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season1 7話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)

7.『小さなむしの大きな力』


 最初のジムへの道中、勝負したりしばらくミライドンを走らせているとオリーブ畑にさしかかる。一望できる小高い丘でさっそくピクニック(パルデア十景のアレ)。

「カエデさん……、お菓子の虫。パティシエさんかぁ」

 カエデの情報をスマホロトムで見るヨーコ。
 そこからパティスリーのある町、セルクルタウンに到着。
 オリーブ収穫祭真っ只中の町中を一通り回った後でジムへ(ムクロジの屋根にのぼってみたり「バトルコートになっとる!」)。
 一旦ぴっかりさんをボールに戻しジムに入ると、丁度ネモがいた。

「あ。ヨーコ!」
「ネモさん!」
「ジムに来たってことは、ジムバッジを集めてポケモンリーグに挑戦するんだね!?」
「うん。とりあえずそっからやろうと思うて」
「やった、そうこなくっちゃ! 誘ったかいがあったよ!」

 説明してくれるネモ。

「ジムリーダーと戦うには、ジムテストっていうお題に合格する必要があるんだ。内容はジムごとに違うから、受付の人に聞いてみて!」
「うん」
「ヨーコがチャンピオン目指してくれて本当に嬉しい。なんかこう、いてもたってもいられない!」
「えっ、そ、そこまで……?」
「その辺のトレーナーに片っ端から勝負挑んでくるね!」

 去っていくネモ。見送るヨーコ。ということで受付へ。

「こんにちは。ようこそ、セルクルジムへ!
挑戦者のお名前を登録します……、北條陽子さん、ですね!」
「はい! お願いします」
「当ジムリーダー、カエデと勝負するには、ジムテストに合格する必要があります。セルクルジムのジムテストは……、オリーブころがしです!」
「オリーブころがし?」
「はい。セルクルはオリーブの産地なんですが、昔から豊作を願ってオリーブ収穫祭を行っているんです」
「ああ、じゃけえ賑やかなんですね」
「ええ。オリーブころがしは本来そのイベントのひとつで、オリーブを模した玉を転がして、ゴールまで運べればジムテスト合格! ついでに翌年は多くのオリーブが採れる、というわけです。
 詳しいルールは、会場にいるスタッフまでおたずねくださいね。町の北の方にありますので、場所をマップに登録しますね!」
「ありがとうございます!」
「それでは、いってらっしゃい!」

 ということでマップ見て会場へ。

「オリーブころがし会場へようこそ! 巨大なオリーブ玉に、体ごとぶつかってころがしていく体力勝負です!」
「体力勝負!?」
「いくつもの障害物を乗り越えて、ゴールのカゴにオリーブ玉を入れることができたら合格です!」
「なるほど」
「では、豊作を願ってしっかり転がしてくださいね!」

 さっそくスタート。変な方向に転がる玉をうまくいなしてゴールへ!

「合格です!」
「やったあ……」
「ヨーコさん、こちらへ!」

 会場から出るヨーコ。

「ヨーコさんのお陰で、来年も豊作間違いなしです! 結果を受付までご報告ください!」
「ありがとうございます」
「ジムリーダーとの勝負もファイトです!」
「はい!」

 再びジム受付へ行くヨーコ。

「ヨーコさん! オリーブころがし大成功だったみたいですね! おめでとうございます! ジムテスト合格です!」
「どうもです!」

 ヨーコ、ペコリ。

「ヨーコさんには、当ジムリーダーと勝負する資格が与えられます」

 背筋を伸ばすヨーコ。

「お菓子の虫……、ジムリーダーカエデに挑みますか?」

 ヨーコ、息を吸って、

「はい!!」
「それでは、バトルコートにご案内いたします」
(いよいよじゃ! 緊張するけど楽しみ!)



 パティスリーのお客さん達に見守られる中バトルコートに案内されると、カエデがビビヨンにスイーツをあげている。

「ビビヨンちゃん、たーんとめしあがれ~」
「ビヨンド!」

 元気になるビビヨン。ムクロジのポケモンスタッフらしく、お店に戻っていく。
 ヨーコに向き直るカエデ。

「あらあら~、素敵なトレーナーさん~。
オリーブころがし、上手にコロコロしてくれてありがとね~」
「あ、はい、えと、北條陽子です」
「あら~、自己紹介がまだだったかしら~?
パティスリームクロジ、店長のカエデです~」
「……ジムリーダーさん、ではのうて……?」
「あらら~? 今はセルクルジムのシフトだったわ~。いけないいけない~、ジムリーダーのカエデですね~」
「はあ、よろしゅうお願いします」

