サイエンス「2足歩行」が、人類に脅威の進化をもたらした！

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どうして人は、2本足で歩くのか？他の動物にはない動き、これはどう考えても不思議というしかない。多くの科学者が、この疑問に挑んできた。それを今回見ていこうと思う。

まずは、霊長類進化の軌跡。1億年まえの白亜紀末、ほとんどの哺乳類が種を入替えて滅んだなか、霊長類はそのまま種を残した。そして、5500万年まえ樹木のうえで暮らす小型哺乳類として生活するようになる。食べ物は、おもに果実や昆虫などであった。このとき身体はごくごく小さなものだったようだ。

そこから約4800万年かけて大型化してくる。ただ、大きくなったといっても、現在人に比べれば半分以下だ。ゴリラやチンパンジーの仲間である類人猿と呼ばれる種がコレにあたる。

2足歩行になった理由(仮説)
その⑴当時の気候が関係している。
地球環境は、温暖化と寒冷化を繰り返している。2足歩行になったその時、地球は冷えこみ始めた。気温が下がることで、熱帯雨林がどんどん縮小する。すると樹木のうえの食べ物が減ってきた。仕方なく、野獣に襲われる危険性のある草原に出たとされる。

理由その⑵
食料の運搬のため、立つことに！
立つことで両手両足が自由に使えるようになる。このことで、集めた食料を別のところへ持ち帰れるようになった。これにより、多くの食べ物の確保が可能となる。

理由その⑶
一夫一妻制とのつながり！⑵の運搬とも関係してくるが、自分の家族へ、より多くの食べ物を持ち帰れるということ。これが可能となったということだ。より多くの食料を得るという能力。この優れた能力を次世代である自分の子供につなげるには「一夫一妻制」が都合がよい。

［初期人類「ルーシー」］
現生人類へとつながる初期の人類「アウストラロピテクス・アファレンシス」。その中でも、よく知られた骨格化石が「ルーシー」と呼ばれているもの。発掘現場で、ビートルズのルーシーという曲を流していたことにより、この名前がつけられた。2016年の研究では、新たなことがわかった。テキサス大学の人類学者が、ルーシーは樹上から落ちて死んだと結論づけたという。これにより、ルーシーは歩行もしたが、かなりの時間、樹木のうえで生活していたと見られる。

［2足歩行の利点と欠点］
＊デメリット
①猛獣に襲われる危険性が増した！
②腰や膝に負担が加わる！
③女性では骨盤が狭くなり、出産が難しくなった！

＊メリット
①食料を、より多く手に入れることができるようになった！
②自分の家族を手に入れられ、自分の遺伝子が残せる！
③口腔内に変化が起き、声が出せるようになった。
④太陽の熱にたいして、有利な体となった。
⑤長距離の移動が可能となる。

デメリットから見ていくと、草原に出たことで、多くの猛獣との接触が多くなった。また、身体の面では、腰や膝の負担が多くなり、痛くなる人が増え、活動するには不利になった。女性も難産が多くなるという不利益をもたらしたといえる。

一方で、デメリット以上の利益を我々に与えた。とくに大きかったのが、脳の体積を大きくしたことだ。食料を多く得ることや、遺伝子を残せること、そして会話ができることは、知識知恵を収める脳を大きくする要因となった。太陽熱は地面からの輻射熱の影響がおおきい。立ち上がることで、この影響を少なくできるようになったのだ。体毛も抜け、さらに有利に働くようになる。長距離の移動は、野獣を狩るには大きな武器となった。獲物を遠くまで追いかけ、疲れさせて仕留めることが可能となったのだ。

［さらなるメリット］
立ち上がることで、腕が自由に使えるようになった。物を投げることが可能となったと言うわけだ。野球でもわかるように、人は時速130kmくらいのボールが投げられる。これは、狩りにとっては大きな武器となった。

たぶん「木の棒」の先を削った槍を投げさえすれば、獲物を仕留めることができたはず。石器で槍を使い始めたのが、25万年前のようだが、そのずっと前から似たものは使っていたと思われる。

ものを投げるためには、3つの要素が必要となる。①体を捻るため、高い位置にある柔軟な腰が必要②柔らかな肩③ムチのように振り下ろせる上腕。この3つが連動することで、投げることが可能となる。2速歩行は、これを可能としたのだ。

［2足歩行でのバランス］
「足の指」、その力が大事といわれている。そして姿勢も大切だ。この2つに問題があると、バランスを崩し、転倒につながる。狩りを日常的に行っているアフリカの原住民の人々。彼らをみると、ジャンプ力は並外れた高さになるし、姿勢もじつに綺麗だ。我々の祖先は、長い年月を経て、これらを身につけたと言えるだろう。

［まとめ］
奇跡ともいえる英智を獲得した我々人類。そのキッカケは、「2足歩行」だった。これは驚くべきことだ。我々人類は、この能力により、驚異的な文明を作りあげることができた。