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刀を亡くした侍に、鉛弾の祝福を。#2 (トレモズAct.2)

前回のあらすじ
 トレンチコートを身に纏い、戦場を舞い踊るサムライ・シトリ。馴染みのバーで居眠りしている彼を、謎の女が襲撃した。シトリはその女の首を刎ねたが、謎の力でその首は元の場所へと戻り──?

「おかしいな。確かに首を折ったと思ったんだけど」

「確かに首を刎ねたと思ったのだが」

 余裕の浮かぶ女の言葉に、シトリは言い返した。テーブルの残骸の向こう側、女は据え付けたばかりの首の具合を見るように首をひとまわしして、言葉を続ける。

「私の名前はツイン。君はシトリ? トゥ?」

「シトリだ」

「オーケー、シトリ。会えて嬉しいわ」

 言葉と共に、女──ツインは右手を一度握り込み、大きく開いた。メリッと音がして、その全ての指が手の甲へと張り付き、掌の中心が割けていく。

「させるかっ!」

 ツインの行動を阻害すべく、シトリはテーブルの残骸を蹴り飛ばす。テーブルは過たずツインを直撃したが、彼女は微動だにしない。

 割けたツインの掌から、ぞろりと棒状のなにかが生えるのを、シトリは見た。ツインはそれをシトリに向け──

「──ッ!?」

 咄嗟に横に飛んだシトリの頬を、青白い光線が裂いた。

 焼けるような痛みが走る。

 直後、バーの壁が爆発した。

(つづく/本文400文字)

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