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第5回 僕らはキューブリックの想像力の中に生きている

こんにちは、ヴィブレンス建物と街担当のタツです。

みなさん、GWはいかがお過ごしだったんでしょう。僕は都内をフラフラとしてました。
後半は例年のように有楽町国際フォーラムでやってるラ・フォル・ジュルネのコンサートのチケットを数枚取ってお祭り気分でいくつか音楽を楽しんできました。
タイトルの写真はホールの入り口付近のものです、いつも思うのですがここの各ホールにあるホワイエのエントランスは『2001年宇宙の旅』に出てくる未来の空間そのものだと思いませんか。ここでいろんな人が行き来するのを眺めていると映画の中に自分が入り込んでる感覚を覚えて楽しいんです、そう思って今度見てみてください。
設計者のラファエル・ヴィニオリがどう意図していたのか今となっては明確にはわからないですが、多分映画のことは意識していたと思います。もちろん白く光るグリッドの床面はそう複雑な意匠ではないですが明らかに未来的な何かを目指して作ってるんだろうと思います。東京や千葉がSFの世界で退廃した近未来として描かれてるのは有名でしたし、そのイメージを90年代の現実の日本に逆挿入するアイデアは面白いものだったと思います。
なんにせよ『2001年宇宙の旅』は見た人の想像力を支配する映画だったんだと思います。有名な地球を宇宙船が飛び立つシーンはその後のすべての宇宙のイメージの大元になってます。『スターウォーズ』も『ガンダム』も『エヴァ』も『DUNE』もそうです、今持って僕らが宇宙を旅するイメージはキューブリックの想像力に依拠したものなんだと気づきます。その前はどうだったんだろうと思うと小さい頃テレビで見た『宇宙家族ロビンソン』みたいな幾つかの星の模型を俯瞰した宇宙を宇宙船が移動していく映像がすべてだったんだろうと思います。その差はあまりもでかい、無茶苦茶金は使ったみたいですけど。
今でもこの映画の引用は絶えません、ティム・バートンの『チャーリーとチョコレート工場』では小さなモニターに有名なシーンが映り出されていたり、ドイツの映画『希望の灯り』では物語の中心地であるスーパーの大きな倉庫を黄色いフォークリフトが「青きドナウ」に合わせてまるで踊ってるように動くシーンがまさに2001年を思い起こさせたりします。
素晴らしいクリエーターの想像力は見る人の想像力を刺激し、支配しそしてまた新しい想像力を生み出していく。そんな他者の豊か想像力の中で僕らは生きている、キューブリックの想像力の中に生きてるんだと思うんです。

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