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上を向いて(100km)歩こう ~完結編(後編)~


さぁ〜て、来週のカツヲさんは?

便意です。この間、ひっそり目覚めて少しづつ自分の存在を主張していたら、引っ込みつかなくなっちゃったのよ。
やっぱりトイレで消滅させて欲しいけど、この男、一体何を考えてるの?全然トイレにありつけてないじゃないの。

さて次回は

「カツヲ、トイレにありつけない」

「便意、早く消滅したい」

「ビッグ・ベン、外の空気が吸いたい」

の三本です。

来週もまた見てくださいね!
じゃん、けん、ぽん!








💩




うふふふふ。






中編はこちら!








憎たらしい!!!
トイレを荒らした誰かが!!!

憎たらしい!!!
コンビニが全然ないこの街が!!!

憎たらしい!!!
行動食にやたら消化のいいものばかり選んでいた過去の自分が!!!

そりゃそうよ!あんなに食物繊維たっぷりのものばかり食べてたらトイレにも行きたくなるだろ!
でもこんなにトイレを発見できないなんて思わないじゃんか!!



肛門は決壊寸前!


時刻は8:05!!!最寄りのコンビニまであと2.5km!!!
間に合うわけが無い!!!

でも人間としての尊厳は捨てられない!!!
野グソなんかできるわけが無い!!!
そんなことしたらさすがに人間失格!!!


鬼の形相でひたすらに歩く。
足の痛みを忘れて今までとは比べ物にならない速度で歩く。
すっかり朝になり、心地よい朝の空気に包まれながらも、腹に据えたビッグ・ベンは心地悪い。

見沼元圦公園を過ぎ、バカ糞でかい橋が見えてくる。
その橋のたもとに見えるコンクリートの糞小さな建造物。




トイレだ!!!!!

オアシスだ!!!

So Sally can wait !
But, Katsuwo cannot wait !





あった!!!
普段だったら絶対に使わないレベルの糞汚ぇ公衆便所!

本当に限界な人だけが使うことの出来る糞汚ぇ公衆便所!!!



普段なら絶対に使わないレベルの糞汚ぇ公衆便所に駆け寄る。
その時だけは糞汚ぇ公衆便所が美しい天使に見えた。



愛してるぞ!!!

なんか[使用禁止。]って書いてあるぞ!!!

フザんけんな!!!
気色悪い悪魔の顔をした糞汚ぇ公衆便所!!!

ぬか喜びさせやがって!!!





怒りにまみれて歪んだ顔と、堪えて歪んだけつなあな。
前後ろのどちらから見ても同じ表情をした金太郎飴のカツヲは、全てのエネルギーを肛門と脚に集中させてセブンイレブンに向かう。
残り、2.0km!!あと20分!!!まじかよ!!!意味わかんねぇよ!!!

もう必死すぎて周りの景色を見る余裕なんてない、なんか知らねえけどものすごくいい天気の中、バカみたいにぶってぇ川にかかったバカ糞長い橋を渡る。

どうやら‘武蔵大橋’と言うらしい、が知らねぇ知らねぇ!!!


おい!後ろから追い越していくトラックよ!!!
お勤めご苦労様です。
じゃねぇわ!乗せて、け、よ!!!



おい!橋の途中にある管理棟みたいな建物よ!!!
トイレはねぇのか!ねぇよな!


おい!どんだけ長ぇんだよこの橋はよ!!!
もう既に渡るのに10分かかってんじゃねぇかよ!!


おい!やっとバカ糞長ぇ橋が終わったみたいだな!!!

ひょっとしてこれって利根川だったんじゃねぇか?
だからなんだよ!!!知らねぇよ!!!

ズームする余裕なんてねぇよバカ!!!



糞天気いいな!!!糞がよ!!!
なんだ、あの看板!!!
グンマ入ったっぽいな!!!!

ズームする余裕なんてねぇよバカ!!!


こっからもうあと1kmだけなんだから頑張れよ!!!
あと1kmもあんのかよ!!!





ちゃんとトイレ目指しててえらい。

アホ○ね!
トイレは行きたいから目指してんの!!!


