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コトラーのリテール4.0

今回は「コトラーのリテール4.0」についてまとめていきます。

本書は「デジタルトランスフォーメーションによる小売の在り方の変化」がテーマになっている。

リテール4.0とは何か?

まずリテール1.0はセルフサービス式の店舗の誕生(コンビニ、スーパマーケット)ここでの特徴は豊富な品揃えによる規模の経済の獲得を目標とする。

リテール2.0はエブリシング・アンダー・ワン・ルーフ(全てひとつ屋根の下)という概念の元、ショッピングセンターの誕生である。たくさんの小売店舗を出すだけでなくカフェ、レストラン、さらにはアミューズメント施設も併設することにより、新たに足を運ぶ動機を提供した。更に購買が目的ではなく友達と会ったり、家族で遊ぶなどコミュニティ形成の場にもなった。

リテール3.0でいよいよEコマースが誕生。代表例がアマゾン。ここで今ではお馴染みのレコメンデーションが誕生したのもこのとき。

では最後にリテール4.0。これが本書のテーマでもある「デジタルトランスフォーメーションによる小売の在り方の変化」である。

そしてそれを10の法則にまとめたのがこの本である。

次にデジタル時代におけるカスタマージャーニーの変化について述べる。

カスタマージャーニーとは消費者のブランド認知〜購買までのプロセスのことをいう。リテール3.0以前ではそれのモデルを4Aと読んでいた。(Aware,Attitude,Act,Act Again)

デジタル化が進んだ昨今、インスタなどのSNSの発展などにより、消費者とブランドの接点(タッチポイント)が増え推奨が重要な行動となり

カスタマージャーニーのモデルは5つのAで表されるようになってた。

・Aware(認知)・APPeal(訴求)・Ask(調査)・Act(行動)・ Advocate(推奨)

ではリテール4.0時代に必要な10の法則についてお話する。

・不可視であれ

デジタル化が進んでいるからといって必ず利用しなければいけないということではない。昨今はテクノロジーを使うという手段自体が目的になってしまうケースが多い(例,VRの失敗)

テクノロジーは明確な目標を達成するための手段であること。

・シームレスであれ

スマートフォンはあらゆる面で人々のパーソナルメディアとなり、「ショッピングアシスタント」となった。これによりカスタマージャーニーのプロセスは細分化がされグーグルはこれをマイクロモーメントと名付けた。

またデジタルの発展により小売業に2つの特殊な現象を作った。ショールーミングとウェブルーミングである(デジタルとフィジカルの世界を行き来するフィジタルマーケテングの誕生

そしてデジタルとリアルの世界はまず境界線を無くし、お互いに補完し合い、統一性をもち、シナジーを生む必要がある。つまりマルチチャネルではなくオムニチャネルを採用することが求められる。

マルチチャネルの例

・ネットで買ったモノを返品しにリアル店舗に出向いたが断られる。

・ネットで特定の店舗の在庫状況を確認したいが互いにシステムが違うためできない。


・目的地であれ

購買選択が製品の特性だけで決定する時代は終わり、ブランドストーリーを求められる時代になった。そして消費者はブランドと物理的接触を求めるようになった。そのためリアル店舗は購買の場だけでなく経験の場になっていかなくてはいけない。つまりリテールテイメントを提供する場になる必要がある。

買うために行かなきゃではなく行きたくなる場であれ

・パーソナルであれ

デジタル時代において消費者の製品・サービスに対する期待は上がっている。そのため今までのようにone-to-manyのアプローチからone-to-one(カスマイゼーションやパーソナライゼーション)への変更が必要

・キュレーターであれ

現在、デジタル時代における小売業界の特徴として先に述べた消費者の期待の高まりと技術の民主化による市場参入障壁が低くなり競合の増加があげられる。それに伴い3つの課題がでてきた。

・都市化による賃料上昇で店舗の維持費が高くなり店舗スペースが縮小傾向にあること

・品揃えが評価されてしまったがゆえに生じた膨大な在庫問題(ダーク・リテール)

・幅広いオファリングからなる選択肢過多、また代わり映えのない店舗

この課題が出てから何かに特化した店舗に存在感がでるようになった。

そしてそれを実現するには下記の考え方が必要

・WHO(自社のターゲット・オーディエンスは誰が含まれ誰が含まれないか)

・WHAT(自社の商業的提案には何が含まれ何が含まれないか)

・HOW(製品の販売方法・サービス方法は?)

つまり「含まれない」をしっかり断定することが重要。

・人間的であれ

デジタル化が進むにつれ改めて人間的なファクターにも注目する必要がある。それを3つの「S」で説明していく。

・サービス

サービスを計画する上で企業的な視点ではなく人間的な視点から考える。

例としてイケアの店舗作りがある。実際に住居やオフィスの一室といった環境の中に製品を展示してまとめ買いを促す。

また接客も重要になってくる(AIロボではできない共感や創造性)

・社会性

販売・展示スペースやイベントを人々が集まる場、コミュニティ形成の場とする。

・持続可能性

事業が環境、社会、経済に与えるインパクトに十分配慮する必要がある。

ネットで簡単に情報が手に入る時代、社会と環境への取り組みが不透明な企業は淘汰される。


以上10個のうち大事だと感じた6つの法則について述べさせていただきました。


コトラーのリテール4.0 デジタルトランスフォーメーション時代の10の法則
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