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日本アカデミー賞をとった映画フラガール。この映画の見所は、どんなところにあるのだろう!深掘りしてみた!

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この映画フラガールは、戦後すぐの日本の歴史を学ぶのには、お勧めの作品と言っていい。日本の基幹産業を支えた石炭採掘。江戸幕末から太平洋戦争終結期、そして復興期において中心的役割をになった産業だ。

しかし、エネルギーが石油にとって変わられ、戦後10年目の1955年には衰退の道に入っていく。この状況を打開するには!策をねり実行したのが、観光事業への挑戦だった。

なんだか、この話し「プロジェクトX」に出てくるような…。調べてみると、プロジェクトではなく、NHKドキュメント番組での放送だった。題して「人間列島、みちのく椰子の葉陰で」。30分番組だが、NHKアーカイブスで3分見ることができた。

組合闘争とハワイアン、つまり光と影が描かれていた。炭鉱従業員も生き残りに必死だったが、ハワイアンの踊り子たちもキツい練習とステージに明け暮れる日々だったことが見てとれる。

まさに、明と暗の世界がそこにあった。間違いなく、これは映画として作りあげるべき題材だといえるだろう。

あらすじ
オープニングで、街の入り口に、踊り子募集のポスターが貼り出されていた。1人の少女(18歳のサナエ)は、友人のキミコに一緒にやってみないかと誘う。当時この街のほとんどの人が観光事業には反対だった。2人は、家族に内緒で応募する。フラダンス募集の会場に集まったのは40名ばかり。しかし残ったのは、たったの4人。そこへ、東京からフラダンスの教師があらわれる。借金を背負い、仕事も無くして逃げてきたような身の内だった。

このフラダンスの教師と、生徒たちがぶつかりながらも、次第に心を通わせていく。徐々にメンバーも増え、街にも理解者が現れはじめる。フラダンスを習って、わずか半年。それだけでモノにした彼女たちの姿が、最後の場面を飾っていた。

今まで、戦前戦中の様々な映画を見てきた私にとっては、人々がぶつかり合う姿はどこか微笑ましくも見えた。ただ、職を失う人の辛さは、共感できるものがある。だからこそ、「殴り合い」や罵りあいがあるわけだ。

常盤丹田の歴史
*1856年  「いわき」の地に、石炭層が発見される。
*1897年  JR常磐線(水戸 〜  いわき)が開通。
*1944年  常盤炭礦(株)設立。
*1946年〜1951年
最盛期!130の炭鉱が操業。
*1955年  国が、炭鉱事業の縮小計画を発表する。
*1966年  常盤ハワイアンセンター営業開始。
1971年  営業所が廃山。4700人が解雇となる。

会社の設立から74年で、炭鉱は幕を閉じた。しかし、見事に観光事業は残すことができた。

映画の見所…?
⑴負の部分に注目したい。フラダンサー募集で集まった40名ばかりの炭鉱夫の娘たち。しかし、現地ハワイの8ミリ映画を見せると、「人前に肌をさらすのは嫌だ」と、ほとんどが外へ飛び出していく。残ったのは、サナエとキミコだけだった。

⑵松雪泰子演じる先生にも注目。酔いつぶれて、千鳥足で教室に入ってくる。初めて見た先生の姿に、4人の生徒は目を丸くした。そして、次の瞬間「気持ち悪い!」と言って、先生は外へ飛び出す。そのシーン。

⑶サナエが、妹や弟たちの前で、フラダンスの衣装を身に付ける。そこへ解雇されて帰ってきた父親。サナエの姿に、父親はめちゃくちゃにサナエを殴った。サナエは顔を晴らして押入れのは中にはいる。

⑷サナエの父親の暴力を聞きつけた先生。父親が、銭湯に入っていると知って、大声をあげて男湯に入っていく。

⑸街の人々から罵られ、この街を去ろうとする先生。しかし、それを知ったフラダンスの生徒全員が、駅まで追いかけ、列車に乗った先生に向かい、フラダンスの手話で「あなたを愛している」と告げるシーン。先生は、涙をながし戻ることを決意する。

物語の構成ポイント
「七人の侍」が、やはりシナリオの下敷きにあるようだ。脚本は、在日朝鮮人3世、李相日。題材となるような本がなかったため、一から脚本を練ったという。なんと、3年かかったそうだ。

実話に基づくストーリーとされているが、実際はかなり違っている。フラダンサー募集ではかなりの応募があり、先生も東京で指導している方だった。しかし、これでは、面白くない。まず人集めから苦労し、先生も問題ありありということにする。だからこそ、最後の場面で踊る生徒たちのダンス。これにグッとくるものがあったというわけだ。

まとめ
この映画は、「七人の侍」好きには、たまらないと言える。苦労が多ければ多いほど、喜びがおおきいと言うことだ。この映画は、プロジェクトXにも近いのではないだろうか。紆余曲折を乗り越え、プロジェクトは成功するという筋書き。これは、多くの人に力を与えてくれるものがある。

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