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がん患者さんにとっての「グリーフケアの場」✳︎

はじめに

今回の記事を書きたいと思ったのは、こちらの記事で「グリーフケア」がテーマになっていたからです。

コロナもがんも、いわば事故や災害に遭うものだと表現される方がいます。他の疾患もそうですがいつ誰がなっても何ら不思議ではありません。



ドクターひろみんさんは、noteを始めてすぐの頃からフォローさせていただいています。コロナの後遺症についての記事を書かれており、貴重な内容だなあと感じています。そして、実践的な内容の記事ばかりです。

記事をご紹介するまでに時間が空いてしまったのは、どんな形でお伝えするべきか迷っていたからです。

ドクターひろみんさん、ご紹介させていただきましてありがとうございます。

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テーマは『がん患者さんにとっての「グリーフケアの場」』です。色んな「場」をご紹介します。

正解はありませんし、どれでもいいですし、どれかひとつでなくてもいいですし、またどれかでなくてもいいです。

でも、存在していることだけは「頭の片隅」に置いていただけるといいのかなあという内容です。



「患者会」は、通院先の掲示物やネットで存在を知るものの、参加されるのはごく一部なんだろうなあという印象です。以前投稿した希少がんの記事では、患者会のリンク先をお知らせしました。情報などが少ない疾患では、貴重な存在です。

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「精神腫瘍科(腫瘍精神科)」は、都道府県がん診療連携拠点病院には基本的にありますが、世の中ではほとんど存在を知られていないのではないかと思われます。聞いたことがあるとすれば、ネットニュースなどでコメントをされる医師の肩書きが記憶に残っているからかなあと想像します。

がん研有明病院の腫瘍精神科部長
清水研医師

東京新聞Web「がんの心痛を和らげる方法は?」より

国立がん研究センター中央病院の精神腫瘍科医長
内富庸介医師

NIKKEI STYLE「不安どう克服、医師に聞くことは」より

患者さんやご家族であっても「腫瘍精神科」には馴染みはない気がしています。まだまだ存在は知られていないのが実情だと思われます。あっても遠い存在ですし、なかったら未知の存在です。

「臨床腫瘍科(腫瘍内科)」もかつてはそうでした。今は当たり前のようにあります。原発巣の各診療科ではなく、「臨床腫瘍科(腫瘍内科)」に通院されている方もたくさんいらっしゃいます。それでも他の診療科に比べてまだ知名度は低く、原発巣の診療科に通院するのが一般的です。それ以外の選択肢を考えたことがない方もまたたくさんいらっしゃるのだろうなあと想像しています。

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これらと比べると、まだ馴染みのある相談支援センター。入院手続きの窓口近くにある病院が多いので、一応目には触れているかとは思われます。通院先でなくとも「どなたでも無料かつ匿名で」利用できます。それでも、利用されたことがない方は多いような気がしますが、どうなのでしょうか。

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自ら発信する「相談支援センター」もあります。私のお気に入りはがんと生きる(国立がん研究センター東病院)とお悩みQ&A(静岡がんセンター)。

特に「がんと生きる」は何かをしながらでも気軽に聴けますし、細かい文字を読むのが億劫だったり、視覚障害があったりする方も助かるのではないかと思い、繰り返しお伝えしてきました(さすがにしつこいので最後にします)。

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がん患者さんにとってのグリーフケアが行われる場は、人によって異なります。多くの患者さんは「日常生活のふとした瞬間」です。

今も昔も変わりません。年齢や性別も変わりません。音楽を聴いているときなのか、洗い物をしているときなのか、お散歩中のときなのか、お布団に入っているときなのか、ご家族やお友だちと一緒にいるときなのか、おひとりで過ごしているときなのか違いはありますが、どこかで涙を流してしまいます。

患者さんやご家族のお話を聞いていますと、前向きになれるのはそれぞれのグリーフケアを経て「がん」という言葉に対して過度に感情を振り回されなくなったときなのかなあという印象です

なかなか難しいですし、かかる時間も人によって大きく異なります。一度気持ちが復活して「もう大丈夫!」と思っても、ふと気づくとまた涙が流れていることもあります。でも、治療や副作用なども経験しつつ、少しずつ前向きになられていきます。

がんでなくても、どんな病気であっても、また健康で過ごされてきた方であっても、生きているとどこかで涙が出てしまうことはあります。私などが言うまでもなく、特別なことではありません

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ご自身で気持ちをコントロールできない日が長く続くようでしたら、主治医に相談してください

通院先に「精神腫瘍科」がなくても、「登録精神腫瘍医」(登録医リスト)が他の診療科にいたり、お近くの病院などをご紹介できたりします。「緩和ケア」と連携していく病院が多いかなあとは感じています。「精神科(心療内科)」をご紹介する場合もあり、病院や主治医が臨機応変に対応されているはずですが、いずれも「手段」に過ぎませんので。

困ったなあとなったら、まずはご紹介先に行ってみてください!

また、外出すると少しは前向きになれてしまうことから、診察中は特にお話にならない患者さんやご家族もいらっしゃるような気がしています。

主治医の前では、感情ダダ漏れでも大丈夫です思っていることを第三者に話すことで、気持ちが整理できたり、整理はできなくても少し楽になれたりというご経験もこれまであったはずです。

ご自宅やお仕事のご様子をお伝えする流れで、感じられた内容でも構いませんよ。少しでも迷ったらお話くださいね。その過程で主治医は、患者さんやご家族の価値観に触れることにもなります。

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「看護師さん」は、入院中はもちろん、外来投与中も一番患者さんと接する機会が多いですね。お互いに挨拶や声掛けを頻繁にしますし、医療従事者の中でも一番話しやすいという方が多いと思っています。

副作用やちょっとした体調の変化の相談はもちろんですが、話しやすいなあという看護師さんがいらっしゃったら雑談だけでも大丈夫です。看護師さんは主治医よりも、実は人生経験が豊富なことも多いです。何でも相談してくださいね。

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noteをはじめとする「SNS」もまた、「グリーフケアの場」になると感じています

時としてその情報量に圧倒されたり、振り回されたりする面も大いにあります。インターネットには本当に深い海が広がっています。

それでも、私は信じたいのです。
だからこそ、noteを始めました。



おわりに

ほとんど「キーワード」だけを並べてみました。どれか引っ掛かるものがあればいいなあと思いまして。その結果、このとおりふわふわした内容となってしまいました。

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かつて何もなかった時代、患者さんやご家族はどう過ごされていたのだろうかと、時折思いを馳せます。副作用を抑えるお薬もまだ不十分だった時代。本当に辛かっただろうなあと。悩みも不安もたくさんあったはずなのに、どうされていたのだろうかと。夜もすごく長かった時代です。

時代が変わっても、人の心はなにも変わらない気がしております。

NIKKEI STYLE「不安どう克服、医師に聞くことは」より
左上の「心の変化」はそんな単純でも短期間でもないですが、中長期的な視点だとおおよそそうかなあと感じます。

“精神腫瘍医とは、がん患者及びその家族の精神心理的な苦痛の軽減および療養生活の質の向上を目的とし、薬物療法のみならず、がんに関連する苦悩などに耳を傾ける等、専門的知識、技能、態度を用いて、誠意をもった診療に積極的にあたる意思を有した精神科医・心療内科医のことを指します。 日本サイコオンコロジー学会では一定の基準を満たす精神腫瘍医を「登録精神腫瘍医」として認定し、その情報を公開しています。”

日本サイコオンコロジー学会HP
登録精神腫瘍医制度」より

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