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ワナビィ!

「朝飯、そこで買っていこう」

「えーファミマ? パンの品揃え微妙なんだよな……セブンないのセブン?」

「こっから20分歩くことになる」

「ウエー」

 既に深夜1時。明日の朝は早い。朝飯食うにせよ軽めのものが良い。店内に入り、カップスープのコーナーで足を止めた俺を見て、コウジは笑った。

「オッさんになったなァおい」

「コウジも同じ歳でしょ」

 そんなやりとりの後、コウジは不意に神妙な面持ちで問いかけてきた。

「……なぁ、ユータ。確認だけどよ」

「ん」

 担々スープは重そうだ。やはり豚汁にしておこうか。鴨出汁フォーなんてのもうまそうだけど──

「これからどうすんだ?」

「なにが?」

「なにがってお前……」

 俺は選択の手を止め、コウジに問い返す。彼は露骨に呆れた顔で口を開いた。

「置きっ放しの死体とか、報復の可能性とか、色々あんだろ」

「あんましそれ大声で言うことじゃないよ」

「あ、すまねぇ……」

 コウジは慌ててあたりを見回す。まぁ、店内に客はいないし店員も奥にいるので、問題ないだろうけど。俺はコウジに視線を遣って、言葉を続ける。

「まず、前者はたぶん問題ない。あいつらとしても、銃を持ったヤクザが素手で壊滅させられたなんて話が広まったら困るだろうから、まぁうまいこと処理されるはず」

「ほんとかよ……」

「でまぁ、後者のほうだけど……」

 俺は豚汁を取りつつ、少しだけ考えて。

「……来たらきたで、手間が省けてよくない?」

「まじかよ……気が休まらねぇなぁ」

「ヒーローってのはそういうもんさ」

「えー……」

 釈然としない様子で唸るコウジと共に、レジへと向かう。店員が商品をスキャンするのを眺めながら、コウジは言葉を投げてきた。

「そもそもさ、これって本当にヒーロー活動なのか?」

「んー。どうかな」

「どうかなってお前」

「まぁただ──」

 そこで言葉を切って、僕はコウジを見返した。

「何事も続けていれば、成就するもんだよ」

 ──これは、僕らがヒーローになるまでの物語だ。

(続かない/800文字)

 元はこれだったんですが、コンビニ弁当の下りを使いたくて流れを変更したもの。とはいえシンプルにつまんねーなこれって思ったので実弾にするのはやめました。せっかく書いたので供養供養。
 というかこれ多分、元の流れで始まったほうが面白いですね。ただ、あんましこういう裏取引的なものの引き出しが僕の中にないので、彼らが「ヒーローになる」ための暴走をどう描いたもんか全然構想がなくて結局エタる気配がある。まぁ、いつかの明日のために温めておこう。

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