「我龍、点睛を描く」企画書

キャッチコピー:

これは、刺青を愛する少年と刺青を隠す少女の物語。

あらすじ:

舞台は古代中国。
戦乱の渦はとどまることをしらない。

戦場では「刺青」とよばれる摩訶不思議な技術が普及。
禽獣草木・魑魅魍魎の刺青を身体に刻んだ者たちが、
その絵と同様の化物に変身し戦っていた。

主人公は、刺青の修繕を生業とした職能集団「彫師」の見習い少年
我龍である。

喧嘩っ早く生意気だが刺青に愛着を持ち、
筆を入れた刺青に生気を宿す「気韻生動」という特殊な能力を持っていた。
しかし本人にその自覚はない。

ある日、我龍は、同僚の春峰の背中に龍の刺青が彫ってあるのを発見する。
我龍は春峰の刺青を直そうとするが、そのあまりの出来の良さに刺青が暴走してしまう。

自らの落ち度に後悔する我龍は、春峰を人に戻すことを決意する。

第1話のストーリー:

物語が始まるのは、激しい戦いが繰り広がる戦場。

刺青を彫った兵士たちは、身体に描かれた化物に変化し、
兵士たちを次々となぎ倒していく。


夜が訪れ、争いの終わった戦場。
大量の死骸が残された野原に、黒装束を着た謎の集団が表れる。

刺青の修繕を生業とする集団「彫師」。
彼らは死体の中から刺青を探し出し、その皮を次々とはぎとっていく。

彫師の下っ端の春峰(12)は、作業をさぼる同僚の我龍(12)を発見する。

死体をついばむカラスを写生する我龍。
春峰は彼の頬をおもむろに引っ張り、仕事に連れ戻す。

春峰「仕事をしろ、仕事を」
我龍「いでででで!」

この時、地面に落とした我龍の写生帖から、
彼の描いたカラスが飛び出したのを二人は知る由もなかった。


森の奥深くに設置された彫師の本拠地。
そこでは戦場から回収した刺青の修繕や再利用などが行われていた。

本拠地に戻ってきた我龍と春峰。
失くした写生帖について言い争っていると、彫師のお頭から怒声が飛ぶ。

本拠地ではとある武将から急遽注文を受け、兵士たちの身体に刺青を刻んでいた。
二人は口論を止め、急いで霜働きを始めた。


酔っぱらった兵士たちが春峰にからむ。
彼らは彫師を『死体をあさる汚らわしい一味』と蔑み、
春峰に湯呑のお酒をぶっかける。

彼らの横暴に怒った我龍は春峰の静止を聞かず、兵士たちに殴りかかった。
現場は一時騒然となる。

お頭にお叱りを受ける我龍。
しかし逆に我龍は、自分も彫師として活動したいと主張する。

我龍「死体漁りはもうこりごりだ!俺の腕は、刺青をはぎとるためにあるん
   じゃない‼傷に汚れた刺青を元の姿に戻すためにあるんだ‼」

しかしお頭は納得しない。
かつて我龍は、お頭が大事に保存していた龍の刺青を勝手に修繕し、
爆発させた過去があったのだ。

お頭の言葉に激昂した我龍は、本拠地を飛び出してしまう。。

とぼとぼと戦場を歩く我龍は、景気づけに刺青の実験を始める。

本拠地からかっぱらってきた希少な下絵用絵の具を用い、
波の模様を腕に描く。
すると絵の具の効果によって、手から大量の水が流れてきた。

しかし水流が激しすぎたため、彼は遠くへ飛ばされてしまう。


一方、戦場から遠く離れた湖で、身体を洗っていた春峰。
空から落ちてきた我龍に、裸の姿を見られてしまう。

我龍は春峰の背中に刻まれた「竜(ドラゴン)」の刺青と、盛り上がった胸の存在に初めて気が付いた。

我龍「女だったのかっ、春峰!!」

第2話以降のストーリー:

春峰の蹴りに倒された我龍。
紐で縛られ、木に吊るされようとしている。
※腕の模様は、絵の具が水に流れて消えてしまった。

我龍は、春峰に刺青を隠す理由を聞く。

湖で見た彼女の刺青は独創的で素晴らしかった。
あれだけ立派な刺青を持っているのに、なぜ変身もせず、彫師の下っ端に甘んじているのか?

