season1 27話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
27.『林間学校へ』
「もしもし、ヨーコです」
電話に出るとジニア先生だった。
『どおもヨーコさん、ジニアですー』
「ジニア先生! どうしたんですか?」
『宝探し中すみません。実はアカデミーでは、毎年この時期に他校と合同で林間学校を実施しているんですが……』
「はい」
『な、なんと! ヨーコさんがそのメンバーに選ばれましたあ!』
「林間学校!?」
『行き先はキタカミの里、という東方の地ですー! 場所が遠いので、今回は特に参加人数をしぼってまして、行けるのはすごい確率なんですよお。
詳しい説明は、アカデミーエントランスホールで行いまあす。もちろん強制ではありませんが、またとない機会ですので、興味があれば参加してくださあい! それではよろしくお願いしまあす』
半信半疑ながら行ってみると、エントランスですごい美女が。
「ジニアくんが言っていた林間学校の生徒は……?」
「あのう……」
「ん? もしかして……、君がそうだね! 林間学校に選ばれた! 名前は、確か……」
「北條陽子です。ヨーコでええです」
「ヨーコくん! 礼儀正しくてとっても輝いてるね! それにテラスタルオーブを持っているのかい? さすが資源が潤沢なパルデア地方の学校……。いや、君が特に優秀なのかな?」
「はぁ、えと」
少し困惑するヨーコ。
「おっとすまない。申し遅れてしまった。私は……」
「ブライア先生ー! 遅れてすみませえん!」
ジニア先生やってくる。
「やあ、ジニアくん」
「ジニア先生」
「あ! ヨーコさん、入学早々林間学校に行けるなんてとってもラッキーですねえ! いいなあ……、ぼくも行きたいなあ」
「……オホン!」
咳払いする美女。
「あ、ブライア先生失礼しましたあ」
「ご紹介にあずかった。私がブライアだよ。ブルーベリー学園で教師をしている」
「イッシュ地方の学校の教務主任さんなんですよお」
「ブルーベリー学園!? あの、黒村久夫って知っとりますか? 従兄なんじゃけど」
「ああ、久夫くんか! もちろん知っているとも。メカニックに詳しい優秀な生徒だ。そうかパルデアに従妹がいると言っていたが、君のことだったのか」
「はい」
「そうそう。それで、今年はブルーベリー学園が生徒の引率を担当するので、ヨーコくんを迎えに来たのさ。
キタカミの里は田園風景が有名! ひなびているが不思議な場所でね。パルデア地方のテラスタル現象と同じエネルギーが検出されているんだ! 私も引率ついでに調査出来るのが楽しみなのさ」
「ありゃ、それは面白いですねえ」
「いずれは、パルデアの大穴内部もじっくり調べさせてもらいたいね?」
ブライア、ジニアに微笑みかける。
「あそこは、ええと……、ポケモンリーグやクラベル先生の許可がないとなんとも……」
「わかっているとも。申請はしているので、よい返事を期待しているよ」
「ううむむむ……」
「珍しい。ジニア先生が頭抱えとりんさる」
ヨーコ、きょとん。
「……あ! ヨーコさん置いてけぼりにしてすみませえん。とにかくですねえ、林間学校は宝探しの舞台をパルデアの外まで広げられるまたとないチャンスですー! 図鑑アプリをアップデートするので、スマホロトムいいですかあ?」
「はい、お願いします」
ジニア先生と通信。キタカミ図鑑が追加された。
「はあい、完了! これでキタカミのポケモンも調べまくりですねえ!」
「おおー!」
「親御さんの許可はとってますので、ぜひ楽しんできてくださあい!」
「いつん間に!? ありがとうございます!」
ジニア先生と別れ、
「ハハ……、ジニアくんはわかりやすくてチャーミングだね!」
「あはは、ですねえ」
「さて、ヨーコくん。キタカミの里は、飛行機やバスを乗り継いでの長旅になる。キタカミの里へ旅立つ準備が出来たら、声をかけてくれるかな?」
「はい!」
ということで、一旦家に帰ったりしてノリノリで旅支度。ネモとペパーにも伝える。ボタンは会えなかった(ふたりとも快く送り出してくれた)。
*
翌日。
「ヨーコくん、準備が出来たようだね」
「はい!」
「よし、他の生徒が揃ったら出発しよう。メンバーはくじ引きで決めて、皆初対面との情報だ。引率としてついていくが、私自身も楽しませてもらうよ」
ここで、おもむろに聞いてくるブライア。
「……ところで、君はバイオレットブックを知っているかな?」
「ええ、一応、読んだことなら」
「さすが世紀のオカルト本だ。その本の著者ヘザーは私の先祖にあたる者でね。私は彼のオリジナル本を持っているんだ」
「すごい!」
「見たまえ、出版された本では塗りつぶされて読めないページさ」
塗りつぶされていたページ。
「描かれているポケモンの名は、テラパゴス」
「テラパゴス……?」
「ヘザーがエリアゼロのさらに奥で出会ったという謎のポケモンだ。……世間には信じられていないがね」
本を閉じるブライア。
「私の夢は、テラパゴスを見つけヘザーの正しさを証明すること。……とはいえ、エリアゼロに入る許可は未だ得られない」
「ほうですか……」
「いやなに、大丈夫さ。今出来ることをするつもりだよ」
「ブライア先生! 用意出来ました!」
他のメンバーがやってきた。
「全員、揃ったようだ。それでは皆! キタカミの里へ出発だ!」
「おー!」
*
飛行機に乗る。空から見て、物思いにふけるヨーコ。ぴっかりさん達のボールが震える。
「わくわくするね!」
ボールに語りかけるヨーコ。
「ピーカ!」
「ウェルプ!」
「オオー!」
ボールの中で口々に答えるぴっかりさん達。
キタカミへ──
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