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母 思ふ/生前覚書


しゃくなげ

幾分、ひんやりした空気が心地よい

夜の風や音に心和み

羽音にすら季節を思う


煌々と輝く花の美に

我が母想い、つと涙がこぼれる

あぁ、どんどん痩せて無表情になりゆく母よ

かつての貴女なら

「わたしは石楠花じゃないわよ。薔薇!」だと言い切ったでしょうに。

何も発さぬ母よ

発し続ける父よ

辛かろうと思います。

でも、お迎えが来るまでどうぞ生きて下さい

あなた方の存在はやはり

わたしには尊く有難いのですから。