「セイレーンの痕」に向けて

2007年12月下旬に、たすいちは、早稲田大学演劇倶楽部というサークルから、僕が一人で旗揚げした劇団です。

そこからなんとかかんとかやってきて、今年で15周年。第37回公演を迎えます。

2012年4月、第18回公演を初めて吉祥寺シアターに進出しました。
それから本当にちょうど10年。やっと2度目の吉祥寺シアターです。

当時、劇団員は僕一人でした。
正確には、加入と脱退を繰り返し、この時点では一人になっていました。

色々な物を得て、失って、ここまでたどり着いた時に、それを分かち合う身内がいませんでした。
そこから10年かけて、再びやってきました。
吉祥寺シアターはそんな思い入れのある劇場です。

このサイズの劇場で満足するのではなく、もっと上を目指さなければ!
という気持ちもありますけど、それでも、今までのたすいちからすれば挑戦の公演であることには違いありません。
そしてこれまでのたすいちを観てくださっていた方にはぜひ観ていただきたいんです。
よくある多くの公演の一つでしかないかもしれないけれど、たすいちからすれば大きな一歩なのです。
それをどうか見届けてほしい。
さらなる次の一歩を踏み出すために、応援してほしいです。

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相変わらずのコロナ禍です。
感染症対策で、稽古場も劇場も、そしてそこに向かう道中も、対策を取る日々でした。

これは、僕が主宰をしているからというのもあるかもしれませんが、いろんな責任の生じる選択をすることが多くありました。
あまりの決定することの多さに、「誰か決めて!」と思ったこともあるし、「本当に合っているのか?」と思い悩むこともたくさんありました。
いや、今もなお悩んでいます。

今作のテーマの一つには「導く・導かれる」があります。

僕だけじゃなく、生きていれば多くの選択すべきことが立ちはだかり、みんな思い悩み続けているのではないかと思います。
何を選ぶのか。そして、できることなら正しい選択をしたい。
正しい方へ連れて行ってほしい。
また、願わくば導く先が正しい方向でありたい。

今回の公演を観るか観ないか考え中の方にとって、観て良かった、観るを選んでよかったと思える作品になるべく、
残りの期間も精進してゆきます。

この作品が、観てくださるお客様に寄り添って日々を生きる力に少しでもなれたら光栄です。

23日木曜日から、27日月曜日まで、吉祥寺シアターでお待ちしております。

目崎剛

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