みんなの質問に答える生配信 (堀江貴文 ホリエモン)





見えた!見えた!見えた!セブンイレブン!!!!!


聞こえる!ファンファーレが!!!


ある!トイレが!!!


聞こえる!歓声が!!!

使用可!!!

聞こえる!!便意の叫びが!!!

ありがとう、ありがとう!!






8:30
 
トイレ着。

約40分間腹に据えていたたくさんのビッグ・ベンを全て解放した。

約10分間トイレにこもり、人間としての尊厳を守った安心感と、とてつもない達成感に浸りながら、お糞様を解放し続けた。


全クリした、、。

全クリした、、!




8:45

全てを‘出し切っ’て再度虚無に包まれたカツヲの身体は、思い出したかのように疲労と足の痛みに包まれた。

もう、無理だべ。ブルベ春。骨格ウェーブ。

肛門の苦痛のために、足の苦痛を紛らわしてくれる合法ドラッグ。便意。

便意によってもたらされたHIGHの後に待ち受けているのは、紛れもないBAD。
95kmのトリップの途中で訪れた40分間のトリップは、ハイになっていたカツヲを一瞬にして灰にした。




9:20

空洞です。

諦め99%でGoogleマップの検索欄に打ち込んだ[駅]の文字に立ち上がったピンは、自分を中心にまあるく広がる。

矢印のとこら辺にいました。


魂の消えた抜け殻のカツヲは、ゆらゆらしながら大通りから外れた場所にある住宅街の中の公園にたどり着いた。

僕の心をあなた(便意)は奪い去った
俺は空洞 でかい空洞
全て残らずあなた(便意)は奪い去った
俺は空洞 面白い

“空洞です” ゆらゆら帝国


Googleマップで検索しても出てこず、入り組んだ路地で出会った甘いムード(公園)はもう天国のようで、陽だまりに浮かぶベンチに寝転がれば、時折聞こえる鳥の鳴き声と木々のせせらぎに包まれながら思考放棄して眠りについた。






10:55

長い眠りから目を覚ました。
とてつもなく幸せな気分だった。
空洞になっていた部分を、
‘文化の日の昼前にあたたかい公園のベンチの陽だまりの中で眠る’
という幸せが満たしていた。

朧気ではあるが、はしゃいでいた子どもが、ベンチで眠るキショ大学生ホームレスの姿を見つけて、「あ、」と声を漏らし、母親に「しー。」と伝えて公園を横切っていった声が聞こえた記憶がある。
ごめんな。そしてありがとうな。

そういったぽかぽかにも満たされたカツヲは、眠る前程の虚無感と無気力感はなく、とりあえず歩けるだけ歩いて、起きたMからの電話があれば諦める報告をしよう、と思った。
諦めた末のMの家への向かい方はその時また考えればいいや、と思いつつ公園を後にした。


ここのベンチで寝てました。




11:00

寝たらかなり体力が回復していて、足取りも軽かった。
さらに完璧なタイミングでMから連絡が来ていた。

とりあえず電話で現在地を共有し、
・群馬に入ったこと
・昨夜の電話の後からまだ15kmも進んでいないこと
を伝える。

そして、もう諦め99.9%であることを伝える。


え!もう群馬入ったの?すげぇじゃん!!!
あと30kmぐらいでしょ!?いけるよ!!というかいってほしいな、ここまで来たし!
カツヲならいける!!


はい、行きます。

Mの激励に諦め0.01%になったカツヲは、ふたつ返事で覚悟を決めた。



まだまだこの旅は道端ジェシカ。。。

間違えた。
道半ば。



ここで諦めるつもりですか?
   ・・・別に。

間違えた。


挫折禁止。って伊勢谷友介も言ってたじゃないか。
。。。

なんでもないです。



まだまだピエール瀧。

間違えた。
まだまだ行けるぞ。ここで諦める人なんてオラフ。

間違えた。
ここで諦める人なんておらん。



こんな中途半端に諦めるつもりなんてモト冬樹。

間違えた。
毛頭ない。


モト冬樹 オフィシャルブログ 「ツルの一声」


失礼しました。




この電話では、

・川沿いの遊歩道のベンチで星を見ながら寝たこと。
・トイレを発見できず40分悶え苦しんでいる途中でグンマに入ったこと。
・10分間もトイレに籠り、空洞の心のまま公園で眠ったこと。
・あまりにもその睡眠が幸せで、近くを通った子どもに気を使われたこと。

