親愛なる読者へ、●を込めて
その時でした。雲を貫くほどに長く長く、山とみまごうほどに太く太く、世界の始まりを司る大樹のごとく聳える如意棒が、その半ばでぽっきりと折れてしまったのです。
悟空は、あっと声を上げことはできませんでした。プラズマチェンソーによってその首を焼かれていたからです。次の瞬間には如意棒と共にオガクズとなり、さらに次の瞬間には灼け果てて消滅してしまいました。
こうして全ての戦いは終わりました。七天大聖と悟空を斃した凱は、人々から尊敬と畏怖を込めて、こう呼ばれたのです。
斉天大聖、プラズマチェンソーと──。
『斉天大聖プラズマチェンソー』 完
あとがき
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。全8巻に渡る本シリーズも、ようやく真のエンディングを迎えることになりました。まずはここまで応援してくださった皆さまに多大なる感謝を。
このあとがきを書いている時点では、本誌での連載が終わって7ヶ月ほど経っています。みなさんがこれを読むのはそこからさらに6ヶ月ほど先でしょうか。ちょうど1年お待たせしてしまう形になりましたね。
編集さんから、本誌連載の総ページ数を聞きました。最終話までで、全4,232ページとなったそうです。狙ったわけじゃないんですけど、なんだかすごい因果を感じる数字ですね。凱が祝ってくれているようで、とても感慨深いものがありました。お前も私も、遠くまできたものですね。
本作を書き始めたのは、もう15年も前となります。当時はあの空の孔が話題になり、世界的に不安定な情勢の中だったのを覚えています。当時の私は絶賛スランプ中でして、社会的にも個人的にもメンタルをやられる寸前……というか、実際やられてしまっていたと思います。そんな私を救ってくれたのが私の友人で、そんな彼から着想を得て作りあげたキャラクターが凱です。残念ながら彼は孔となってしまって久しいのですが、今こうして大団円を迎えたことは、彼への葬いとなるかな、と思っています。
(つづかない)
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