毎日マクラ「そ」☆ソーシャルディスタンス☆

※以下は落語の冒頭でお話するマクラです。勝手に喋るのが醍醐味と思ってお読みください。

色々ね、生きていくうえで、とらなきゃいけないものってあると思うんですよ。

まず、出欠ですね。
これはとるというより、とられるものですが。なかなか出欠をとる立場になることってないですよね。出欠とるって、気持ちいいんでしょうね。その人がその場にいるよって確認するための点呼。名前を呼ぶことによって、応答を得るんですよ。
これ、呼ぶことによってその場所に存在そのものを呼び出すような、快感がありますよ。出欠、とってみたいですねえ。

こっちでとって気持ちいいのは、やっぱり出前ですかね。
お蕎麦屋さんとかね、ありましたよ。子供の頃、今日は出前とろうかなんて、嬉しかったですねえ。普段こちらから出向いていかないとありつけない外のご飯に、在宅のまま巡り合える。非日常の出来事でしたよ。
外んところに食べ終わった器を洗って出しとくと持っていってくれる。これはもう魔法じゃないですか。きっと、妖精さんが持ってってくれるのかと思ってましたねえ。

今、ちょうど出前をとる人が増えているようで。

街なかにいる人がみんな潜在的に配達員だ、っていうようなイメージなんです。私の知り合いの若手芸人がよくこの配達員をやっていて、どういうシステムなのかわからないんですが、潜在的配達員のなかから、配達可能な人が手を挙げてお店とお客をつなぐんですね。

たいへん効率のいいシステムだと思います。もともと出前をやってないお店でも、テイクアウト可能ならばあらゆる食べ物が、家にいながらにして、手に入る。

外出しにくい状況で、これが一気に市民権を得たんです。

インターネットとかの技術の発達と似ていて、もっともその裏にはインターネット連絡網があるわけですが、そこから一歩も動かずに遠くと繋がるという、未来っぽいことがどんどん可能になってきてます。

これって、遠くにあるものとの間の距離が、グググっと縮まったということですね。

海外の国が、そこにあるかのように、コミュニケーションがとれる。

これ、どういうことなんですか!!!!

わけわかりませんよね。電波でやってるんですよね。目に見えないのに、あらゆるものを飛び越して、みんなのスマホから世界が繋がる。

ちょっとこれ、密です。密すぎませんかね(笑)

三密どころか、無限に距離をゼロに近づけようとしています。
今一度、ソーシャルディスタンスを考えたほうがいいと思うんですけど。

結局、モノを運ぶには配達する人がいるわけで、バビューンってピザを店から家まで直で飛ばせないのは科学の負けですよね(笑)

だって、地球の向こう側までほんの何秒かわかりませんけど、すぐメール送れるじゃないですか。でも、町内の豆腐屋さんの油揚げは誰かが運ばないといけないんですよ。

なんだか、便利なのかどうなのかわからない世の中ですよね。

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