ユーロ EUの柱の1つは通貨の統合であり現在のユーロである。通貨を共通にすることにより、為替相場の影響を少なくしEU圏でスムーズな貿易ができ、また賃金の安い国の人が高い国へ出稼ぎに行き、そのお金を自分の国で使うことができるし、雇用主も人件費を抑えられ安く輸出することができる。このように輸出が促進され経済発展が期待されたのである。もちろん複数の国の共通通貨なので単独でお金の発行・引き締めができなくなる。これは不景気のときにお金を一杯刷って景気を刺激する等の経済政策がEUに所属し
アルザス・ロレーヌ地方 ヨーロッパの大国であるフランスとドイツは18世紀頃からアルザス・ロレーヌ地方を巡り対立していた。アルザス・ロレーヌ地方は鉄鉱石と石炭を産出するためである。そこでフランスとドイツが鉄鉱石と石炭の奪い合いを止めれば、ヨーロッパも安定するのではないかという考えのもと、1950年5月9日にフランス外務大臣のシューマンが提案したのがシューマンプランである。この提案に基づき1951年にパリ条約で設立されたのが欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)である。加盟国はフランスと
ミステリ小説のジャンル ミステリ小説には大きく分けて2つのジャンルがある。1つ目は本格派ミステリである。 本格推理小説とは、作家の二階堂黎人は次のように定義している。 「手がかりと伏線、証拠を基に論理的に解決される謎解き及び犯人当て小説である」 小説の中に謎を解く手がかりが全て提示されており、読者も犯人がわかるようになっている。その分、トリックやどんでん返しが重要視されているので現実離れしたものも多い。そこで対となるジャンルが社会派ミステリである。こちらは、特異の設定でなく日
そして二人だけになった 森博嗣 新潮文庫 ミステリー小説の中で最も有名な作品と問わればアガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」が上がるだろう。「そして誰もいなくなった」が特徴的なのは、閉ざされた空間で限定された人物・空間で殺人事件が起き最終的に誰もいなくなる=犯人となる人物がいないということである。ただのクローズドサークルだけでなく、犯人対象となる人物もいなくなってしまうという不可能性は当時、衝撃をもって読まれ現代でも愛読者が絶えない作品である。それゆえにオマージュ
家康のイメージ 徳川家康というと腹黒というイメージが一般的にある。結果的に豊臣秀吉が統一した天下を横からすり取ったという事実がそのイメージを冗長させている。しかし、実際には家康は豊臣政権との共存を目指す動きを見せている。 孫・千姫の縁組 関ヶ原で勝利した家康は1603年征夷代将軍に就任する。その7か月後豊臣秀吉の遺言通り、豊臣秀頼と家康の孫・千姫との間で縁組が成立した。(敵対していた徳川家と豊臣家で急に縁組か、と疑問に思う方もいるだろうが、そもそも関ヶ原の戦いは豊臣家臣の石
噂 荻原浩 新潮文庫 推理小説は大きく分けて、本格派と社会派に分類される。(小説も多様化し必ずしもこれに分類されるわけではないが) 極端に説明するが本格派は探偵が出てきて、犯人を論理的に推理してその推理の内容や過程を楽しむもので、社会派は警察が科学捜査や聞き込みで犯人を追いかけていくリアリティーを楽しむものである。 それぞれの分類の性質上、驚きの結末や知的好奇心を満たしてくれるのは本格派の作品であることが多い。しかしこの荻原浩の「噂」は、がっつり社会派に分類されるが驚きの結
中先代の乱 鎌倉幕府を滅ぼし、実権を握った後醍醐天皇は天皇中心の政治を行い自分に近い貴族や側近を重用し、武士たちを軽く扱った。武士たちが不満を募らせるなか、1335年鎌倉幕府最後の執権・北条高時の子時行が挙兵した(中先代の乱)。後醍醐天皇と一緒に鎌倉幕府を滅ぼした足利尊氏が許可を得ず、乱を鎮圧し部下に勝手に恩賞を与え始めた。 九州落ち 激怒した後醍醐天皇は、新田義貞を総大将として討伐軍を派遣するが箱根竹ノ下で足利軍に敗北する。逃げる義貞軍を追った尊氏は京都を確保するも奥州か
探偵AIのリアル・ディープラーニング 早坂吝 新潮文庫 あらすじ 人工知能を研究する父が密室で不可解な死を遂げる。警察が事故死と決めつける中、納得がいかない息子の輔(たすく)は父の部屋を調査するとSDカードが見つける。SDカードの中には探偵のAI・相以(あい)がデータで入っていた。犯人を相以と追う過程で父が作ったもう一つのAI・以相(いあ)を奪って悪用するテロリスト集団の陰謀を知ることになる。以相が起こした難事件に相以と輔は挑むことになる。 早坂吝は○○○○○○○○殺人