という、Mが寝ている間にあったことを報告した。



そして、2021年の5月から毎日走っているM(凄すぎる。もうすぐで2年経つ。凄すぎる。)から、その毎日ラン中のとあるエピソードを聞き、11月らしからぬ炎天下の大通り沿いを大爆笑しながら歩いていた。

足の痛みにはすっかり慣れ、寝たおかげでかなり体力が回復していたカツヲは、Mとの談笑でたくさんのエネルギーを貰いながら、

少し出かけるからまたかけ直す

というMの言葉を聞いて、ほんの少しの寂しさと、大きな安心感を胸に電話を切った。




12:00

そういえば順調に行けば11時着だったなぁ
なんて思いつつ、幸せな睡眠をとったことで気持ちの持ちようは大きく変化していた。
数時間前までの、「諦めるか〜」は、「ゴールを目指そう」に変わっていて、残り25kmという距離に、「もう70kmも歩いたのか」、というポジティブシンキングまでできるようになっていた。

そうして、気分転換にSpotifyのトップに上がっていた『星野源のオールナイトニッポン』を聴きはじめた。



周辺を見渡せばあっという間に田舎道で、現実逃避のためにサイタマやグンマの景色を否定することすら間に合わないレベルに。

ここは東京。
そのつもりでこうやって歩いてきたけどな。

鍬、畑、野原があったらそこはもうグンマーや。

鍬、畑、野原があったらそこはもうグンマーや!!!




アホみたいな良い天気の中、アホみたいな田舎道を歩くアホ大学生。



12:45

耳元で聞こえる、星野源と雅マモル(宮野真守、、、?)のヘンテコなやり取りを楽しみつつセブンイレブンに寄る。


あまりの暑さに衝動的にアイスを買ってしまいつつ、ラジオを『雷獣の音侍』に切り替えてさらに進む。

↑これ聞いてた


14:00

ついに残り20kmを切り、終わりが見え始めていた。
冷静に考えて、‘20km’を‘ついに残り’と修飾してしまうの恐ろしいよな。

こいつ甘いものばかり食ってんな


セブンイレブンで再度エネルギーをチャージする。
そして時々トイレで自分のビジュアルをチェックしてみれば、もともとモト冬樹。

間違えた。
もともと整えていた髪型が汗やら乾燥やらで何故かどんどん整っていく。


モト冬樹 オフィシャルブログ 「ツルの一声」


失礼しました。(しつこい)




この変化は、めちゃモテ委員長として振る舞い続けられて惨めな気持ちにならない、という点でかなり心の支えになっていた。




15:25

メンタルは回復していたものの、速度は単純に落ちていて、未だ残り16km。

足はもうかなり限界。

Mの部活開始前に到着する
という軽めの目標はもう諦めていて、20:00までに到着したらいいな、程度。




16:00

たしかここら辺ではわりと大通りを歩いていて、イオンモールみたいなやつもあった。

正直に言うと、この辺りからまたもやメンタルが崩壊し始めていた。

もうキツイとかそういうレベルじゃないところまで来ていて、何が自分の足を動かしているのか分からなかった。
ただ1つ、‘もう一生こんな挑戦はしない’、と決心していた。


こいつ甘いものばかり食ってんな

記録によると16:03にセブンでこのスイーツを食べていたようだが、全く記憶にない。




16:30

再び音楽を流していたイヤホンからはandymoriが流れていて、閑散とした国道沿いで、車の音に声がかき消されるのをいいことに大熱唱していた。

というより大熱唱しないと心が折れてしまい、二度と出発出来ないような気がしていて、もう本当にキツかった。

僕らのこの日々を
誰かに分かってもらおうなんて思わないけど
ほんとうにまっすぐに歩くなら
あのカーブでみんなとも離れ離れ
雨が降れば鍵をかけていいよ
誰にも知られないまま終わりになっても

