたんです。決勝に行っては、『今回も駄目・・・』みたいな気持ちだったのですが、今回は結果が違って優勝になったので、『やったな!』と思いました。」


3  過去二回の出演を経て

 さまざまな思いを携えて臨んだ三回目のステージで優勝を掴んだファレリさん。今回の出演までに、歌や舞台にかける気持ちの変化はあったのだろうか。

ー 三回のご出演の間に、ご自身の中で何か変化はありましたか?

「一回目は、まだ独学で歌っていました。そして、前回はレッスンを始めてまだ二ヶ月。しかも、(レッスンが)一ヶ月に一回しかなかったので、準備不足だったかなと。
けれども、専門学校を卒業し、実はこの4月から新しい大学に編入して。大学では、メインとしてやっているのがイラストなんですけど、デザインのレッスンを取りながら、歌のレッスンも取れて、練習室が無料で使えるんですよ。お陰でもっと本格的に練習できるので、今回のスマッシュキャバレーに挑戦したいと思いました。」

ー 歌に取り組む環境が充実したのですね。


4  「私、劇場の舞台に立ったことないんですよ」

ー そんな中、今回のステージには、どんなことを意識して臨まれましたか?

「どうだろう・・・。私、劇場の舞台に立ったことないんですよ。だから、人前で初めてパフォーマンスをしたのがここ(中目黒TRYさん)で。
先生や親によく言われたのが、ミュージカルの舞台って、装置があって、ドレスもすごいじゃないですか。例えば、二曲目(決勝)だと、実は後ろに(舞台装置の)お城があって。でも、スマッシュキャバレーでは黒いカーテンしかないので、 “お客様に、どうやって野獣のお城にいるみたいに感じさせるか”を工夫して。後ろに何もないからこそ、もっと気持ちを出したいなと思いました。」

スマッシュキャバレー特有の世界

 華美なセットのない板の上に身ひとつで立ち、一曲完結で表現するステージは、確かにシンプルだ。しかし、それゆえに、感性・技術・存在感も含めた演者の本質が如実に浮かび上がる究極の場ともいえる。スマッシュキャバレーには、ミュージカルナンバーを歌う場でありながらも、所謂劇場公演でのそれとは異なる世界を確立している部分もあるのかもしれない。


5 一つの役の成長段階を歌い分けてみて

 つづいて、今回、歌った曲について、さまざまな視点から語っていただいた。

ー 準決勝では、プリンスを待つプリンセスという一つの役を、成長段階ごとに巧みに演じ分けていらっしゃいましたね。劇中では三人の俳優が歌い継ぐ曲をソロで歌われてみて如何でしたか?

「長くて覚えるのが一番大変でしたが、成長に従って、プリンセスの…クレイジーというか、『(プリンスが)なんでまだ来ないの?』みたいな気持ちが強くなるので、そういう気持ちの差をつけるのを工夫してみましたね。(この役と同じく)私も喋ることや、面白いことが好きな性格なので、結構楽しかったです。」

ー ご自分に近い役だったんですね。

「そうそう、そうです!」


6 自分の声に合っていて、歌う人があまりいない曲

 そして、決勝で彼女が選んだのは、『美女と野獣』の野獣役が歌う「If I can’t love her」である。

ー 選曲のきっかけは何だったのでしょうか?

「『キャッツ』や『ライオンキング』も知っているんですけど、歌う人がいるだろうと思って、違う曲を選ぼうと思いました。
けれども、私、実は「美女と野獣」は観たことがなくて。ディズニープラスでカバーされたバージョンを聴いて、『この歌好き!』と思いました。意外に自分の声にも合っていて、やったことある人はあまりいないんじゃないかと思って。」

ー 艶やかな歌声が曲にマッチしていて素敵でした。

インタビュー後編(スマッシュキャバレー編Vol.2-2)はこちら♪︎


文章・企画構成:Tateko
写真:中山駿

協力:SMASH CABARET https://smashcabaret.com/
   中目黒TRY

※記事、写真の無断転載はご遠慮ください。


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