月氏との同盟 前漢の7代皇帝・武帝は匈奴(現モンゴル周辺地域を支配していた部族)の侵入に悩まされ、匈奴への対処が課題となっていた。そんなとき、月氏が匈奴に敗れソグディアナ(現ウズベキスタン周辺)に逃れて匈奴への報復を考えているとの情報を得た漢は同盟のため、張騫を使者として月氏へ送ることにした。 2度に渡る拘留 月氏への使者一行は匈奴領内を通る必要があり、案の定張騫は拿捕される。拘留は10年にも及んだが、厚遇されており妻を娶り子供も生まれた。しかし張騫は使命を忘れておらず、隙
R.P.G. 宮部みゆき 集英社文庫 宮部みゆきは超大作の模倣犯、ドラマ化もされた火車と現代ミステリーの傑作を数多く出している。しかし、上記傑作も含めページ数が多く敷居が少し高い。そこで宮部みゆき入門としておすすめなのが、このR.P.G.である。ページ数がおおよそ300Pと他作品に比べ少ない。登場人物が他作品から登板しているが、そちらを読まなくても楽しめる作りになっている。何よりラストの衝撃は宮部みゆき最高峰と言っても過言ではない出来である。 あらすじ ネット上での擬似家
ダイヤモンドの首飾り 1785年、当時フランス王妃マリーアントワネットはジャンヌ・ド・ラ・モットが企てた詐欺事件に巻き込まれた。 1772年、国王ルイ15世は愛人のために宝石商に首飾りを製作するように命じた。製作には数年かかり、合計2800カラットのダイヤが使われ宝石商は破産しかねないほどのリスクを負うものであった。しかし、完成したころにはルイ15世は亡くなり、愛人もルイ16世に追放されていた。宝石商はマリーアントワネットに売ろうとしたが、断られた。 ラ・モット夫人 ジャン
クールキャンデ― 若竹七海 祥伝社文庫 青春ミステリものは、どちらかというと主人公達の精神的成長を重点に置く。ミステリのクオリティは度外視したものが多い傾向である。ゆえに私とかは、あらすじで青春ミステリものと判断し、ミステリのクオリティ的にはかなり油断して読む。この作品は油断して痛い目にあった名作の1つである。 あらすじ 誕生日と夏休みに胸を弾ませていた中学2年の渚。しかし、自殺を図り重体だった兄嫁が亡くなり、同時に自殺の原因だった兄嫁のストーカーが変死する。警察は渚の兄良
フレンチ・インディアン戦争 大航海時代、ヨーロッパ諸国は進出した大陸をこぞって植民地にしていく。北アメリカ大陸も類に漏れず、イギリスがヴァージニア植民地をフランスはルイジアナ植民地をそれぞれ築くことになる。当時ヨーロッパはドイツのプロイセンとオーストリアが対立しており、同盟国のフランスとイギリスも敵対していた。ヨーロッパの争いは植民地の奪い合いに発展し、1754年―1763年の間北アメリカ大陸でもフランスと先住アメリカ人連合軍とイギリスが戦争状態となる。これがフレンチ・インデ
ある閉ざされた雪の山荘で 東野圭吾 講談社文庫 東野圭吾は数多くの作品を書いている。どの作品も水準が高く、人によって東野圭吾 最高傑作が変わってくる。ストーリーが秀逸な「秘密」「白夜行」、映画化もされた「容疑者Xの献身」「聖女の救済」と東野圭吾 最高傑作候補は数多いが、私は是非とも「ある閉ざされた雪の山荘で」を候補としてあげたい。 あらすじ 劇団「水滸」の次回作のオーディションに合格した男女七名は舞台稽古のためペンション「四季」に呼び寄せられる。設定は雪で覆われた山荘で予想
3本の矢の長兄 毛利隆元は、中国地方の覇者・毛利元就の嫡男である。弱小勢力から成りあがった天才的謀将・毛利元就を父にもち、76度の合戦で64勝12引という驚異的戦績の吉川元春、知略と政治力で五大老まで上り詰めた小早川隆景を弟にもつためかなり影が薄く感じる。父・元就にも「能や芸や慰め、何もかも要らず。ただ武略、計略、調略が肝要に候」とたびたび叱責されている。隆元自身もそれをひしひしと感じており、色々な手紙で自嘲的なことを書いている。しかし、隆元は思量深く内政面・財務面で長けてお
カササギの計略 才羽楽 宝島社文庫 あらすじ 大学生の岡部はいつも通りバイトを終えて、アパートに帰ると見知らぬ女性が座り込んでいた。彼女は華子と名乗り昔交わした約束のためやって来たのだが岡部自身覚えていない。翌日の夜に再びやって来た華子と奇妙な同棲生活を送ることになり、岡部は次第に華子へ惹かれていく。しかし、彼女は難病に侵され余命いくばくであった。残された時間を一緒に過ごしていくが彼女にはさらに隠された秘密があった。 半分、岡部と華子の恋愛小説であり登場人物が少ないためかな