 ヨーコ、(汗)。

「はい、お願いします~。 私、普段はお菓子を作ってるパティシエさんなんですよ~」
「パティシエさん、ってことはお菓子職人さん!」
「はい~。口に入れて幸せなお菓子も、草木にひそむむしポケモンも、小さいけど大きな力を持ってます~。足をすくわれないよう、ふんばってくださいね~」
「はい!」

 位置につき、初めてのジムリーダー戦スタート!
 緊張しながら初手のまんじゅうを出すヨーコ。カエデはマメバッタ。

「まんじゅう、頼んだ!」
「むしポケモン甘く見てたら、痛い目見ちゃうかもですよ~」

 さっそくにどげりかましてくるマメバッタ。
 これからに備えマッドショットにまじってどくびしをまくまんじゅう。
 しかしむしのていこうをくらいふらふら。こらえてポイズンテールかますが倒れず。弱るのにつれ比例して強くなるむしのていこうをくらい倒される。
 次ぴっかりさん。でんきショックで倒す。
 しかし次のタマンチュラの糸にすばやさをさげられ、どくびしによる効果が間に合わずむしくいとでんきショックで相討ち。



 そして最後のわっぷるさん。
「なかなかやりますね~。ここからどうころがしましょうか~」

 不敵に笑いながらヒメグマを出すカエデ。
 念のためテラスタル。カエデもテラスタル。

「サナギを破り、強く大きく育ちましょう~!」

 むしテラスタルのヒメグマ。強化されたみだれひっかきが急所に当たる。

「キラキラむしデコレーション! 甘くないのもめしあがれ~!」

 れんぞくぎりをくらうも怯まないわっぷるさん。

「確かに甘うはない……。けど、うちらはもう負けん! わっぷるさん、思いっきしつばさでうつ!」

 つばさでうった瞬間に放たれるれんぞくぎりをくらいかけるも、向こうも毒がまわってよろめく。
 そこを逃さないヨーコ!

「外れたら威力は元に戻る……。今度はお得意のみずのわざぶっぱなしたれ!」

 新しいタイプのみずのわざ。アクアジェット!
辛くも勝利。歓声が上がる。

「わたしのポケモンたち、みーんなむしの息です~」
「か、勝ったぁ……」

 緊張感から解放され、思わずへたりこむヨーコ。わっぷるさんが近寄ってくれ、げんきのかけらを取り出す。

「ほうじゃね、ふたりをなおしてやらんとね」

 少し元気になるまんじゅうとぴっかりさん。
ふたりともしょうがないな、みたいな顔。
 立ち上がると、カエデが、

「あなたの強さ、勝負の中でもどんどんふくらんでいきました~。わたしも、も~っと進化しないとですね~」
「いえ、運良く勝てただけで……」
「それも強さの内ですよ~。改めまして合格で~す! ジムリーダーに勝った証として、ジムバッジをさしあげます~。カエデ特製、手作りケーキも一緒にたーんとめしあがれ~」
「ありがとうございまーす!」

 みんなでケーキを食べる。ついでに写真もパシャリ(それが習わしらしい)。
「ごちそうさまでした!」
「ありがとうございました~。すごい食べっぷりだったので、追加でわざマシンもどうかしら~?」

 と言いながらとびつくのわざマシンをくれる。

「冒険の途中で手に入れたわざマシンは、わざマシンマシンで作れるようになりますからね~。
これからあなたの進む道が、甘く優しくありますように~。それでは、またお会いしましょ~」
「ありがとうございました!」

 頭を下げて勝利の報告をしにジムに戻る。
 ネモからも連絡が入る。

『やっほー! ヨーコ! 私のポケモン、面白い技覚えたよー! あ! そういえばジムの調子はどう?』
「ご、合格したけど大変じゃった……。さすがジムリーダーさん……」
『えー! 冗談ばっかり! でもバッジもらえたでしょ?』
「うん。ついでにおいしいケーキも食べさしてくれんさった」
『ああ、カエデさんパティシエだもんね!
やっぱりヨーコ誘ってよかった。わたしも各地を巡って徹夜でトレーニング中なんだ!』
「徹夜て!」
『パルデア地方は広いから、マップをみながら行く場所決めるといいよ。強くなるためにより道するのも全然ありだからね!……そういえば、今頃ペパーは何してるんだろ?』
「ほうねえ……」(なんか困ってそうだったな、と思うヨーコ)
『それじゃあまた! どこかで会ったら勝負しよーっ!』

 夜、寮に帰ってつぶやくヨーコ。

「ペパーさん反対側じゃったかね。……行ってみますか」

 うなずくぴっかりさん。

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