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補遺15: WIRED連載『新しい社会契約(あるいはそれに代わる何か)』第15回「長期主義(long-termism)と未来世代法」

雑誌『WIRED』Vol.50(2023年9月21日発売)掲載の『新しい社会契約(あるいはそれに代わる何か)』第15回「長期主義(long-termism)と未来世代法」の補遺です。
紙面の都合上、掲載できなかった脚注、参照文献等をここで扱わせていただきます。


注1)

タイトルとなっている「長期主義(long-termism/longtermism)」は、ウィリアム・マッカスキル教授により提唱されている言葉で、これは彼が主張している効果的利他主義と結びついた言葉と理解されている。
一方で、ローマン・クルツナリック氏やリチャード・フィッシャー氏は「長期思考(long-term thinking/longer view)」という言葉を主に使用しており、マッカスキル氏による長期主義や効果的利他主義について一定の区別をしているようだ。
ただし、クルツナリック氏も『グッドアンセスター』において「長期主義(long-termism)」という言葉を使用しているため、本稿ではこれらを区別しないで用いている。

リチャード・フィッシャー先生による長期思考を促す書籍選。
The best books to take a longer view of time

注2)

ウェールズ未来世代法は、7つのウェルビーイング目標(「繁栄(Prosperious)」「レジリエント(Resilient)」「より健康(Healther)」「より平等(More Equal)」「Golobally Responsible」「Vibrant Culture and Thriving Welsh Language」「結束力のあるコミュニティ(Cohesive Communities)」)を掲げているが、この目標も大規模なタウンミーティング(市民対話)の蓄積により生まれてきており、この法律自体がボトムアップ型のアプローチで制定された点も特徴的だ。


注3)

日本でも未来世代法を制定を目指す草の根の市民活動がなされている。

注4)

西條辰義による「フィーチャーデザイン」については、以下を参照。

注5)

間接的ながら、国家権力や意思決定権をより小さな行政単位に分散・委譲させることも、長期的な公共政策のパフォーマンスのを向上に資するさせるために有効だと指摘されている。

注6)

長期主義的な法制度としては、他にも、契約後も一定期間であれば契約の申込みを撤回できるクーリングオフ制度、ユーザーのパーソナルデータを利用したターゲティング等を規制するGDPR(一般データ保護規則)なども挙げられるかもしれない。

注7)

ウェルビーイングと法の関係性については、以前書いたエッセイ『法やルールによってウェルビーイングはつくれるか?』も参照。

注8)

「動物化」については、東浩紀『動物化するポストモダン』を参照。


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