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にゃん
2023年7月11日 20:55
その子は待っていた。静かに、ただ待ち続けた。来るか来ないかも分からない人を、ただ待ち続けた。 秋の風が寂しく吹き付ける。遠くで車のクラクションが鳴り、木枯らしが吹いて足元に枯れ葉が舞った。 かじかんだ手に息を吹きかけ、ジャケットのポケットからスキットルを取り出す。眩しさに顔をしかめる。 灰色の煙が空に溶けていった。 その子は眠っている。ずっと、深い眠りの中にいる。「手術は成功