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刀を亡くした侍に、鉛弾の祝福を。 #1 (トレンチコートとモッズコート Act.2)

 シトリとトゥは荒事専門のよろず屋で、トレンチコートのサムライと、モッズコートの格闘家のコンビだ。サムライのほうがシトリ、武道家のほうがトゥ。彼らはいつも同じバーにいて、依頼がくるまで酒を飲んでいる。

 入り口のベルが鳴ったとき、店にはシトリしかいなかった。

 いつものようにカリラを飲みながら居眠りしていた彼は、来客に気付いて顔をあげ……そしてその側頭部に、強烈な蹴りが炸裂した。

 首が変な角度に曲がったシトリは、テーブルや椅子を薙ぎ倒しながら吹き飛んだ。蹴りを放った女──然り、女である──は足を降ろし、呟く。

「二人組と聞いていたのだが、ひとりきりか」

 男の死体が床に転がるのを横目に、女はバーの中を見回す。片割れどころか、人の気配がない。買い出しにでも行っているのだろうか。

「……不用心だな」

 女が呟いたその時だった。

「人手不足でな」

 答えたのは、床に横たわる死体──否、まだ生きている!

 居合、一閃。

 女が反応するより早く、シトリの居合はその首を撥ね飛ばした。

「誰何はしない。死ね」

「なるほど、噂通りの凄腕だ」

 その声は、撥ねた首から発せられた。

 シトリは瞠目する。

 女の首が超常的な力で引き寄せられ、元の場所へと収まった。

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[総合目次/キャラ紹介]

(本文401文字)
 息抜きパルプのお時間です。不定期に続きます。

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