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本格ミステリについて

ミステリ小説のジャンル
ミステリ小説には大きく分けて2つのジャンルがある。1つ目は本格派ミステリである。
本格推理小説とは、作家の二階堂黎人は次のように定義している。
「手がかりと伏線、証拠を基に論理的に解決される謎解き及び犯人当て小説である」
小説の中に謎を解く手がかりが全て提示されており、読者も犯人がわかるようになっている。その分、トリックやどんでん返しが重要視されているので現実離れしたものも多い。そこで対となるジャンルが社会派ミステリである。こちらは、特異の設定でなく日常的な設定、名探偵でなく刑事たちの地道な捜査が主役となっている小説である。

新本格派
そもそも、始めのミステリ小説は本格派であった。エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人」は密室ものを描いており、大正時代に日本でミステリ小説が作られたのも本格ものである。その後、戦後まで本格派で巨匠・巨作が出現してきたが1957年に松本清張がデビューし矢継ぎ早に社会派ミステリを発表するとブレイク。というのも上記で書いた通りトリックやどんでん返しが重要視されているので現実離れしたものも多いという批判が当時あり、その反動で社会派が熱狂的に受け入れられたのである。社会派が乱立したためブームも沈静化し社会派と本格派が融合したものや、たびたび本格派が出現したもののミステリ小説界は社会派が主流となっていった。
しかし、1987年綾辻行人が「十角館の殺人」でデビューすると、新本格派と呼ばれ本格派のミステリ小説が爆発的に増える。社会派ばかりの中、懐かしくも新しい新本格派は注目を集めたのである。

終わりに
現在の本格派は新本格派といっても差し支えないものである。最近のミステリ小説を読むと本格派が多いのかなと感じる。これは、ミステリ小説がエンターテインメントとして洗練化しているのではないかと推測する。エンターテインメントとは悪く言ってしまえば現実逃避する娯楽方法の1つである。その娯楽に現実に即した社会派より、名探偵が快刀乱麻にかっこよく推理する本格派の方が娯楽性としては高いのでないかと感じている。

参考資料
ミステリアス学園 鯨統一郎 光文社文庫

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