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20年来の友人のはなし

小学1年生の頃に出会った友人と飲みに。

彼女とは小学1年生で同じクラスになり、それからずっと一緒というわけではなく、なんなら離れている時間の方が長かった。彼女はお父様の仕事の都合で出会ってすぐに、小学1年生の時点で東京に転校してしまうのだ。私達は青森と東京とで文通をしていた。後から聞いた話なのだが、私ほど長く文通が続いた人はいなかったそうだ。

『いちばんすきな花』の話ではないが、交換ノートも文通も私で止めるということは基本的にしないタイプだった。だって私は本当にその子のことが好きで続けていたんだもん!
そんな私の思いにしっかり応えてくれるような子でもあったのだ、彼女は。

彼女は確か小学5年生で青森に戻ってくるのだが、同じ市内に住んでいるといえども学区が違うため中学校まで別の学校に通っていた。
それでも文通は続く。
そして私達は同じ高校を目指して、高校受験に挑む。

彼女はどうだっただろうか。
私は正直、かなり勉強した。

なんとか同じ高校に入学し、毎日一緒に電車通学。ずっと直接話すことのできなかった、それでも沢山のことを書き合ってきた友人と話している。そんな日々だった。

私はすっかり忘れていたが、彼女とは同じクラスになることはなかった。そんな私たちはハイボールと焼き鳥を手に、仕事の話をしたりごはんの話をしたり。大人になってもふたりで会える関係になっているのだ。

「高校の時ってどんな話してたっけ」
「えぇ、何だろう、ぜんぜん覚えてない」
「でも私たち、恋愛の話とかしてこなかったよね」
「確かに、全然してこなかったかも」

恋愛の話をせずとも仲良くしていられるのは、私にとっては本当にありがたかった。私がだれに好かれているとか、想われているとか、そんなことで嫉妬され苦い思いをしていた時期があるからだ。
私だけを見てくれているような気がして、心地よかったのだ。

「でもさ、火テスとかでずっと単語帳見てたよね」
「あったね、バスのいちばん後ろに4人並んでさ」
「そうそう、眠くて単語帳落としながらね」
「もう私たちの席みたいになってたよね」
「下の子から見たら怖かったかもね」

高校の思い出なんてほとんどなくて、課題とテストと部活に追われてたような気がする。それでも私たちは同じ時間を本当に長く過ごしてきたのだ。

部活だって彼女は運動部、私は文化部で。
好きな音楽も、キャラクターも、見ているテレビも趣味も好きな色でさえも同じじゃないのに。
本当は共通点なんて、ほとんど無いのかもしれない。

大学に進んでからも、働き始めてからも、もっとたくさん会えるタイミングがあったかもしれないのに。

彼女とは小学1年生の時に出会った。

あの頃と変わらずに、離れていても会わなくても、彼女はきっと私が思っている以上に努力家で、がんばり屋で。私が知っているように大人で、穏やかで、豊かな人なのだ。

彼女は私と同じ時間をいちばん長く過ごした友人だ。
今年で出会って21年になる。

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