赤子の頃の記憶
「紙オムツはかぶれないの?」
長男のオムツを変えている様子を見ていた母に急にそんな事を聞かれた。
長男は今20歳なので、ちょうど20年前の事だ。
出産後、初めての里帰り。
今の紙オムツは通気性に優れ肌触りが良い。
まぁ20年前とはいえ、長男がオムツかぶれに悩む事はなかった。
「あんたは紙オムツを当てたら、お尻が真っ赤になってダメだったんだよ」
私が産まれた45年前……に思いを馳せる母。
当時は布オムツがポピュラーで、紙オムツなんて珍しかったと言う。
そんな時に
「紙オムツだと楽だよ」
母が知り合いに勧められ、試しに数枚いだだいたそうだ。
疑心暗鬼の中、1枚目を当てて数時間、大泣きする私に駆け寄る母。
お尻は真っ赤で慌てて布オムツに換えたという。
「あんなの使えなかったよ」
母の話を聞きながら、私の中の記憶が呼び覚まされたような感覚に陥る。
居間の畳の部屋には小さなテレビが置いてある。
私はテレビの前を指さす。
「ねぇ。その時、私ここに寝てなかった?」
「そうそう。そこだよ」
「私、その時凄く泣いてたよね?」
「うん。そうだけど、あんた覚えてるの?」
驚いたように母が聞いてくる。
物凄く気持ち悪くて何とも不快な感覚。
そこに安心出来る存在の母がやってくる。
大きく泣く私の様子を案じ、不快な感覚を取り除いてくれた。
思い返せば、この時よりも更に古いであろう記憶もある。
恐らく母の存在を初めて認識した日。
覗き込む誰か(母)を見て思った事。
目の前の人は自分に痛い事しないか?という恐れの感覚だった。
しかし優しく声をかけられ、
抱っこされて安心する。
あっこの人は大丈夫だ。と思った。
逆に父親は私の面倒を見てくれず、泣いていると
「うるさいから、黙らせろ」
と言っていたらしい。
その時も覚えてる。
父親が何を言っていたか言葉としては、分からないけど、私に対して負の感情を持ちネガティブな言葉を浴びせているのは分かった。
そうなると更に泣くのは当たり前で、母にすがって抱っこされると本当にホッとしたのを覚えてる。
この話を子ども達にすると、皆
「赤ちゃんの頃の事なんて覚えてない」
と口を揃え
人間、多少なりとも、その頃の記憶があるんだという認識を持っていた私は驚いた。
今日もここまで
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