それでハッピーエンドなんだ
ハッピーエンドなのさ
ほんとうにうたいたいうた
君にはうたってほしい

“ハッピーエンド”  andymori




17:30

心が折れた。

車が際限なく通り、草が生え散らかった国道沿いの歩道を歌い叫びながら歩く道中、急に心が折れたカツヲは、人が通らないことをいいことに恥ずかしげもなく寝転がった。



ガチで年甲斐もなく泣いてしまいそうになりつつ、無慈悲にも高速で過ぎていく無機質な鉄の物体を眺める。

残す距離はあと10km。

諦めようにも諦められない微妙な距離。

今回で終わらせたい。

もう二度とこんなキツイことをしたくない。
ここでこのチャレンジを完遂しなかったらいつ完遂できるってんだ。

今回で終わらせたい。



ネガティヴ大全開のまま

“普通に死ぬ無理頑張れ”

という情緒ぐちゃぐちゃのメモを残したカツヲは、何度目かの覚悟を決めて重い腰を上げた。




18:00

やっと国道を抜け出し、ひとつの達成感から、だだっ広い渡良瀬川沿いのサイクリングロードで大の字になり星を眺める。


人生、クソ楽しい。



寝転がり、脚の筋肉を解した赤LARK。

間違えた。
筋肉を解しながら、ひっそりと独りで輝く星を眺める。



人生、クソ楽しい。



もう Get-get-get on! Get-get-get on! Get on chu!。

間違えた。
ゲロゲロゲロ吐きそうなほどキツイけど。


人生、クソ楽しい。




そうして星を眺めているとタイミング良くMから電話がくる。

 「どう?いけてる?」
       渡良瀬沿いで寝転がってます!

 「もうすぐじゃん!」
      なぁM、星が綺麗だぜ!!
 「・・・」

      あと8kmぐらいだよ!!!
「すげぇじゃん!」


18:30には部活に向かうM。
自分の部活中に無人の家に到着する可能性のあるカツヲを可哀想に思ったMから、
「ちょうど今のお出かけの帰り道に車で付近を通るから、対岸のセブンイレブンで家の鍵を渡すね」
という、天使なのか悪魔なのかよく分からない提案を受けた。

もはや「諦める」という言葉が自意識に存在していなかったカツヲは、考える間もなく
そうしよう。
と返事をしていて、Mを待たせることのないように2秒で起き上がって早歩きでセブンイレブンを目指した。




18:30

一足先にセブンイレブンに着き、もう既に部活は時間内に間に合わないや、と呟くMを待つ。

無機質な金属の物体の流れの中で、見覚えのあるあたたかい軽自動車が現れる。

「お〜お〜!
マジで歩いてるじゃん!」

約1ヵ月ぶりのMとの邂逅。
Mから合鍵をもらい、謎にあつい握手をする。

    Mが帰るまでには着くように頑張るわ。

「頑張れよ!」


2, 3分程度のMとの邂逅の末、Mとの握手でとてつもないエネルギーを貰ったカツヲは、乗りたくてたまらない車を見送った。


よっしゃぁ行くぞ。


よっしゃぁ行くぞ!!!


ここからの数km、もう地獄なんてもんじゃなかった。
最後に追い打ちをかけるように上り坂。
泣きっ面に蜂、弱り目に祟り目、ブルベ冬、骨格ナチュラル、ホ別3万、蛙化現象。

けれど、、






精神力だけは一流のところ見せてやるぜ。
悪いね、へぼトラベラーで。

俺の人生は、、、晴れ時々大荒れ。
良いね!!!良い人生だよ!!!




19:00

残り5kmを切った!!!


