天照らす-Amateras- 【プロローグ】
衝撃で、意識が一瞬吹っ飛んだ。
それを引き戻したのは、弟の声だった。
「姉ちゃん!」
「ぐっ…」
歯を食いしばり、拘束に抗う。目の前には巨大な牙と、拳大の4つの瞳。私を拘束している脚は、私の胴よりも太い。
そいつは、巨大な──自動車サイズの蜘蛛だった。
椅子が軋むような音で鳴きながら、私への締め付けを強めていく。
どうしてこうなったんだっけ。苦しみの中で私は考える。
そう、夕飯の買い出しだ。ユウトが拾って…いや、連れてきた、我が家の新たな居候の歓迎会のために材料を買い込んだんだ。そして、帰り道にこいつと遭遇──
「っ…ユウト、逃げ…」
限界を迎え、思考が止まり…その時だった。
「ハイパー! キーック!」
大蜘蛛の顔面に蹴りが突き刺さる。
凄まじい衝撃。拘束が緩み、私はその場に倒れ込む。
「待たせたな!」
吹き飛ぶ蜘蛛を背景に、そのヒトは──我が家の居候は、高らかに叫んだ。
「殴って抉れるスーパーヒーロー、モヨコ様だ!」
【続く】
🍑いただいたドネートはたぶん日本酒に化けます 🍑感想等はお気軽に質問箱にどうぞ! https://peing.net/ja/tate_ala_arc 🍑なお現物支給も受け付けています。 http://amzn.asia/f1QZoXz