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天照らす-Amateras- 【プロローグ】

 衝撃で、意識が一瞬吹っ飛んだ。
 それを引き戻したのは、弟の声だった。
「姉ちゃん!」
「ぐっ…」
 歯を食いしばり、拘束に抗う。目の前には巨大な牙と、拳大の4つの瞳。私を拘束している脚は、私の胴よりも太い。

 そいつは、巨大な──自動車サイズの蜘蛛だった。
 椅子が軋むような音で鳴きながら、私への締め付けを強めていく。

 どうしてこうなったんだっけ。苦しみの中で私は考える。
 そう、夕飯の買い出しだ。ユウトが拾って…いや、連れてきた、我が家の新たな居候の歓迎会のために材料を買い込んだんだ。そして、帰り道にこいつと遭遇──
「っ…ユウト、逃げ…」
 限界を迎え、思考が止まり…その時だった。

「ハイパー! キーック!」

 大蜘蛛の顔面に蹴りが突き刺さる。
 凄まじい衝撃。拘束が緩み、私はその場に倒れ込む。

「待たせたな!」

 吹き飛ぶ蜘蛛を背景に、そのヒトは──我が家の居候は、高らかに叫んだ。

「殴って抉れるスーパーヒーロー、モヨコ様だ!」

 【続く】

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