春峰は来ていた衣服の肩をはだく。
そこには、刺青の絵を消すように大きな火傷の跡が残っていた。

刺青は絵に傷がつくと能力を得ることが出来ない。
誰かに直してもらう必要があるものの、
この物騒な時代に孤児で女の刺青持ちと知られたら、
背中の皮をはぎとられて人買いに売られるのは目にみえている。

春峰「これが隠してた理由さ」

ロープを引っ張り、我龍を吊るし始めた春峰。
身体が締め付けられ、我龍は悶える。

春峰「無邪気に刺青好きなお前がうらやましいよ。僕はこんな絵のせいで
   人生振り回されっぱなしだ、バッキャロー!」

我龍を吊るし終わり、その場を去ろうとする春峰。
その背中に、我龍が提案する。

我龍「俺に書かせてくれ!きっと刺青を直して見せる‼」
春峰「一生吊るされてろ」

夜が明け、休業している彫師の本拠地。
お頭と遭遇した春峰は、我龍を連れ戻すようお頭に依頼される。

お気に入りの龍の刺青を無駄にされても、なぜ我龍を気にかけるのか。
疑問をぶつける春峰に、お頭は真相を話し始める。

数週間前の早朝のこと
爆発音に気付いたお頭が龍の刺青の元へ向かうと、そこには刺青と瓜二つの龍が佇んでいた。
刺青の傷のあった箇所は下絵用の絵の具で補強されている。

龍は天幕の天井を食い破って空に飛んで行っていった。
残ったのは筆を持って気絶している我龍だけだという。

彫師の修繕の出来が良すぎると、刺青は生を宿してしまう。
気韻生動」と呼ばれるその能力を我龍は使ったのだと、お頭は主張する。

お頭「たった一夜であの龍の刺青を直しやがった。他人の絵で、
   しかも下絵用の絵の具でだ!そんな芸当ができるのは、
   国中回ったって一握りしかおらん」

以来、お頭は我龍を刺青の修繕から遠ざけるようになってしまった。

お頭「俺はあいつが恐ろしい。あの才能がすえ恐ろしくて、とてもじゃ
   ないが筆を持たせる気にはなれん。まったく俺も大人げないな」
たばこをくゆらせながら笑うお頭。その表情はどこか疲れていた。


紐から抜け出そうともがく我龍を、木から降ろし始める春峰。
訝しむ我龍だったが、春峰の持ってきた握り飯に、警戒を解く。

お頭から聞いた情報を我龍に話す春峰。
しかし我龍は自分の能力にまったく自覚がない。

我龍「無我夢中で書いてたからまるっきり覚えがない。もしかすると半分    寝ぼけてたからかけたのかももしれないな。ハッハッハ」
春峰「・・・」

ともかくも、春峰は刺青の修繕を我龍に頼むことにする。

昼下がりの湖にて、衣服を脱ぎ、サラシを外す○○。
我龍に胸を見せないように背中を向け、竜の刺青をあらわにする。

一般的な龍の絵とは異なる図柄をほめそやす我龍。
甘い言葉と我龍の視線に、春峰は思わず頬を染める。

やがて背中の刺青をなぞり始めた我龍。
刺青の線の跡から竜の刺青を書いた者の癖を見抜き、刺青を再現しようとしていく。正気を保っていることができれば、おそらく刺青が飛び出すこともない。

