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被害者は従業員だった

ある法人から収益改善の依頼が入った。
10箇所以上の事業所を持つ、地域では大きな 法人だ。
収支の状況を見て、とりあえず3ヵ所の事業所の収支改善をすることになった。

事業所の管理者を含め、複数の従業員と面談を行い、問題点の洗い出しや改善点を見つけることにした。
驚いたことに全ての事業所に共通していたのが、今期の売上目標は?という質問に対して、明確な答えがなかったのだ。

10年以上もこの事業を続けていて、この5年くらいは売上目標や経費の目標などは一切なかったという。

事業所の管理者を集めた月1回の会議に出席をさせてもらった。
ちょっとした成果の報告はあるものの、 事業所の赤字をどう改善していくのか、という話は一切出なかった。

各事業所の管理者一人一人と丁寧に話をし、今期末までの月次の売上目標と経費の目標、そしてその売り上げ目標を達成するための行動計画を明確にした。

最初は抵抗があったようだが 丁寧に丁寧に説明をし、到達すべき目標の地点、 そしてそれを実現するために具体的にどのような活動をするのか、ということを売り上げの観点と顧客満足度の観点との2つで計画を立てた。

3ヵ所のうち2カ所の管理者は目がキラキラと輝き、やる気が出てきたようだ。
1ヵ所の管理者については、ただ面倒臭いことをさせられている。今までは何とかかんとかごまかしながら成果の報告をすることでそれなりにごまかしてきたようだったが、それができなくなるとわかるや否や体調不良を起こす。

その1ヵ所の事業所はしばらく放置することにし、2ヵ所の事業所を徹底的に改善することにした。
細かいことは省くが、今までやったこともない、ただそれは絶対にやるべきだと本人も納得できる方法で、自らの行動を決め、従業員にそれを周知し、活動を始めること約2ヶ月。
早々に成果が出始めた。
経営陣からは嬉しいことに、評価をいただけた。
あとは今期末まで突っ走るだけだ。

事業所の管理者と話をしていて、これまで上司からは、私からもらっているようなアドバイスや指導というものは一切なかったそうだ。
どのように 売り上げを上げていくのか、 どのように人を育てていくのか、どのように顧客を満足させていくのか 、ということについては、ただただやっていることを責められ、結果だけを以て叱責を受けてきたそうだ。

事業所の管理者として、立場はあるものの、その立場の仕事を遂行するための教育は一切受けておらず、常に試行錯誤をしながら自分自身で考えるしか方法がなかったようだ。

今回お付き合いをして分かったことは、教えればちゃんとできる。
丁寧に説明をすれば理解をしてくれる。
自分たちがどこへ向かい、どこに到達すればいいのかということを明確にすることによって、自分自身のモチベーションが上がることがわかったようだ。

これって結局は事業所の管理者を始め 従業員一人一人が、経営陣の被害に遭っていたということでしかない。

なので大きな成果を以て、経営陣に対して正当な要求をしていけるような環境にしていきたいと思う。


教育をせず、立場だけを与え、責任を取らせる。

これは能力の低い経営者の典型だな。


そんな感じ。

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