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台湾留学生による、わかりやすい台湾総統選挙🇹🇼

お久しぶりです、台湾の某私立大学でリアルな国際関係学を学ぶTasukuです!

台湾の運命を変えるかもしれない台湾総統選挙まで、あと2日。今回は直前に迫った選挙の現段階での情勢について、台湾で国際関係学を学ぶ私が世界一わかりやすく解説します。

台湾情勢のおさらい

台湾と聞くと、いつも中国と揉めているというイメージをみなさんもお持ちかもしれません。

その認識に間違いはありません。特に現政権、蔡英文総統率いる民進党が8年前に政権を握ると、台湾と中国の両岸関係は緊張感を増し、中国は幾度と台湾近海での軍事演習を繰り返し、台湾を威圧してきました。その度に台湾も防衛策を練り直し、いつ戦争が起きてもおかしくないと危惧されてきました。

元々は中国本土において政権を握っていた中華民国が、現在中国本土を治める中華人民共和国との内戦を経て、敗北の末台湾島に逃れてきたところで、現在の台湾が建国されました。

当初は中国本土奪還を目指し、蒋介石総統率いる国民党が国力を築いていました。しかし時代の流れとともに、本土の中華人民共和国は力をつけていき、中華民国(台湾)の本土奪還の夢は、現実的に不可能なものとなりました。2000年代に入ると台湾の政治は中国との融和を進める国民党と、台湾独立を目論む民進党の二大政党制へと変わります。

しかし、中国共産党率いる中華人民共和国は経済力、軍事力ともにめきめきと力をつけていき、最近の世論(特に若い世代)は武力衝突を望まない現状維持を望む声が大きくなっています

候補者リスト

候補者①:賴清德(民進党)

現政権でもある民進党からは、現副総統の賴清德(ライ・セイトク)氏が出馬。蔡英文現政権から続く両岸関係の現状維持を主張している候補です。両岸お互いの理解に対する努力は続けるものの、台湾の自治、民主主義を重要視する候補であると言えます。経済政策の軸はリベラル層を取り込む再生可能エネルギーの推進等によるグリーン成長戦略。

候補者②:侯友宜(国民党)

民進党の対立野党である国民党からは、警察出身で現新北市長の侯友宜(コウ・ユウギ)氏が出馬。平等、尊厳、友好性を持った対話で波風を立てない平和な両岸関係を公約に掲げています。あくまで融和が平和への道と考える候補と言えるでしょう。経済政策の軸はTPP等の自由貿易圏への加盟による自由貿易の推進。

候補者③:柯文哲(民衆党)

2019年に設立された新党の民衆党からは医師出身で元台北市長の柯文哲(カ・ブンテツ)氏が出馬。台湾の自治、民主主義を保ちつつ、中国本土との平和的な交流を築くという、両候補の中間的立ち位置で両岸関係に取り組もうとしています。経済政策の軸は人材への投資。どちらの政策も若者の支持を獲得しています。

まとめ

今回の台湾総統選挙は、台湾有事のリスクが過去最大に高まる中で行われる選挙であり、国民の最大の関心は両岸関係(中国本土と台湾の関係)に向けられています。そんな中、三候補とも異なる見解を示し、国民の信頼を勝ち抜こうと選挙活動を行っています。故安倍晋三元首相はかつて、「台湾有事は日本有事」という言葉を残しました。その言葉の通り、日本の経済や安全保障にとっても大きな影響を与えると言われる台湾情勢。両国の大きな転換点と言っても過言でない今回の総統選挙だからこそ、日本に住む我々も注視していかなければなりません。

用語チェック

  • 総統:台湾の政治最高権力者。大統領と同義。

  • 両岸関係:中国本土(中華人民共和国)と台湾(中華民国)の関係

  • 中華民国:台湾の別名。元々は中国本土を収めていた国の名前。内戦の末、国ごと台湾へ逃れてきた。

  • 現状維持:現蔡英文政権からの状態を引き継ぐこと。融和もこれ以上の対立も望まない姿勢。

  • グリーン成長戦略:グリーンエネルギーの普及により環境を保護しながら、経済成長を促進する戦略。

  • リベラル:自由主義。政治においては、変化を追い求める層を指すことが多い。現代においては、環境保護やジェンダー、人権保護などがこれに当たる。

最後に、

私のNoteでは、サステナブルファッションに関する記事や留学に関することなどを中心に情報発信をしています。今回の記事でサステナブルファッションに関して興味が湧いたという方は是非他の記事も一読ください!

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著:Tasuku

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