A5用紙に収録可能な小説の文字数・行数を調べてまとめて作ってみたよ
よくきたな🍑
ヘッズ一次創作SFアンソロジーに応募しました。勿論小説です。テーマはSF、サブテーマとしてメガロポリスというなんともニンジャヘッズらしいテーマで一本小説を書くことになるんですが、それはさておき。
レギュレーションが「A5で4ページ。組版は自分でやってね!」というもので、はてさて実際何文字くらいなんだろうなと悩み、色々と調べたり試したりしてみたのでその軌跡を記します。
◆ 2019.11.27 update! ◆
その後実際にA5版の小説を作成し出版したので「実際このくらいだとこうだよ」というのもお見せできるようになりましたので加筆します。
結論から言うと間違いなかったです。具体的な設定数値とかを追記し、サンプルのPDFも設置しましたので試してみてください。
(前提)アマガサプロローグはA4に収まる
先日のC96で無料配布したペーパーの裏面にはアマガサのプロローグ(1040文字)を載せていました。パワポで作ったんですが、フォント10.5ptの二段組です。
実際に印刷して眺めてみると「ちょっと字大きいかもな?」という印象でした。文庫よりも大きなA4サイズの紙だから違和感はないけれど、普段文庫本で文字を読む人が見るとちょっと「うっ」となるくらいの大きさです。
その辺りも踏まえつつ、適切なフォントサイズと収録可能文字数について考えていきましょう。
(調査)実際の書籍のフォントサイズって?
まず、実際の文庫本のフォントサイズを調べてみました。
▶参照元1
この記事によると、現在の新潮文庫は大体9.5ptらしい。僕の所感よりもちょっと大きいけど、糸井さん曰く昔の新潮文庫は7.5ptとかもあったらしいので僕の感性が古いだけかもしれない……。
▶参照元2
こちらのサイトでは実際に文字を定規で測っており、大体11Q~14Qくらい(特に13.5Qが程よい)と結論付けています。このQという単位については次の項で補足しますが、11Q~14Q=7.8pt~10ptくらいです。
そういうわけで、A6の文庫本サイズをベースにすると大体7.5~10ptといったところのようです。とはいえA5にする場合、土台とする紙全体が大きくなるのでこの通りにやっても上手くいかない気がするので、実際に印刷して見映えとかを見つつトライアンドエラーしていきましょう。
(補足)Qとptについて
Qは日本の独自規格で、1/4mmを1Q(quarterのQ)とするものです。横幅が1mmの文字は4Qとなります。なお漢字では「級」と書きます。当て字です。
一方のptはインチを基準としたもので、1pt = 1/72inchというのが標準らしいです(一部1/72.27inchもあるらしいけど)。なんとも半端だなおい。
Qはミリメートルが基準なのでメートル法ベースです。一方のptはインチ基準、つまりヤードポンド法ベースです。それらの相互変換を考えるとこんな関係式になります。
1 Q = ( 1 × 0.25 / 25.4 × 72 )pt
1 Q = 0.7086614… pt
ふざけんなって感じの割り切れなさですね。左薬指に指輪をした初恋の人に同窓会で再開して「実はあの頃、君のこと好きだったんだよ?」って言われちゃうくらいの割り切れなさですね。
なお、デジタルの世界ではポイント数のほうが多いのはMicrosoftもAppleもアメリカ企業だからじゃないかなと思っていますが、そこまで詳しく調べてないので詳しい人補足お願いします。
Qとかpt、あとHなんてのもあります。このあたりは以下のサイトに詳しくまとまっていますのでご参照あれ。
(仮説)ほどよいフォントサイズに関する推定
さて。前提の部分に書いた通り、A4サイズの紙に10.5ptで1000文字詰めることができました。単純計算で、A5(=A4の半分)サイズであれば半分の500文字入ることになります。
文庫本に合わせると7.5~10ptなので、とりあえずキリの良い8ptから考えてみましょう。
500文字詰めてそれっぽくなるように調整してみたのがこちら↓。割と程よい感じ。人によってはこれで満足かもしれない。
縦42文字なのは文庫本と合わせています
とはいえ、まだ小さくできそうな気がするし、小さくすれば文字数も増えて書きやすくなるかもしれないなという思惑もあり、フォントサイズ7ptでいじってみたのがこちら。
7pt。このくらいでも全然読める。紙の上下の余白とかもあるので、42文字/1行にこだわらなければもっと入れられるはず。
更にここから二段組なんてのも考えてみましょう。1000文字イケるんじゃねーか? と思ったのでチャレンジしてみたのがこちら。
5ptはぱっと見で「う、小さい」って思うくらい小さかった。限界は6ptかなぁ。6ptだと二段組もできるし、1000文字が1ページに収まってコスパが良い。
というわけで、6pt~8ptくらいが程よいんじゃないかという気がします。
(実験)実際に作ってみた【update!@2019.11.27】
上記を踏まえたうえで、選択肢としては二つになります。
①フォントサイズ7pt、1行あたり42文字、1段組
1ページ当たりの文字数:約500文字
4ページで:約2000文字
※冊子のノドの関係もあるので余白を作りやすい7ptにしました
②フォントサイズ6pt、1行辺り37文字、2段組
1ページ当たりの文字数:約1000文字
4ページで:約4000文字
最後の決め手は文字数ですが、僕は3000文字くらい書けないと起承転結つけられないマンなので、②で実験してみようと思います。
▼ update!@2019.11.27 ▼
……というわけで、先日(11/24)の文学フリマで、実際に1ページ1000文字程度で文庫本を作ってみました。
設定値は以下の通りです。
・ページ当たりの文字数: 33文字 × 23行×2段=最大1,518文字
・二段組
・フォントサイズ:11Q(約8pt)
・余白設定 ノド:11mm 小口:14mm
◆注意事項◆
僕が作ったのは中綴じ本であり、ノドは狭くても読めるためこの値にしましたが、くるみ製本にする場合はノドをもうちょっと広め(+1~2mm)に取る必要があります。じゃないとかなり読みづらいです。
(確認)印刷してご覧ください
この値で作ったページのサンプルPDFを以下に置いておくので、試しに印刷してみてくださいまし。
なお、比較用にフォントサイズ11Qのものと12Qのものを入れてあります。見比べつつ、「もっと行間詰めたいなー」とか「文字数でかくしたい」とかの参考にしてもらえれば幸いです。
また、縁あって1段組の場合のサンプルも作成しましたので添付しておきます。こちらもあわせてどうぞ!
いじょうだ
いかがでしたか?
なお、フォントサイズだとか行間で文字数は割と自由が効くというか、個人差があるものですので、あくまで参考程度でご認識おきください。頑張れば8000文字でも詰め込めると思う。
それではまた! ちゃお!
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