モバイルバッテリーは使い切り、携帯の充電はあと14% 。


この長い旅もあと1時間あまりの辛抱。

休み休み登ってきた大通り沿いの坂を抜けて、更なるグンマの奥地に侵入する。
まだ微かにグンマ人の温かみのあった道から離れ、真っ暗な夜道を登る。

孤独と向き合い続けたこの何十時間。さらなる孤独に包まれながら、坂道だらけのド田舎を何度も心折れながら進む。



19:30

複雑骨折の心で道端に寝転がる。冬の夜のグンマは、寒くて、暗くて、星が綺麗だった。

酸欠の心臓を鎮めるように目を閉じる。
風の音と虫の鳴き声が心地よい。
硬いコンクリートの冷たさを背中に感じながら、地球と対話するようにまた少し眠る。




19:45

目を覚まし、意を決して身体を起こす。

あと少しだ、、、。

15年前の自分だったら普通に泣きわめいてしまいそうなほど妖しく、暗く、深い森道を通る。
イヤホンを外すとなにかが聞こえてきそうで、気を抜くと別世界に行ってしまいそうで恐ろしかった。


20:20

森道を抜け出し川沿いを通ればやっとほんの少し街っぽくなってきて、気づけば残り1km。

アドレナリンドバドバで、ついに見ることのできたGoogleマップの残り距離 ‘m’ 表示に、つんのめるようにして進む。


足の痛みを堪えながら、必死に脚を持ち上げる。



肺がたくさんの酸素を求めて収縮する。



肌寒く思えるはずの空気は、盛んに拍動する心臓の熱によって気にならない。



まっ暗なグンマを歩きながら、この一日を振り返る。
あと1km、、あと1km、、。
とっくに酸素の供給が間に合ってない身体を動かしながら、長いようで短い、短いようで長かった一日を振り返る。




タップル、、、。

両足破裂、BrakingDown、、、。

けつあな崩壊確定、、、。

キショ大学生ホームレス、、、。

国道沿いのカラオケ大会、、、。





ろくでもねぇ!!!



ろくでもねぇよ!!!この95km!!!



でも、クソ楽しい人生だ!!!





スマホの充電は残り4%!
カツヲの充電は残り1%!

しぶとい1%を燃やしながらゾンビのように進む。
もはや、汗とエネルギーになって枯れてしまった実体のない涙がこぼれないように進む。


上を向いて歩こう
涙がこぼれないように
思い出す 春の日
一人ぽっちの夜

上を向いて歩こう
にじんだ星をかぞえて
思い出す 夏の日
一人ぽっちの夜

幸せは雲の上に 幸せは空の上に

上を向いて歩こう
涙がこぼれないように
泣きながら歩く
一人ぽっちの夜

思い出す秋の日
一人ぽっちの夜

悲しみは星のかげに 悲しみは月の影に

上を向いて歩こう
涙がこぼれないように
泣きながら歩く
一人ぽっちの夜
一人ぽっちの夜

“上を向いて歩こう” 坂本九 





気づけば残り100m。
見覚えのある景色。

脇道に入り砂利道を進むと見えてきた友人のアパート。



・・・・・




20:34

着いた!!!!!!!!!!!!!!!!!


2022年11月2日 15:10   東京区内の大学出発。

2022年11月3日  20:34  群馬の親友の家到着。

29時間24分。計95km。



いけた。歩けた。歩けた、、!

途中で受け取った合鍵でMの家に転がり込み、長距離歩いた時特有の裸足のぐにゃぐにゃ感を楽しみながら、遠慮0でソファにもたれかかった。(ごめんなさい)


いまだ酸欠でクラックラの脳ミソに、ガッタガタの足腰。
とてつもない目眩で泥酔状態に陥りながら、家の下の自販機で買ったエスカップを注入する。

とてつもない手足の痺れに放心状態のカツヲ。まるでヤク中。

到着してから10分足らずでMが帰ってきて、何を話したか、、、覚えていない。
手足のしびれがやばい、もう動けねぇ。としきりに言っていたと思う。

腕時計に記録されていた歩数を見てみると、計146229歩
一日の理想的な歩数として言われている8000歩の約18倍
もう18日は歩かなくていいという計算だ。


距離は歩数換算であるため計95kmに満たない。


マジで精神的にも体力的にも人生で1番キツく、苦しい経験だった。
しかし、それと共に得られる達成感はとてつもなく、とても自信に繋がるのでぜひ皆さんやってみてね。(絶対にやめた方がいいです。マジで)





親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。大学校に居る時分、東京から出発して何度も心を折りながらなんとか群馬の親友のMの家に辿り着いた事はある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかもしれぬ。別段深い理由はない。

歩きたかったからだ。




p.s:

後日談を後に投稿します!!!

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