何度も何度も刺青をなぞる我龍に、くすぐったさを耐える春峰。
すると、火傷で刺青が消された箇所に、うっすらと線が浮かんできた。

我龍、すぐさま刺青に絵の具をつけ、ゆっくりとその線をなぞっていく。
くすぐったさを抑える春峰。
湖は静寂に包まれる。

日が暮れるころ、下絵の修繕が終わる。

これから針で皮膚を刺す工程があるため、
絵の具に水がかからなぬよう注意する我龍。

一方の春峰は笑みを浮かべながら、我龍に感謝の言葉を述べてその場を去っていった。

我龍は一仕事終えた満足感に包まれる。


夜が更け、稼働をはじめた彫師の本拠地。
本日もさる武将の兵士向けに、刺青を作成している。

渋々本拠地に戻ってきた我龍。
お頭から怒られることはなかったが、今日も今日とて下働きである。

本日は依頼主である武将方の担当が本拠地に来訪され、お頭と話をしていた。
二人の会話を盗み聞きする我龍。話の内容は、ある特殊な竜の刺青の昔話だった。

その刺青は西方から伝わる伝説の生き物を題材としたものだが、
あまりの力の強さに幾度となく国を滅ぼしてきたという。
そのため、彫師たちが力を合わせて竜の刺青を持つ者の背中を焼き、
刺青を封印することが出来たという。

その話を聞くやいなや、我龍は仕事をほっぽりだし、春峰を探し始める。


地面に倒れている春峰を見つけた我龍。
彼女は苦しそうに身悶え、背中の刺青は赤黒く光っている。

春峰「我龍・・・助けて」

その言葉を最後に、彼女の姿はみるみる大きくなり、竜へと変化していく。

大混乱に陥る彫師と兵士たち。
竜はそんな彼等めがけて、灼熱の火炎を浴びせ始める。

竜の翼に弾かれて難を逃れた我龍。
本拠地に戻ってみると、辺り一面燃え盛り、地獄のような風景が広がっている。
黒焦げになった人々の死体に、我流は自分の責任を痛感してしまう。

そこへ現れた、生き残りの兵士たち。
我龍のことを自分たちを襲撃した主犯と確信した彼等は、
我龍を殺そうとする。

絶体絶命の我龍をかばい、兵士たちに斬られたお頭。
彼は、我龍に『刺青を愛するなら、あの竜を止めてみろ』と言い残し、
絶命してしまう。

なおも危機的状況の我龍。
そこへはせ参じたのは、一匹の龍。
それは、我龍が修繕したことでこの世に生を受けた、あの龍の刺青だった。
龍龍は兵士たちを次々と倒し、我龍のピンチを救った。

なおも放心状態の我龍は遠くで火を噴く竜の姿をぼんやりと眺めている。
すると、竜の形が完全ではなく、まだ下絵の部分が残っていることを発見。もし下絵の部分を消すことができたなら、春峰を元に戻すことが出来るかもしれない。

我龍は、春峰の最後の言葉をかみしめながら、龍に向かって宣言する。

我龍「春峰は、あいつは何年も刺青のせいで苦労してきた。だから、刺青を
   完成させればあいつは救われると俺は思ったんだ」
  「でも違った。刺青を直して、あいつはもっと刺青に支配されて
   しまった。全部俺のせいだ」
  「俺はあいつを助けたい。だから、俺に力をくれ‼」

龍は我龍の身体に刺青として張り付いてきた。
我龍は、刺青の力で、自身を巨大な龍へと変身させる。


森を焼き払いながら進む竜。
我龍(龍)はその裏を取り、竜にからみついてその動きを封じ込める。

竜にかみつかれようと、燃やされようと、歯を食いしばって耐える我龍。
その状態のまま、宙を浮き、湖の方角へと進んでいく。

諸共湖へと落ちていく二匹の龍(竜)
それぞれ下絵の部分が消え、人の姿に戻っていく。

しばらくして、裸の二人が湖に浮かんできた。
そこへ、我龍が写生帖に描いたカラスが助けに来て、二人を陸へ運んでいく。

目を覚ました我龍は、自分の全身に刻まれた龍の刺青を、
今回の騒動を起こした罪と考える。

そして、自分の横でスヤスヤと眠る春峰に、背中の刺青を駆除することを
心に誓うのだった。





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